2020年春。新型コロナウイルス感染症のための自宅待機をする中、そうは言っても会話はしたい。落ち着いたらお祭にも行きたい。そうだ浴衣も着たい!できたら着物も着てみたい!そんな明るい気持ちも必要だ!ということで、お祭と着物好きなリカと、祭りは行くけど着物をほぼ着ないケイコが着物失敗体験も思い出しながら失敗しない着物選びを語りつくしました!
登場人物
リカ:学生時代に茶道、弓道を経験。結納をきっかけに着付けの大切さに気付き、「自分で着物を着れるようになりたい!」と着付けを習う。以来着物にハマり、平日スーツ、週末着物の生活を5年ほど実践。ハマり過ぎたため、現在は自粛中。
ケイコ:大学で民俗芸能に出会う。各地のお祭に行く旅費稼ぎのため学生時代はアルバイトの日々。好きが高じて、好きなお祭をオニからまとめた『都道府県別にっぽんオニ図鑑」(じゃこめてい出版)を出版するくらいお祭好きだけど、着物は全く詳しくない。
目次
着物って最初失敗しません?
ケイコ 着物とか浴衣って最初自分では着れなくて、お金だして着付けお願いしていたんですけど、今思えば着物て結構失敗しませんでした?
リカ ありますね~。
ケイコ コレは私の失敗談ですが、何かの行事で着物行列に出ることになって、知人の舞台俳優さんに着付けをやってもらったことがあったんです。そしたら、舞台用の着付けだからなのかギッチギチに絞めてくださって。
リカ うわあ。
ケイコ その結果、途中で酸欠状態になっちゃって。
リカ ああ、それは悲しい。いやいやいや。
ケイコ でも頼んだ手前「苦しいです」っていう一言がものすごく言いにくくて。だから我慢して踏ん張った記憶があります。まあ、めっちゃフラフラしていたからバレてたとは思うんですけど。
リカ 切ない(苦笑)
ケイコ という事があって「着付けは自分で覚えた方がいいかも」って思ったんですよね。
リカの着物トラウマ…そしてお店で案の定…
リカ 本当ですね。私もうちの義理の母が「着付師さんにお金を払うのは勿体ないから私がやってあげる」と言ってくれて、着付けていだたいた時があったんですけど、自分で着れるっていうレベルと他人に着せ付けられるっていうレベルって、違うんですね。そういうトラウマがあります。
ケイコ リカさんのお言葉から伝わってくるものがありますね。「コレじゃないんです」感が。
リカ ははは。それがキッカケで「着物を習おう」って思って、店にフラっと入っちゃって買っちゃった…みたいな流れですね。ははは。
ケイコ いや、最初やっぱり買っちゃいますよ。わかるなあ。着物って最初緊張するし。私の場合、着物屋さんでお願いして「着付けじゃなくて、入り口が着付けで狙いが違かったな。売りたいだけだな、あの販売員」みたいな失敗が多くて。
リカ そうですね。例えば…ある大手の着物屋さんの話で、私はそこには行かずには済んではいたんですけど、でも周りの着物好きの人たちに聞くと「帯とか買わされた!」とかあって。着付けを学んだら着物が当然着れるようになるわけで、「じゃあ楽しむにはお着物が必要よね?これを買いなさい」みたいにおススメされたという話は聞きましたね。私が最初に着付けを習ったところも着物屋さんですけど、やっぱり「お着物買いましょう」って言われて。「着付けは無料で教えてあげるから(買ってね)」いう立て付けで教わったんですよね~。たまたまそんなに悪くないところでしたけど。まあ、売るための着付け教室みたいな、そういうやり方って昔からあった気もするんですよね。
ケイコ 初心者からしたらちょっと気圧されてしまいそうな感じもする。というか、私は気圧されちゃった。
リカ 大手の着物屋でも若い人をターゲットにしたカジュアルな感じのお店もあるんですよ。とはいえ、店内に行くと「どうですか?」みたいな感じで実際に着せてもらって。で、オススメされる、そういう接客方法ですね。反物の状態だと若いお客さんには当然着れないから、まず着せ付けて、イメージを膨らませてから買っていただくという感じになるので、それまで洋服のお店しか入ったことがなかった当時は、割とそういう接客方法は最初戸惑いはありました。
ケイコ 例えば洋服屋さんだと、試着室で服を試着した後に店員さんに「いかがですか~」って言われても断りやすいじゃないですか。「また今度にします」とか。アルバイト先の着物の販売会って何故かそれがしにくいオーラが漂っていたんですよね。
リカ そうですね、なんなんでしょうね、あの独特のね。
ケイコ 丁寧だし上品なんですけどね。なんか、ちょっと断りにくい空気もあるような。
リカ ちょっとした囲い込み感があるかもですね~。
ケイコの着物バイト失敗談
ケイコ 私がアルバイトしたところは、店舗内で売るというより、ホテルのフロアを借りて販売会をしながら、横で着付け教室もやられてたんですよね。だからどちらかというとちょっと若い女性というより、中高年を狙ったような感じな印象でした。
リカ そうなんですね。
ケイコ で、ホテルで綺麗に着付けしていただくと少し気持ちよくなるっぽくて。で、お客さんもちょっと会場を出にくいところもあった気がします。
リカ へえ~!。
