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◆渡月橋の昔の名前は「法輪寺橋」だった!
江戸時代まで渡月橋は「法輪寺橋」という名前でした。
その渡月橋からすぐそばに「法輪寺」はあります。
およそ1300年前の和銅6年(713年)に元明天皇の勅願により行基菩薩が創建したのがはじまりです。
清少納言の『枕草子』では、京都の代表的な寺院として挙げられ、本尊のご利益は『今昔物語』にも描かれています。
法輪寺Webより
◆菊の節句に菊酒で不老長寿をあやかる
毎年9月9日に法輪寺では「重陽の節句(ちょうようのせっく)」が行われます。
9月9日は陰陽道では陽数(奇数)の中でも最大の数9が重なり、大変おめでたい日とされています。
また旧暦の9月9日は菊の花の咲く時期から菊の節句とも言われています。
重陽の節句の前日に菊の花に『着せ綿』を載せて露を吸い取り、節句の日に綿で体を拭くと長寿を保つと伝わっています。
菊の花びらを浮かべたり、菊の露の入った菊酒を飲み、不老長寿、無病息災を願います。
◆少年のまま700歳の長寿!「菊慈童(きくじどう)」
菊の力で七百歳の長寿になったという「菊慈童」の像を祀り、法要が行われます。
「菊慈童」は中国の物語で、主人公は周の穆王 (ぼくおう) の寵愛を受けていた容姿端麗の童「慈童」です。
あるとき主人の枕をまたいでしまい、南陽郡酈県(れきけん)に不敬罪のため流刑となってしまいます。
穆王は慈童を哀れみ、経文の書かれた枕を授けます。
その法華経を忘れないようにと慈童が菊の葉に書きつけたところ、菊の雫が不老不死の霊薬となり、慈童は仙人になりました。
美しい少年の姿のまま不老長寿になったという慈童。
お人形の顔も幼く可愛らしい。
帝の枕に記されていた四句の偈
『具一切功徳慈原眼視衆生。福壽海無量是故應頂禮。』
(仏は一切の功徳をそなえ、慈しみの眼で衆生を見る。その福徳は集まり、海のように尽きることなく広大である。それゆえにまさに深く礼拝せよ。)
能.com参照
◆華麗で優美な舞!謡楽 金剛流 能「枕慈童」
金剛流は能楽シテ方五流派のひとつ。
この5つの流儀のうち、京都に宗家がある唯一の流儀で、華麗で優美な舞が特徴です。
番組名は、「菊慈童」は観世流、「枕慈童」は金剛流となります。
『枕慈童』物語
魏の文帝の勅使が酈県山(れきけんざん)の薬水の源を探るために山の奥に入って行くと、怪しい少年に出会います。
勅使が怪しみ、少年に名を尋ねると「周の穆王 (ぼくおう) に仕えていた慈童である」と答えます。
勅使はすでに周の時代からは700年の時が経っているため、化け物ではないかと問い詰めると、慈童は穆王から拝領した枕を見せます。
慈童は枕に書かれた経文を菊の葉にしたためたことで、その露が不老不死の薬となって、700歳の長寿を得たと答え、勅使の一行と一緒に酈県山の霊水を酒として味わいます。
慈童は舞い、枕のおかげで700年の寿命をいただいた。
千年も万年も栄えるようにと祈念して、菊をかき分けて山の中の仙家に帰ります。
氷の上を滑っているような静かな移動、一切無駄のない動きと美しい回転。
いかにも能らしい「よぉー!」という声の後、堤の「ポン!」という音で最後は終了。
日本の美意識が凝縮された一曲でした。
◆重陽の節会限定 授与品「菜萸袋(ぐみぶくろ)」
茱萸袋は、重陽の節句の日のみ授与できます。
これは茱萸の実を入れた袋を柱にかけたり、身に着けることで、香りによって邪気が払われ、長寿になれるという故事にちなんでいます。
もうひとつ、法輪寺でいただいておきたいのはSDカード!(※SDは通年です)
中にはなんと「虚空蔵求聞持法の御本尊」が入っています…!
法輪寺には電電宮(でんでんぐう)という電気電波関係業界の発展を祈願する場所があることからも、納得の授与品です。
法輪寺は他にも見どころ満載!
春は境内に桜が咲き、冬は嵐山花灯路のときに「デジタル掛け軸」ライトアップが行われます。
京都嵐山にお越しの際はぜひ、ご参拝を。
虚空蔵法輪寺
〒616-0006 京都府京都市西京区嵐山虚空蔵山町
TEL 075-862-0013
FAX 075-861-1830
E-mail [email protected]
https://www.kokuzohourinji.com/
主要行事:3月10日 芸能上達祈願祭、3月13~5月13日 春の十三まいり(実際は通年で祈祷可能)、9月9日 重陽の節会、10月15日 人形感謝祭、12月8日 針供養法要
重陽の節句では13:00から法要、奉納舞、菊酒の振舞いがあります。
金剛能楽堂
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