Now Loading...

麒麟獅子舞の由来!なぜ獅子ではなくて麒麟なの?鳥取県に行って調べてきた

更新日:2021/7/28 いなむ
麒麟獅子舞の由来!なぜ獅子ではなくて麒麟なの?鳥取県に行って調べてきた

獅子舞といえば、多くの方がイメージするのはライオンにも似た唐獅子系のものだ。一方で、鳥取には麒麟(きりん)が登場する獅子舞が伝承されている。麒麟といっても、アフリカなどに生息する首の長いキリンのことではない。中国由来の霊獣で角を持つ架空の生き物のことだ。キリンビールのラベルに貼られている獣を思い浮かべると分かりやすいかもしれない。

麒麟の形をした獅子舞はとても珍しく、鳥取県以外ではほとんど見られない。今回はなぜ鳥取県に麒麟が登場する「麒麟獅子舞」が伝わっているのか、現地に行って確かめてきた。街歩きをしたり、図書館で本を読んだり、実際に麒麟獅子舞を見たりして分かったことをご報告したい。

鳥取県に伝わる麒麟獅子舞とは?

鳥取の中心市街地をぶらぶらと散歩していると、さり気なく「麒麟獅子舞」のベンチが様々なところに設置されていることに気づく。「ご自由にお座りください」と日本語英語その他の言語で書かれていて、まさに麒麟獅子舞が街に息づいていることを確認できる。 

鳥取県立図書館で麒麟獅子舞に関する資料を調べてみたところ、様々なことがわかった。まず鳥取県内には、2018年時点で180の神社で奉納されており、198頭の麒麟獅子舞が存在することが確認されている。しかし、実際に獅子舞を舞う習慣があるのがその内132頭となっており、麒麟獅子舞を実施する数は年々減少傾向にあるようだ。

近年は文化財や観光資源として外部に発信していく活動も積極的に行われているようで、観光客が集まるような道の駅や歴史的建造物などで演舞をすることもあるという。また、それに関して「麒麟獅子舞」というのは対外的な言葉であり、地域の人々は「獅子」「獅子舞」と呼び親しんでいるようである。(参考:鳥取県教育委員会事務局文化財課『「因幡の麒麟獅子舞」調査報告書』2018年)

仁風閣で麒麟獅子舞を見てきた

実際に麒麟獅子舞がどのような芸能であるのかを確かめるべく、鳥取駅から徒歩25分の場所にある仁風閣で行われた智頭農林高等学校郷土芸能部の公演を見てきた(2021年7月18日)。仁風閣は鳥取城の扇御殿跡に建てられた西洋建築で、国指定の重要文化財である。約15分間の短い演舞だったが、高校生の若いエネルギーを感じる演舞が見られるというのは、伝統芸能の高齢化が進む中で貴重な機会だと感じた。

仁風閣を背景に舞い始める麒麟獅子舞、最初は獅子をあやす猩々が獅子と対峙する

途中、猩々は抜けて、少しテンポの速い麒麟獅子舞が行われる

麒麟獅子舞の演舞が終了!

獅子役2人、猩々1人、太鼓1人、鉦1人、笛1人、全て高校生が演じていた。実際に演舞を拝見していて、暑い中衣装を着て懸命に演舞する姿に元気をもらった。演舞のスピードはかなりゆっくりで、だからこそ一つ一つの動作に正確性が求められるようにも思えた。

麒麟獅子舞の舞い方をご紹介

麒麟獅子舞は各地域ごとに違いが様々であるものの、いくつか共通する演舞の特徴があるようだ。大まかな構造としては、前段に猩々が主役となる神降ろしの舞があり、中段に獅子舞の中心部分である獅子の神遊び、後段に猩々と獅子が一緒になって神霊の世界に還御される神送りの舞という風に三段構成で行われる(参考:野津龍『因幡の獅子舞研究』1993年)。獅子頭が麒麟の形をしているのはもちろん、このように舞い方にも共通点があるようだ。なぜこのような舞い方になるのか、次に麒麟獅子舞の由来について考えていきたい。

麒麟獅子舞の由来とは?

元々、麒麟獅子舞は徳川家康の曾孫にあたる池田光仲が鳥取城主となり、1650年に日光東照宮を鳥取に勧請して(神仏の分霊を迎えて)現在の鳥取東照宮の前身を作ったことに始まる。池田光仲は芸能に対して理解がある人物だったようで、この神社に奉納するための芸能として獅子舞を舞わせたようだ。

麒麟の角には神霊を招き下ろす意味があり、麒麟獅子と対峙する猩々が持つ朱の棒にも同様の意味がある。麒麟は平和な世の中に現れるとも言われるように、政治的な話と大きく結びつく形で、麒麟獅子舞が始まったようだ。

なぜ池田光仲が麒麟を採用したのかという話やそもそも江戸時代以前に麒麟獅子舞は存在したなど様々な説があるものの、今日行われている麒麟獅子舞の大きな基礎を築いたのがこの池田光仲という人物だったというのは広く定説として知られている。自分の使っていた寝具を獅子の蚊帳(胴体のこと)に採用したなど、様々な愛に満ちたエピソードも残されている。

麒麟獅子舞が見られるお祭りをご紹介

では実際に麒麟獅子舞がどこで見られるのかについて、ご紹介しておきたい。麒麟獅子舞は鳥取県内であれば、コロナ禍を除き一年中様々な場所で見られる。ぜひ「日本遺産 麒麟のまち!!」のサイトなどを参考にしていただきたい。

麒麟獅子舞の開催時期について

参考文献
野津龍『因幡の獅子舞研究』1993年
鳥取県教育委員会事務局文化財課『「因幡の麒麟獅子舞」調査報告書』2018年

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

あわせて読みたい記事