ケイコ 会場の出口がひとつしかなかった時とかですね。ホテルってちょっと品がありげな空間だし。で、着付けもしてくれた販売の女性スタッフさんが「せっかく覚えたなら着た方がよろしいですよ」とか「せっかくの機会ですから、着るのなら着物のコレがおすすめですよ」とか。大人の女性の嗜みとしては良いものを、みたいな言い回しをされてた記憶が。でも、会場にフラッと来ただけのお客様って着物の着方が知りたいだけだから「そこまで立派なのは(結構です)」みたいな感じになっちゃう。そんな現場で短期アルバイトしてました。本音、ちょっとしんどかった(苦笑)それに、アルバイト採用の面接の時には詳しく言われなかったんですよね~。現場言ったら「うわ、これ絶対売り上げノルマがありそうじゃん」って。会場のお客様の中にも断りにそうにしている方もいたしで。それがしんどくてアルバイトやめちゃいました。
リカ ああ~。
どうしたら失敗しないの? 法則その①自分なりの相場感をゲットせよ
ケイコ あと自分自身が初めて着物買おうとした時の失敗ですが、着物の知識が無い状態で行ったから「お店の方が言ってくるこの金額って妥当なのかな?」って値段の意味が分かんなくて。だってウン十万とかですよ!?普通に高いじゃないですか。
リカ そうなんですよ!で、それを分割払いというふうにすすめてきますよね!
ケイコ 売る方は「今ね、すごいお手頃なんですよ~!」とか仰ってましたけど、私の時はそう言われたんですが、私自身何が手頃なのかが全然わからなくて。
リカ なるほど~。
ケイコ だから「そうなんですか~」しかいえなくて。辻が花(※訪問着)とか言われても「何ですか、ソレ」って気持ちだったし。「帯ってこんな値段なの?」状態でしたし。
リカ そうですね。ある意味分かりやすいブランド志向みたいなところがありますよね。例えるならヴィトンとかグッチみたいな。とりあえずブランドとして売られているものを買っておけば間違いない、みたいな。
ケイコ 私がバイトしたところはそんな感じ!販売スタッフさんが説明している内容自体は間違ってはいないんです、だけど、買うかと言われたらそうじゃない。着付けだけ教わりたいんです…みたいな。
リカ こっちとしてはスーツカンパニーとかの既製品スーツを見に行ったつもりだったのに、テーラーに連れて行かれた、みたいな。
ケイコ そうそう!で、「フルでオーダーメイドしなきゃいけないのですよ、着物っていうのは」みたいに言われてしまう感じで。
リカ で、なんかこう、この生地はイタリア製でどうのこうのみたいな~!
ケイコ あと、時に着物の好みも押しつけられられちゃう時があるじゃないですか。「伝統的なのが良い!」「これ外さない!」みたいな。
リカ 本当に、そのギャップが大きい気がします。着物の値段が分かってくると、相場感というか「こういう作りのものだったらこれくらいの値段がしても当然か」とか判断がつくようになると思うんですけど、何も知らない人にそこから、っていうのは難しいですよね。
ケイコ ですです!だから、もし着付け教室に行く時は、自分で大体その前に着物とか浴衣とかの大体の値段を知っておいた方が良いかも。
リカ そうですね!相場感大事ですね!今はネットでも調べられますし。例えば洋服でも、ある程度自分が欲しいブランドがあるじゃないですか。例えばユニクロからアルマーニみたいにピンからキリまで自分で分かっているから、どの服を着たいかが自分で決められると思うんです。着物ってそういうところも最初なんか見えないですもんね。そういう知り合いを作ればいいのかも!私も最初チェーン店から入っちゃったんですけど、「最初から高いものを頑張って買わなくてもよかったな」っていうちょっとした後悔はあって。そこからやっぱり着物好きな知り合いが増えて横の繋がりができて知識ができたので。最初はミクシィとか流行り始めたころで、そういうSNSを使って着物友達を作るっていうのは結構してましたね~。その方が間違いがないかな、っていう気がします。
どうしたら失敗しないの? 法則その②SNSで詳しい人と知り合いになるべし
ケイコ そうなんです!何かの時に「本当はお着物は反物から作った方が良いですよ」って言われたんですけど、「そりゃそうなんでしょうけど~」って頭では分かるけど、そんなお金ないし!既存の着物の相場すら分かってないから、着物屋さんでいろいろ言われてもわかんない。着付けの値段も安いのか高いのかわかんない。リカさんみたいに着物に詳しい人とか個人で着付けを教えてくれそうな誰か教えてもらって行ったほうがいい気がしてます、私。
リカ そうですね、そういう方に教わった方がいいと思いますね。
ケイコ アルバイトしたから言えるけど、お店だとどうしても着物販売の営業がありますもん。着物屋だから。だから、横のつながりで着物の着付けだけ教えてくれる人がいたらいいなあ…。
リカ ですよねー。それに、個人的にコーディネイトをYouTubeでアップしたりとか、着物に合わせるメイクとかアップしてたり、そういうのもあるし。ちょっと原宿っぽいテイスト出だしているところもありますしね。
ケイコ おおおおお!なんかそれ良いですね!
