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例年5月下旬から7月上旬に府中市郷土の森博物館で開催される「郷土の森あじさいまつり」
人々の生活を支えているのは国家機関ばかりでなく、地方自治体が大きな役割を果たしています。日本の長い歴史の中で中央と地方の役回りが定められてきました。大化の改新の後には、全国各地に国府が設けられました。関東平野の西部に位置する武蔵国の国府となったのが東京都府中市です。古くから交通や産業の中心であった多摩川沿いのエリアには、数多くの歴史的な遺物が残されています。府中市郷土の森博物館には、市内の江戸時代中期から昭和時代初期の建築物を移築復元して保存しています。歴史的な建造物の周囲には多種多様の植物が植栽されています。例年5月下旬から7月上旬にかけて、あじさいが園内を初夏の彩りで包み、「郷土の森あじさいまつり」が開催されています。2021年は5月29日~2021年7月4日の期間で行われています。
あじさいの花が季節の彩りを添える歴史的な建築物
府中市郷土の森博物館は、約14万平方メートルの敷地に歴史的な建築物が移築されるばかりでなく、府中の自然、地形、風土の特徴をトータルに表現する珍しい博物館です。正門を潜り博物館本館前のけやき並木を歩くと、左右に4つの建物が歴史感を漂わせています。各々あじさいの花で彩られ季節感を添えてくれています。
けやき並木の南端に並ぶ4つの歴史建築の中で、最も西に建つのは旧府中郵便取扱所です。1868年に開設された郵便局ですが旧矢島家の住宅だったのです。
旧府中郵便取扱所に東に隣接するのは、1921年に竣工した旧府中町役場庁舎です。
旧府中町役場庁舎の東に建つのは旧島田家住宅です。1888年に創建された蔵造りの店舗には、島田薬舗の看板が掲げられています。
旧島田家住宅の東に建つのは旧河内家住宅です。浅間山の麓の人見街道沿いにあった茅葺き農家で、創建は江戸時代の後期ですが、養蚕が盛んに行われた明治時代後期の姿で復元されています。
4つの歴史建築が並ぶエリアの南にも旧越智家住宅、水車小屋、西には旧三岡家長屋門が、季節の化粧を纏いながら歴史感を漂わせています。
約1万株のあじさいが植栽される府中市郷土の森博物館
府中市郷土の森博物館には建造物ばかりでなく、武蔵野の自然も大切に保存されています。園内には約1万株のあじさいが植栽されています。エリアごとに個性的な表情を見せてくれます。けやき並木の西に接する芝生広場の周囲は「アナベルの小径」となっています。
豊かな表情が漲る「あじさいの小径」、「あじさいの丘」、「アナベルの丘」
「アナベルの小径」から旧三岡家長屋門を横目に南に向かうと、「あじさいの小径」です。ガクアジサイやヤマアジサイが左右から迫る小径では、自然のシャワーを浴びているかのようです。
「あじさいの小径」の南端から東に続くのは「あじさいの丘」です。大人の腰くらいの背丈のあじさいが、数十メートルのラインを作っています。低木ではあっても鮮やかな彩りを放ちます。
「あじさいの丘」から南に進むと「アナベルの丘」です。縦横、数メートル、数十メートルのエリアにアナベルの花が隙間をあけることなく寄り添います。
府中市郷土の森博物館には、数多くの歴史的な建築物が移築されるばかりでなく、武蔵野の自然が保存されています。園内には約1万株のあじさいが植栽され、エリアごとに異なる情緒を漂わせています。例年5月下旬から7月上旬には園内は初夏の彩りで包まれ、「郷土の森あじさいまつり」が開催されています。