2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
爆竹の音が告げる新年快楽
「バンッ、バババン、バンッ」。この日の夜は、横浜中華街に爆竹の音が鳴り響く。そう、春節(旧正月)を迎える夜だ。春節は、日本でも明治時代初期まで採用されていた太陰太陽暦に基づくお正月で、現在でも中国をはじめ、韓国では「ソルラル」、ベトナムでは「テト」と呼び行われている。日本でいえば、紅白歌合戦を見ているような時間帯から、横浜中華街は新年の到来を今か今かと待つ人々でにぎわってくる。
例えば、横浜中華街にある聖地の一つ「横濱媽祖廟(よこはままそびょう)」。こちらでは大切な日にしか外へ出さないというご本尊様が、きれいに飾り付けられている光景があった。もう一つの聖地「関帝廟(かんていびょう)」では、獅子舞の奉納が行われ、境内を縦横無尽に飛び回る獅子の姿が目前で見られる。中国特有の銅鑼(どら)や太鼓で奏でるお囃子(はやし)が獅子舞を演出し、独特のアジアンな空気感を作り出す。日本にいながらも、異国情緒を感じられるなんとも心地よい空間だ。
ところで関帝廟とは、三国志でも有名な「関羽」が祭られている廟だが、関羽は中国では商売繁盛の神様としてあがめられているんだそうだ。商売人の多い中華街だけに、今年のお礼を言いに来ているのか。多くの方が参拝に並んでいた。
中華街を進むと、新年へのカウントダウンに向け、どんどん人が増えてきているようだ。街に並ぶ中華料理のお店は一層にぎわいを増している。この香りはマーボー豆腐だろうか。スパイシーでおいしそうな香りに引かれる。寒い夜なので紹興酒をお燗でいただき、シューマイなどの点心をつまむというのも良さそうだ。マーラー刀削麺で温まるというのも悪くない。
そうこうしているうちに、カウントダウンが目前に迫ってきた。特設会場が中華街内に設けられ、すでにたくさんの人だかりだ。今か今かとその時を待つ中、カウントダウンが始まった。「五、四、三、二、一。新年快楽(しんねんかいらく)」。中国風の「明けましておめでとう」で春節を迎えた。