リカ 和服にもテイストが全然違う雰囲気ってあると思うんです。その着物のテイストを着こなせる、みたいなところで、段々細分化されていっているような気がするんです。例えば、これは私インスタグラムをフォローしてるんですけど、この方(鶴丸着付け教室)の着物の合わせ方がすごく好きな方です。
ケイコ 写真も今見ているんですけど、かわいい!というか、綺麗な写真が多い!
リカ そうですね。もともと着物好きでインスタグラムをやっていらしたのが、途中から着付け教室も、っていう方みたいです。うさぎ小町さんはユーチューブとかで動画配信してます。割とこう、キッチュなテイストで着物を着こなしている方ですね。
ケイコ おおおおお、着付けの専門のところにいかなくてもSNSで見れる!
リカ そうですね。あと、この山口さくらさんが面白い人で。個人的に本を書いたり、落語家として寄席に上がったりとか、そういうこともしている面白い人です。
ケイコ おおおお…。
リカ この葉山の先生(葉ごろも着付け教室)もすごい良い先生でした!この方に一度ポイントレッスンみたいなのを教わった事があるんです。たしか500円とかでちょっとだけ教えてくれて。あと、この梅屋さんも私結構好きで、他に勝手に自分が好きなデザインで浴衣作っちゃったりとか。ぶっ飛んでる柄なんですよねえ(笑)。
ケイコ こういうのもあるんだああ…コレだったら普段に着れる!
リカ リアルクローズの着物ですよね。ここはすごいおすすめです。個人的に。やっぱりこの店主が着物好きだから、いろいろ教えてくれるし、直に職人さんとコラボでものを作っているから、デザインにこめた思いとかも直接聞けちゃうので。あと、このろっこやさん。なんか駒込にアトリエがあるんですけど、ここも職人さんとコラボしてオリジナルの帯を織ったり着物を染めたりしてます。個人で活動されていたり、着物を作っている方って、探すといらっしゃるので。あ、キモノ教室の話からちょっと外れた(汗)
ケイコ 熱い!
リカ あと、私が好きなkimitoさん。ふふふ。なんか、まだすごい若い方で。1990年生まれ。
ケイコ ここの帯留め、いいなあ!私はコレ、めっちゃ好み!
