春分の日・秋分の日は昼と夜の長さが同じになりますが、これは太陽の運行状況が関係しています。この太陽の通り道が、日本各地の神社や名峰などのパワースポットを一直線に結んでいることをご存じでしょうか?
遺跡やパワースポットが直線的に並ぶように存在している状態は「レイライン」と呼ばれたりしていますが、日本にもそのような直線はいくつかあります。中でも有名なのが春分の日と秋分の日の太陽の通り道である通称「ご来光の道」です。この記事で紹介しましょう。
「レイライン」って何?
レイライン(光の道)とは、1920年代にイギリスのアマチュア考古学者によって提唱された言葉で、古代の遺跡やパワースポットが一直線上に並んでいたり、大地に天体の配置と同じように聖地が並んでいる状態を指します。
天文学の知識を持つはずもない古代の人々の聖地が、なぜ一定の関係性をもって並んでいるのか?偶然なのか必然なのか論争は続いていますが、今だもって大きな謎とされています。
レイラインは、地球のパワフルなエネルギーが流れる道筋で「地脈」「龍脈」とも呼ばれます。ライン上に点在するパワースポットは、地球のエネルギーを吹き出して調整しているポイントと考える説もあります。
発祥地イギリスで有名なレイラインは「セント・マイケルズ・レイライン」です。このレイライン上には主なもので15か所以上の教会や古代遺跡が点在しており、ほとんどが大天使ミカエルに由来するのものためこの名で呼ばれています。
エイブベリーの真ん中に位置するパブの壁にこんな図がありました。聖マイケルのレイライン。レイラインは東洋の龍脈みたいなものなのですが詳しい話は割愛しますね。この図はレイラインに沿って直線上に遺跡が並んでいることを示しています。 pic.twitter.com/GfLvOgnGfr
— らっど (@C_ladofLoenois) February 12, 2020
日本屈指のレイライン「ご来光の道」とは?
日本でも遺跡や巨岩、神社、霊峰などのパワースポットが直線状に並んでいるレイラインは複数存在します。中でも最も有名なのがこの「ご来光の道」といっていいでしょう。
春分の日と秋分の日には、太陽が真東から昇り真西に沈みます。日本を代表する霊山、富士山と鳥取の大山は470㎞離れていてお互いは見えませんが、いずれもほぼ北緯35度22分に位置しており、このピーク間に線を引くと東西をまっすぐに貫きます。当然ながら春分、秋分の日にはこのライン上から日が昇り、日が沈みます。
このレイライン上には、意図的に配置されたと考えられている各国の一宮などの神社が並び、名峰や島などのパワースポットも連なります。春分の日、秋分の日には、複数のパワースポットを結んでいくかのように、太陽が進みます。それでは、このご来光の道の上に存在する主なパワースポット8か所を、東から順番にご紹介しましょう。
#玉前神社 ②当社は「御来光の道」と呼ばれるレイラインの東の起点といわれ春分と秋分の日、一の鳥居を太陽が照らしその延長線上には 寒川神社 富士山 都久夫須麻神社 元伊勢内宮皇大神社 大神山神社 出雲大社 等々が鎮座されています✨
8年ぶりの参詣でしたが 御朱印もカラフルになりましたね😄 pic.twitter.com/locSpZveBM— あきちゃん @ゆっくり 前向きに✨ (@akichan0923) November 4, 2020
①ご来光の道の最東端に鎮座する「玉前神社」
千葉県にある上総国一宮・玉前神社(たまさきじんじゃ)は、平安時代の文献にもその存在が記されている歴史ある神社です。一の鳥居は真東を向いおり、春分の日・秋分の日に東側の九十九里から昇った太陽が、鳥居を真っ直ぐに照らすそうです。荘厳なこの光景は、東からの「ご来光の道」の起点としてふさわしいといえるでしょう。
