2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
歴史ある寺院で踊る河内音頭
大阪では夏になると、公園や小学校、寺院や神社など、さまざまな場所で盆踊り大会が開催され、あでやかなちょうちんと民謡や音頭が夏を盛り上げる。多くの曲の中でも「河内音頭」は、大阪を代表する伝統的な音頭である。音源で踊る場合もあるが、音頭取りが櫓や舞台の上に立ち、生唄、生バンドで踊るということも珍しくない。この生唄、生バンドで踊るのがたまらない。櫓を何周も踊っているうちにハイになってこのまま何時間でも踊っていられると本気で思うくらいだ。
河内音頭の魅力は、踊り子がそれぞれ、自分のリズムを感じながらオリジナリティにあふれるステップで踊るところ。もちろん、型があり、誰が見てもきれいな踊りはあるのだが、「自分の踊り方でいいんだ!」と思える自由さが、難しいステップながら初心者でも心から楽しめる理由ではないだろうか。
そんな河内音頭を生唄、生バンドで楽しめる盆踊り大会の一つが、毎年8月11、12日に実施される「四天王寺盆踊り大会」である。四天王寺は、かの聖徳太子が建立した歴史ある寺院。伝統河内音頭継承者の河内家菊水丸氏が登場し、聖徳太子の生涯をテーマにした「聖徳太子一代記」をしっとりかつ力強くうたい上げる。当日は亀の池に掛かる重要文化財の石舞台に櫓が組まれ、踊り子は大きな亀の池を一周して踊る。踊り子がぎゅうぎゅうになるぐらい集まり、浴衣や法被、ジーンズを汗で濡らしながら、それぞれがリズムを取ってオリジナルのダンスを繰り広げる。歴史的寺院に響き渡る河内音頭に何とも言い難い高揚感を覚える。
四天王寺盆踊り大会の特徴は、老若男女、国籍問わず日本人、海外からの観光客も一緒になって、踊っている点だ。会場も広く、踊り子もたくさんいるので、初心者の方も輪に入っていきやすい。2020年は、残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止となったが、早く多くの人と櫓を囲めることを心待ちにしている。