山梨県市川三郷町で毎年8月7日に開催されている神明の花火などの花火大会を担当している株式会社マルゴーが立ち上げているオンラインストアについて取材をさせて頂きました。
新型コロナウイルスにより、全国の花火大会が中止になり花火業界は壊滅的なダメージを受けましたが、そんな中でも早々に次の行動を起こした花火会社さんです。
今回は専務である齊木啓介さんにお話を聞かせて頂きました。今でこそ色々な御縁を通じて全国の花火師さんと関わりを持たせて頂いておりますが、生まれて初めて知り合いになった花火師さんが彼です。
昔から花火ファンを大切にしている人であり、今回は普段から付き合いのある花火仲間もオンライン取材に参加させても良いとの事でお言葉に甘えさせて頂きました。かなり雑談も多かったのですが、そんな中での取材内容です。
マルゴーオンラインストア取材対談
蛭田(ライター):本日は宜しくお願いします。早速ですが、今回お聞きしたいマルゴーオンラインショップについて、どう言った経緯で作ることになったのでしょうか?
齊木(花火師):新型コロナウイルスの影響で軒並み花火大会が中止になってしまい、「そろそろ何かやらないとヤバいよね?」と言うのがスタートになります。
花火の製造をしようにも、すぐに火薬庫がいっぱいになってしまうので会社も休業せざるを得なくなり、そんな状況の中でも何か花火屋にあるものを使って、お金に換えていこうと従業員全体でアイディアを出し合いました。オンラインストア自体は以前から会社にあったので、それを販売先として活用しています。
蛭田(ライター):オンラインストアの売り上げは順調でしょうか?
齊木(花火師):商品の中にはすぐに売り切れになってしまったりと、皆様にご協力頂いているおかげで順調です。
蛭田(ライター):一押しの商品はやっぱり花火作り体験キットですかね?そう言えば購入者の面白い動画が流れてましたが…。
提供:hiramu55bocabocaさん ※全国各地の花火大会動画も公開しています
齊木(花火師):まさかあんな使い方をするとは想定外でした(笑)本来は花火の星を自分の好きな型物花火とか(ハートなどの花火)に並べてボンドで接着し、オブジェとして飾って貰う様になっています。
中身で使用されているのは、当然ながら本物の火薬ではないのですが、花火屋で普段使っているものになります。花火の星の部分は石膏を星掛けして作り(少しずつ火薬の粒を大きくしていく事)、外側の部分は割粉の芯(最初の核になる部分)を墨汁で黒く染めています。
蛭田(ライター):かなり本格的に作ってるんですね。そう言えば以前、鶏料理をチラッと見掛けたのですが、あれは中止になったのでしょうか?
齊木(花火師):いや、今でもありますよ。あれはマルゴーマーケットと言う別のサイトに掲載しています。ちょっとカテゴリーが違うので、同じサイトでは売れないだろうって事で移動になりました。
実は花火大会を主催している人達は、本業の合間に自分の時間を使って花火大会を開催してくれています。言わば、本業をないがしろにしている部分もあり、そんな人達に少しでも恩返しができればと言う思いで立ち上げました。
例えば何か食材を作ってる方がいれば、マルゴーマーケットに掲載する事ができます。こちらとしても仲介するだけなので手間はそんなに掛かりません。今は地元の商品が多いですが、今後は自社を使ってくれている全国の主催者にあたっていくので、品数も増えていくと思います。
蛭田(ライター):ありがとうございます。ところで本業の花火の方がはどうでしょうか?
齊木(花火師):6月1日に全国の業者が一斉に花火を打ち上げたCheer Up!花火プロジェクト以降は小さい現場などからも声が掛かって来る様になってきました。これまでは新型コロナウイルスの影響で休業せざるを得ませんでしたが、7月からは花火の製造も再開しようと思っています。
蛭田(ライター):そう言えばSNSでマルゴーの花火を打ち上げられるバスツアーの募集を見掛けました。そちらはどうなのでしょうか?
齊木(花火師):こちらで主催している訳ではないのですが、日程的には埋まって来ているのもあるって聞きましたよ。自分達にとっては、やっぱり花火を打ち上げられる環境は有難いですね。
花火仲間:現在、花火師を支援する為にクラウドファンディングやオンラインストア、プライベート花火などがありますが、会社としては、どれがマッチしてると思いますか?
齊木(花火師):会社としてはオンラインストアが良かったと思います。従業員みんなで意見を出し合っていけたのも良かったし、これからも本業の傍らで継続していく事もできます。トートバッグや手拭いなど新商品も増えていっています。
蛭田(ライター):個人的には今回のコロナ禍によって花火師を支援する事で、今までは無料で花火を見るのが当たり前だった人達にもお金を出して花火を観覧してくれる人が増えていくといいなと思っています。
また、現在行われている人を集めない為の短時間の打ち上げにより、皮肉にも職人によって作られた芸術的な花火をしっかりと見て貰う機会が生まれている気がします。
これまでは残念ながら花火大会に行く目的は花火を見ると言うよりもビール片手に雰囲気を楽しみに行っている人が大多数です。日本の花火の価値を再認識して欲しいなと思っています。
齊木(花火師):そうですね。今回の事で職人離れがあると以前のクオリティを出せるまでどれくらい必要なのかわかりません。これからもっと色々なアイディアが出て沢山の花火業界を支援する企画が増えていくと思いますが、何とか業界全体でこの危機的状況を乗り越えていきたいものです。