こんにちは。東京度大田区西北部の地誌の探求をライフワークとするライターのカワグチです。夏の疲れが出る時期ですが、読者諸兄姉におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。この記事では千束八幡神社の花御朱印と、歴史と自然あふれる洗足池をご紹介します。
城南の名勝・千束八幡神社
洗足池の西岸に鎮座する神社。創建は、貞觀2年(860年)。宇佐八幡の分霊を八幡山の千束神社に勧請奉斎し,武蔵国荏原郡千束郷の総鎮守となります。
10世紀前半、平将門の乱を平定するため関東に派遣された藤原忠方(池上宗仲の祖先とされる)が洗足池を気に入り、千束八幡を氏神としてこの地に残ったと伝わります。もし、藤原忠方が千束郷に残らず京に戻っていたら池上本門寺や後述する御松庵(袈裟掛けの松)は建立されることなく、池の名称も「千束池」のままだったかもしれませんね。
その他、奥州討伐へ向かう源義家や、安房国から鎌倉へ向かう途中の源頼朝の伝承もこの神社に残されています。源頼朝の伝承は後ほど……。
千束八幡神社は名馬「池月(いけづき)」発祥の地。「池月」って何と思われた方、競走馬ではないですよ。気になる方は、この続きも見てくださいね。
千束八幡神社の門前に架かる三連太鼓橋も「池月橋」と言います。
期間限定の花御朱印
全国各地の寺社では参詣の証しとして御朱印をいただくことができます。東急線では期間限定で「花御朱印巡り」を開催中(10月31日まで)。「花御朱印巡り」に参加している寺社に専用御朱印帳を持参すると花御朱印をいただくことができます。千束八幡神社でも、東急線とコラボした花御朱印を拝受できました。
※ 花御朱印とは、「東急線花御朱印巡り」限定の花をテーマとした(花びらが印刷された)御朱印です。花びらの色は指定することは出来ませんが、ピンク、青、黄、紫の4種類あります。何色の御朱印になるかはお楽しみに。なお、別途御朱印代が必要となります。
専用御朱印帳は公式サイトもしくは、東急線の18駅で購入することができます。
専用御朱印帳には対象の寺社が掲載されているガイドブックが付いてきます。一部の寺社では、ロスフラワーを使用した花手水を開催中。スケジュールは以下のサイトをご確認ください。残念ながら千束八幡神社のスケジュールは逃してしまいましたが、手水を開催中に神社や仏閣へお参りに出かけませんか。
花手水実施スケジュール:https://tokyu.gosyuin-meguri.jp/schedule/
この投稿をInstagramで見る
平安から幕末・維新まで様々な伝説が残る洗足池
名馬池月像
源頼朝の愛馬で、平家物語にも登場する名馬「池月」の銅像。頼朝が鎌倉へ向かう途中、千束池の畔に陣を張っていたところ、どこからか野馬が現れました。これを郎党が捕らえ頼朝に献上したところ、身体に浮かぶ白い斑点が池に映る月影のようだったことから「池月」と名付け、頼朝の乗馬としたと伝わります。「池月」を得たことは平家征伐軍の成立の吉兆であるとして征旗を高らかに掲げたという故事から、千束八幡神社は「旗上げ八幡」とも呼ばれています。
洗足池辨財天(厳島神社)
創建の年代は不詳。古来より洗足池の守護神として、池の北側の小島に祀られていましたが、長い年月により池の中に水没。昭和9年(1934年)7月に、洗足池風致協会により小島の築島と社殿の造営がなされました。祭礼日は5月下旬。放魚の儀(洗足池に鯉を放す神事)が執り行われます。
南洲西郷先生留魂祠
西郷隆盛を祭神とする祠。祭礼日は9月24日。西南の役により逝去された西郷隆盛を惜しんだ勝海舟が、追慕のため明治16年(1883年)に建立。もとは、東京南葛飾郡大木村下川の薬妙寺境内にありましたが、勝海舟の遺志により洗足池畔に遷座されました。
勝海舟夫妻墓所
勝海舟は明治32年(1899年)1月19日に亡くなり、生前からの希望により「洗足軒」の近くに葬られました。現在では洗足池の畔に勝海舟夫妻の奥津城があります。
勝海舟記念館