リカ 本当ですか!是非!是非!この桜シリーズとか春限定で出ててすごい好きで。二つ位買っちゃった♪桜っていっても、「ああ言われて見れば桜の花びらか」みたいなデフォルメが結構好きなんですよね。
ケイコ これは買っちゃいますね。デザイナーさんの姿も見れるからネットいいなー。
リカ そうですね。あとやっぱりみなさん体型が当然違うから着付けも個性があって。裾を足すスカートみたいな着物用ペチコートを服飾デザイナーさんとコラボ開発されています。背が高い方は絶対ここ(ホムシュヘム)は使えると思います。レースで帯揚げを作ったり、冬だとファーでショールとかを着物用に作られている方(Tsu ba ki an)もいらっしゃいます。
ケイコ おお~!こんなものがあるとは!固定概念持つ必要はないですよね。こんなに楽しめるんですね。
リカ 合わせ方とか知れば知るほど深いですよね。
どうしたら失敗しないの? 法則その③熱い人に聞きまくろう
リカ あと、私が住んでいるところの近くに、きものおたすけくらぶっていう屋号でやっているところがありまして。そこは対面以外でも、通販とか宅配でも受付ているんです。丸洗いから洗い張りから。
ケイコ おおお!やっぱ着物好きな人って情報がすごい!着物とか浴衣特集をネットとか雑誌で読んだ時って、クリーニングの情報まで読んだ記憶が無いなあ。着付けの時にお手入れ情報も教えてくれるところがあると良いな。着物を初めて買った頃の自分って、クリーニングの値段感までは思いついてなかったので。
リカ そうですね。着物にまつわるあらゆることをちょっと教えてもらったりとかね。その繋がりも一緒に作れるといいですよね。
ケイコ 正直、最初って、着物と浴衣の使い分けも着こなしもわかんない。だから、リカさんから色々教えてもらったこと全部新鮮です。
リカ さっき紹介したサイトの皆様全員、自由に楽しんでらっしゃいます。
ケイコ それぞれ楽しみ方のテイストが違う。SNSで横の繋がりができると、自分なりの楽しみ方が把握できるメリットがありそうですね。
リカ 本当そうだと思います。「私はコレが好き」っていうのがだんだん出てくる。自分の好みのテイストとか楽しみ方とかも、分かってくるとだんだん違いが見えるというか。私の場合、着物をファッションとして楽しみたいとか、インスタに自撮りとかあげたいみたいな、どちらかというとコスプレイヤー気質の方たちとは違ってて。私は伝統工芸とか大好きで、職人さんの産地を見に行きたい、という感じなんです。彼らとは方向が違うんですよね。むしろ職人さんの手仕事の技とか現場を見たいんです。
リカ アンティーク着物は華やかなコーデができるから。コスプレ好きな人はそちらが好きかもしれない。でも私は、見た目の華やかさより「この織りが」とか、技に目がいっちゃう。そういうのが私は好きなんです。
ケイコ 私からしたら、リカさんみたいに織りまで語る着物好きの方に初めて会ったので、すごい新鮮です!
リカ あはは。私は紬にはまっちゃったんですよ~。地元の長野が大好きなので、地元の紬が好きで。上田紬とか、伊那紬とか。工房にも行こうと思ったんですけど、「私これ以上はまったらやばいかも!」と思って行かずに無理矢理着物熱を冷ましたんです(笑)
ケイコ そこまで!熱い!
リカ 冷ましたんですよ、「まずいまずい」って。
ケイコ 長野県は、将来有望な人材を失ったような気がする。
リカ あはははは!本当は上田だと、紬工房さんとかに行きたかったんですけど、とりあえずインスタだけフォローしてます(笑)
ケイコ リカさん目線での取材記事みたいのが読みたいです。リカさんが「織りが」とお話されたとき,私はこの人と着物ツアーに行きたいと思っちゃった。
リカ いやいや、個人的なおすすめになってしまいますよ~。
総まとめ 技術だけの着付けより、一緒に楽しめる熱い人に聞くのがいいよね!
ケイコ それがいいじゃないですか。「着物についてはリカさんに聞けばいいんや」って思ってます、今。お店情報も教えてくださったし。リカさんの熱量あふれまくった着物レクチャー受けたいです。
リカ いやー。無駄に知識が多いだけかもですよ(汗)
ケイコ ネットで分からないこともあるし。帯の締め方だけはどうしても直接教わらないと分からない気が。
リカ ああ、確かに帯は教わった方がいいかもしれないですね。
ケイコ どれ位締めたらいいのかっていう感覚までは動画だとわからないかなって。それにしても本当にリカさん詳しいですね!
リカ いやいやいやいや!マニアなんで!
ケイコ 楽しんでる!思うんですけど、着物の着付けって着物を楽しみたいから着付けを覚えたいんですよね。だから、私は着物を楽しんでる人に教わりたいです。「こういう楽しみもがあるよ」って聞きながら教わりたい。職業で着付けを教えていようがいまいが、自分で着物を楽しんでる人がいいなあ。
リカ そうですね。着付けの先に待っている世界ですね。
ケイコ そう!着付けの先の世界を楽しんでいる人に話を聞きたかったから、今日は嬉しいです。やっぱり熱量ですよ。それは横の繋がりとかSNSで見つけるのもいいし、人からの紹介でもいいですけど、やっぱり熱い人!
リカ なるほど。確かに、そこでまず楽しみ方を知るイメージですよね。自分はどこに行きたいか、どこで着たいかというところをいったん見つめてから進む、という。観光案内所みたいな(笑)
ケイコ 次回はぜひレクチャーをお願いします!リカさん自由に楽しんでいるじゃないですか!
リカ あはは。いやいやいやいやー、着物を語りだすと熱くなりすぎちゃうから!