②全国唯一!八方除けのご利益がある「寒川神社」
全国唯一の八方除け(はっぽうよけ)の守護神として知られるのは、神奈川県にある相模国一宮・寒川神社です。八方除けとは、身に降りかかるすべての厄災から身を守るご神徳のこと。
約1600年にも及ぶ長い歴史のなかで、源頼朝、武田信玄、徳川家代々から篤い信仰を受けてきたことからも、霊験あらたかなパワースポットであることがうかがい知ることができます。現在も八方除けのご神徳を求め、全国から崇敬者が集まります。
③名実ともに日本一の霊峰「富士山」
日本一の標高3,776mを誇る霊峰、富士山。山の多い日本では、各地で古くから山岳信仰が盛んでしたが、富士山信仰はその最たるものといってよいでしょう。
活火山だった平安時代頃は、自然に対する畏怖の象徴として、その後、休火山となってからは秀麗な山容が多くの人の信仰を集めてきました。富士山の山中にも数々のパワースポットとされる場所や神社があり、さまざまなご利益や伝承が伝えられています。
④七面大明神を祀る霊山「七面山」
山梨県の七面山は南アルプス連峰にあり、山梨百名山のひとつ。法華経信徒を守護する「七面大明神」を祀る標高1,982mの霊山です。
山頂近くの平坦地に鎮座し、富士山を真東に臨む敬慎院からは、毎朝富士山からのご来光を拝めますが、春分の日・秋分の日にはダイヤモンド富士を見ることができます。ダイヤモンド富士とは、富士山のちょうど山頂部から太陽が昇る光景。天気が良ければ富士山の裾野にひろがる雲海を光が神々しく照らし出し、とても神秘的な景色が眼前に広がります。
⑤琵琶湖に浮かぶパワースポット「竹生島」
竹生島(ちくぶしま)は、日本最大・最古の湖として知られる琵琶湖に浮かぶ島です。竹生島内にたたずむ都久夫須麻(つくぶすま)神社には、水神として崇められてきた浅井姫命が鎮座していると伝えられています。
春分の日・秋分の日に琵琶湖西岸の高島市から東を見ると、竹生島と琵琶湖東岸にある伊吹山と日の出が一直線上に並ぶ神秘的な光景が楽しめるそうです。
⑥伊勢神宮のふるさと「元伊勢」
元伊勢とは、伊勢神宮に辿り着く前に天照大神が一時的に祀られた故事が残る場所です。元伊勢伝承が残る場所はいくつかありますが、そのなかでも京都府福知山市に位置する元伊勢内宮皇大神社は春分の日、秋分の日のご来光の道の上に位置します。
茅葺きの神明造や素朴で原初的な黒木の鳥居と、巨木や鬱蒼とした森があいまって、古の神社のたたずまいと霊気が満ちたパワースポットとして知られています。
⑦別名・伯耆富士とも呼ばれる名峰「大山」
中国地方最高峰の標高1,729mを誇る鳥取県・大山(だいせん)は伯耆富士(ほうきふじ)とも呼ばれる名峰です。霊峰としての歴史は古く、奈良時代より「大いなる神の在ます山」として人々に崇敬され、平安時代以降は山岳信仰の霊場として大いに栄えました。
⑧八百万の神が集まる「出雲大社」
ご来光の道の最も西に位置するのは、神話のふるさと出雲を象徴する、島根県・出雲大社。主祭神はだいこく様として馴染みの深い大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)です。
日本最古の歴史書「古事記」にその創建の由来が記されているほど歴史は古く、全国から八百万(やおよろず)の神が集まることでも知られています。
まとめ
パワースポットが直線状に一列に並ぶ不思議な「レイライン」と、日本屈指のレイラインとされる「ご来光の道」をご紹介しました。
霊験あらたかなそれぞれのスポットは、地脈上で地球からのエネルギーを湧き出させているだけでなく、太陽からもパワーが降り注いでいるのかもしれませんね。春分の日、秋分の日にはこのパワーを体感しに現地を訪れてみてはいかがでしょうか。