倉敷天領物語とは
江戸幕府の直轄領「天領」の倉敷で春と秋に行われている「倉敷天領物語」。花魁道中と狐の嫁入りが行われるということで、一泊二日での倉敷巡りをレポートいたします。
《倉敷花魁道中》
平成30年「西日本豪雨災害」この時倉敷市は大きな被害を受けました。
世界的に有名な観光地・倉敷美観地区は、その2次的被害で観光客が大幅に減少しました。そんな美観地区を、一番元気だった江戸の街を再現して活気つけようと行われたのが豪雨復興イベント「倉敷天領物語〜koi〜」です。
その中でも「倉敷花魁道中」は3万人もの人出があり毎年の恒例行事になりました。1987年公開の名取裕子さん主演の映画「吉原炎上」の原作者は倉敷出身の洋画家斎藤真一です。
名取裕子が買われていく小さな港町は倉敷市児島の設定でした。
そしてこの花魁道中や狐の嫁入りは全てエントリー制!誰でも参加することができます。
狐の嫁入り
写真:倉敷アイビースクエアの駐車場の中にある「城山稲荷神社」
《狐の嫁入り行列》
倉敷アイビースクエアの駐車場の中にこんもりと木立に囲まれた「城山稲荷神社」があります。明応2年(1493)に住民たちに火事の予兆を知らせ大火を防いだ白狐を、当時の城主小野好信が伏見稲荷を勧進して祀つり城山稲荷大明神と命名したのが始まりです。
小野好信は小野小町の従兄弟にあたり、近くの向山には小野小町姿見の井戸があります。
江戸時代を通じて霊験あらたかで災い除けの神として信仰を集めています。
その白狐伝説にちなんで行われる「狐の嫁入り行列」は、倉敷花魁道中と同じく第1回「平成30年西日本豪雨災害復興イベント」として開催し、令和2年には新型コロナウイルスの災いから逃れ健康に暮らせるようにと祈願して開催され、新しい倉敷の恒例行事になっています。
倉敷には火事から守ってくれた白狐伝説が残っており、西日本豪雨の復興やコロナ退散祈願として狐の嫁入り行列が行われています。
写真:昼間に可愛い時代衣裳を着たお子さんたちがチラシを持って宣伝して歩いている
夕方17:30、アニメ「キャンディキャンディ」で有名な「いがらしゆみこ美術館」から、狐の嫁入りの行列が出発。
お化け屋敷のような妖しい音楽が流れる中、静々と行列が進みます。
そして鐘の音が「カンカン」と鳴ると、くるりと観客に顔を向けて狐のポーズ!
しかし春とはいえ3月上旬の夕方は大人でも少し厚めの上着をはおるような気温。それに対して小狐さんたちは薄着。途中から寒さのため歩みを早め、狐のポーズはカット。寒空の中、倉敷川を巡って倉敷を盛り上げていました。
寒さも大変だったと思いますが、参加者はみなさんマスクなし。密になると行政指導が入りイベントが中止になるため、観客も節度を持ってソーシャルディスタンスをとることが大事だなと感じました。
最後は有隣荘前で記念撮影。
参加者に声をかけて撮影させてもらうこともできます。
花魁道中
《花魁とは》
花魁と聞くと江戸時代の遊郭の遊女を連想されることでしょう。遊女には厳しい階級があり、そのトップの花魁になるには、美貌だけではなく教養も必要でした。
特に読み書きや書道は男性に手紙を書く上でも必要でした。幼少期から琴・三味線・歌・茶道などの芸事はもちろん、古典や囲碁といった教養も兼ね備えているスーパーレディでした。
花魁道中のトップ花魁は、町娘にとっては今のファッションリーダーで、その着物の柄は彼女たちの憧れでもありました。
京都島原のトップ花魁ともなると、5万石の大名と同じ位で御所に入ることもできたと伝えられています。
花魁は、京都島原の太夫を江戸の遊女たちがファッションを真似て、江戸時代に大流行しました。
(京都の島原太夫は公家や新撰組がお客様で、舞や楽器などの芸でもてなしていた芸者の最高位の女性たちです。)
華やかな姿の花魁が登場すると、お席で必ず行われる「かしの式」が行われます。
この花魁の名前は「阿智の藤乃太夫」。名前の由来は、美観地区の鎮守神である阿智神社とそこに咲く樹齢500年の阿智の藤から来ています。
お客様役の男性は観客の中から立候補して花魁の隣の席へ座ります。キセルを渡したり、盃をかわす所作が披露されました。
しっかりと近くで見たり、撮影したい方は500円で正面の「見学席」に入れます。しかも「お猪口」のお土産付き!見学席チケットは「いがらしゆみこ美術館」の駐車場で当日に買えます。とってもお得でオススメです。
いよいよ花魁道中がはじまります。前日に、いがらしゆみこ美術館の近くで肩持ちの男性に手を置き、外八文字の歩き方を練習していた姿もみられました。本番でも「カラカラ」と三枚歯の高下駄で音を鳴らし、ときに振り向きながらゆっくりと歩いていきました。
花魁道中のあとは舟遊び。声をかければ気軽に写真撮影にも応じてくれます。「花魁は本来、笑わない」そうですが、笑顔の顔も撮影できました。
「倉敷天領物語」の見どころは時代衣裳と髪型。全て「いがらしゆみこ美術館」の所有で、結髪は地毛ゆいで、かつらは使っておりません。是非そこを見ていってください。
倉敷天領物語実行委員会(株式会社明日絵)
〒710-0054 岡山県倉敷市本町9-30
TEL:086-425-3903
FAX:086-425-3908
E-mail:[email protected]
ライトアップ「春宵あかり」と「雛めぐり」
この「倉敷天領物語」が行われる時期に「春宵あかり」も同時開催しています。
倉敷川に置かれた和傘に灯りがともり、新渓園のお庭や倉敷物語館の前に行燈のような「希莉光(きりこ)あかり」と倉敷のあちこちでライトアップがされています。
狐の嫁入りが終わる頃、写真撮影の時にちょうど映える「マジックタイム」の時間でした。
真っ暗闇になる手前の、空が青く撮影できる短い時間に和傘の灯りが美しかったです。
倉敷春宵あかり実行委員会
086-421-0224
昼間のおすすめはお雛様をみて回る「雛めぐり」。
倉敷美観地区だけでなく、周辺の真備、玉島、水島、児島地域でも行われています。
岡山らしい桃のスイーツや吉備団子をカフェで楽しみながら巡ってみるのはいかがでしょうか。
倉敷雛めぐり実行委員会 事務局
(公社) 倉敷観光コンベンションビューロー 086(421)0224