令和元年(2019年)9月7日にオープン。国登録有形文化財。旧・清明文庫(鳳凰閣)。勝海舟没後、財団法人清明会が「洗足軒」を近隣に移転させ、その隣地に「勝海舟の遺蹟保存及び国民精神涵養のための図書を蒐集し、公衆の閲覧に供えて社会に貢献する」目的として「清明文庫」を設立します。戦後の昭和29年(1954年)、学習研究社の所有となり「鳳凰閣」として使用されていました。その後、平成24年(2012年)3月に大田区が土地を取得し(併せて建造物の寄贈を受け)、勝海舟の業績を顕彰する記念館整備事業が進められています。
御松庵
正式名称は星頂山妙福寺。「袈裟掛けの松」で知られる、洗足池の東岸にある寺院。鎌倉時代に七面天女を祀った小堂がはじまりと言われています。日蓮聖人が池上宗仲の館(現在の池上本門寺)に向かう途中、千束池の畔で休息し傍の松に袈裟をかけて、池の水で足を洗ったという伝承からこの松を「袈裟掛けの松」、千束池を「洗足池」と称されるようになりました。現在の「袈裟掛けの松」は三代目と伝えられています。平成14年(2002年)6月25日に文化財登録原簿へ登録された「祖師堂(旧七面大明神堂)」や、大田区指定文化財の「馬頭観世音供養塔」などの見どころも。
庚申供養塔
区指定有形文化財。延宝6年(1678年)建立。文化11年(1814年)に品川の御忌講という浄土宗を信仰する人々により再建。中原街道から九品仏(浄真寺・世田谷区奥沢)に至る道の分岐点に、道しるべを兼ねて設置されました。
テレビでも紹介!洗足池名物・勝バーガー
勝海舟をイメージしたという「勝バーガー」。大田区のお土産100選にも選ばれた、洗足池のご当地パン。今年6月には民放のお散歩番組でも紹介されました。
勝海舟の好物が「うなぎの蒲焼」だったことから、蒲焼のたれとマヨネーズで「てりやきバーガー」のように仕上げたとのこと。「勝」の刻印がインパクトありますね。
実食してみると、こってりとした味付けかと思いきや、見た目とは裏腹に意外にもあっさりとした素朴な味わい。パンはモチモチとした食感。豚カツだけ取り出して、オーブントースター温めてパンにはさみ直すと更に美味しく頂けますよ。洗足池駅前ならぬ駅横にある Boulangerie Towaie さんでご購入いただけます。洗足池にお越しの際はお土産にいかかでしょうか。
洗足池の年中行事
桜まつり (お花見)
3月末〜4月上旬に開催。桜山や池周囲を中心とした、大田区では有名なお花見スポット。多くの露店もあり、多い日では1万人程の花見客で賑わいます。
大田区子どもガーデンパーティー(洗足池会場)
ゴールデンウィークの頃に開催。子どもたちが、地域の人たちと一緒にゲームや軽スポーツを楽しむイベント。勝海舟記念館準備期間中は、勝海舟にまつわるパネル展示も行われていました。
春宵の響
5月に洗足池西岸「池月橋」で開催される演奏会。洗足池に浮かぶ船や、池月橋の上で奏でられる和楽器の美しい調べを楽しむことができます。地元のケーブルテレビでも中継される隠れた人気イベント。2千人程度の人出があります。
御松庵盂蘭盆会の灯篭流し
7月16日に行われる御松庵(星頂山妙福寺)の年中行事。池に流し灯篭を浮かべるお盆の行事です。
ほたるの夕べ
7月下旬に開催されるホタルの観賞会。風致協会・地元・区による実行委員会を結成。ファミリー層を中心に、3千人程が訪れます。
千束八幡神社例大祭
千束八幡神社の祭礼日は9月上旬。重要無形民俗文化財に指定されている神楽が奉納される。神社周辺に露店も出ます。
お会式(宗祖御報恩会式)
10月17日に執り行われる、御松庵(星頂山妙福寺)のお会式。御松庵の参道を万灯行列が練り歩きます。
まとめ
この記事では千束八幡神社の花御朱印と、歴史と自然あふれる洗足池をご紹介しました。夏休みの宿題が終わっていないお子様がいらっしゃったら、洗足池を自由研究のテーマにしてみてはいかかでしょうか。残り少ない夏休み。ご家族の皆様でどうぞ存分にお楽しみください。最後までご覧いただきありがとうございます。