皆さんの周りに所謂「性的マイノリティ」の方はいますか?もしくはご自身がそうである方もいらっしゃるかもしれません。
「レインボープライド」は、性的マイノリティの存在を社会に広め、「”性”と”生”の多様性」を祝福するイベント。華やかなパレードで知られ、世界中でも広がるこの祭典は、東京でも行われています。
どんなことをやってるの?
当事者じゃなくても行っていいの?
子ども連れでも大丈夫なの?
そんな心配はご無用!筆者も今年初めてこのイベントに参加した一人。読者の皆さんに、まずは最初の一歩を踏み出していただけるよう、ビギナー目線でこのお祭りについてレポートします。
目次
1.「らしく、たのしく、ほこらしく」!レインボープライドとは?
もう一般的に知られるようになりましたが、LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの略。最近では、そのいずれにも当てはまらない、または決められない(決めたくない)「クィア」「クエスチョニング」を表すQも含めLGBTQ+ともいわれることも増えてきました。
レインボーカラーは、彼らの権利、尊厳、社会活動を象徴する色。それを表現し、広く社会に広めるためのイベントが「レインボープライド」です。ステージパフォーマンスやフードブース、そして大規模なパレードが行われるほか、パーティやクラブイベント、シンポジウムなど様々な催しを開催。当事者やその周りの人々はもちろん、初めて訪れる人も楽しみながら多様性に触れることができます。
このレインボープライドの日本最大となるのが、東京渋谷区代々木公園の「東京レインボープライド(以下TRP)」。2019年は4月28日29日に盛大に開催されました。
主催は「NPO法人 東京レインボープライド」。「らしく、たのしく、ほこらしく」をモットーに活動する同法人のホームページには、以下のように書かれています。
「『東京レインボープライド2019』のテーマは、 「I HAVE PRIDE」。 私たちは、ひとりひとりが「PRIDE」を持っています。私たちは、異常でも、病気でもありません。恥ずべき存在でも、嫌悪される存在でもありません。ひとりひとりの「PRIDE」が尊重され、輝いていくこと。 そして、「私=I」から「私たち=We」へ、「PRIDE」が結びついていくこと。25周年と50周年という記念すべき年(詳しくは後述します)に「PRIDE」の原点に立ち戻り、らしく、たのしく、ほこらしく、手に手をとって、これからも行進を続けていきましょう。いつの日か、真に公平で寛容な、すべての人があるがままを誇れる、愛にあふれる社会が実現する、その日を夢見て。。。」
さあ、どんな人でもウェルカムのこのイベント、詳しく見ていきましょう。
2.カラフルな衣装!ステージパフォーマンスも楽しい!
レインボープライドで目につくのは、やはりド派手なファッション。TRPでも、もちろん、様々な衣装の参加者がまさに誇らしげに歩いています。
中央のステージではライブも目白押し!これまでも有名アーティストが出演して話題になりましたね。
今年のオフィシャルソングはこちら!
3.フードブースも充実!食べて飲んで、LGBTを身近に感じよう!
多様性を祝う祭典だけあって、参加者も食べ物も、国際色豊か!中でもレインボーカラーに彩られた食べ物はSNS映えするともあって、大人気です。
4.企業、自治体も多数出展。誰もが生きやすい社会を支える
イベントに参加して驚いたのが、多数の自治体、弁護士会、企業、大学が出店していること。同性パートナーシップなどの法整備を進める自治体、マイノリティの雇用を進めたり、LGBTQ+にとっての様々な障害をクリアする企業のブースが見られました。
こうやって見てみると、職を探すにも、家を借りるにも、洋服を選ぶ人も、温泉に行くにも、公衆トイレを使うにも、「そういえばこういう時に困る人がいるんだな」と気付かされます。このイベントはアクティブに動かなくても、もう一つの目線を持ち、他人にやさしくなるきっかけを与えてくれるものでもあります。
5.一緒に歩く?沿道で応援?パレードに参加しよう!
レインボープライドと言えば、やはりパレード。2019年TRPでは、4月29日過去最大の52団体、約1万1千人が参加。渋谷・原宿の街を思い思いの衣装で彩りました。
自分らしくあると感じるファッションに身を包んだダンサーたちが声援を受ける様子は、なんともグッと来て、思わず涙が出そうになりました。
6.「私たちはなぜ歩くのか」。パレードのリーダーにインタビュー。
パレードのオオトリは阿波踊りのお囃子が。踊る阿呆に見る阿呆、沿道も含め、大いに盛り上がりました。
パレードにはだれでも参加することができます。私も小学生の息子とともに、列に加わりました。思い切り踊って、声を出して、汗だくになって。本当に清々しい汗でした。
パレード&阿波踊り企画の実行リーダー 高浪さんにお話を伺いました。
「今回のパレードの企画については、以前からTRP事務局さんが私の阿波踊り活動をご存知だった事から、直々にオファーを頂いたのがきっかけでした。そのオファーが3月初旬だったので、準備期間は約1ヶ月しかなく、しかもパレードの大トリを任したいとの依頼。受けるか否か悩みまました。」
高浪さんが生まれた1960年代は、今でいうLGBTQ+にとって転換期となる時期でした。当時は「ゲイ」と呼ばれるのが一般的であった若者たちが、ニューヨークにおいて警察の取締りに反発し暴動をおこしました。所謂「ストーンウオールの反乱」と呼ばれる事件です。これがきっかけで、LGBTQ+たちの権利を主張するパレードが始まり、現在のレインボープライドに繋がったのです。
「ストーンウオールの反乱から25年後、東京で初のレインボーパレードが開催されました。当時25歳だった私は軽い感覚で参加したものの、沿道の方々からは冷ややかな目で見られるだけ、、、とても心苦しい気持ちだった事を今でも覚えています。」高浪さんは振り返ります。
「私が若いころは、当時は今のようなオネエブームなどは無く、ただのオカマ扱いしかありませんでした。周りからは気持ち悪い存在でしか無かった。
私も色々な差別や迫害を受け、辛く涙した事も沢山ありました。中でも、好きになってしまった男性から『気持ち悪い!』と言われた事は本当に辛かったです。」
東京初のレインボーパレード25年の節目。パレードのオファーを受けたときは、今までの50年間が走馬灯のように頭を駆け巡ったといいます。
「短い準備期間で人が集まるか、、、それが一番の心配でした。でも、可能性が1%でもあるならヤルべきだ!と判断し、TRP事務局との協議が始まったのです。
まず、私と仲良くして下さっている阿波踊り関係者の方々に作成した資料を渡しながら声掛けをしました。本当にアチコチに声掛けしました。
パレード当日から逆算して、Tシャツデザインを考え、エントリー締め切りを設け、少しずつではありましたが人が集まり出し、これなら行ける!と確信しました。
何人かの阿波踊り仲間には、人集めに協力を頂き本当に感謝しています。」
何度も神仏にもお願いをして迎えた当日。雨続きのゴールデンウィークの中、奇跡のような晴天。代々木公園から渋谷、原宿の目抜き通りが、阿波踊りの掛け声「ヤットサー!」そして、「ハッピープライド!」の掛け声に包まれました。
パレードは無我夢中だったという高浪さん。
「あれよあれよとスタートし、いつの間にか終わっていました。でも参加して下さった皆さんの笑顔だけは記憶しています。私はその皆さんの笑顔だけで満足でした。
今回、レインボーパレードや私の人生の節目にTRP運営に関わる機会を与えられた事は一生の宝物です。」
パレード🌈は盛大に終了しました! 参加者数は過去最大の10915人!!✨ 参加いただいた皆さん、ありがとうございました。Happy Pride!! 明日もイベントは続きます。代々木公園でお待ちしています🌈 pic.twitter.com/1hZpudBIXk
— 東京レインボープライド #TRP (@Tokyo_R_Pride) April 28, 2019
私(筆者)ははじめ、正直なぜレインボープライドはパレードを伴うのかわかりませんでした。でも、自分らしくあることが制限される彼らが、大手を振って歩けること。画面に映ることをためらわないこと。それがどれだけ大切なのか。それがパレードに参加して初めてわかりました。
お祭りは、いろいろな人が一つになる最高のツールです。
東京ほか札幌、青森、大阪、名古屋、福岡、熊本でも行われるレインボープライド。まずは気軽に足を運んでみませんか?
東京レインボープライド イベント公式ウェブサイト https://tokyorainbowpride.com/
NPO法人 東京レインボープライド 公式ウェブサイト https://tokyorainbowpride.org/