もしも周囲になんの気兼ねもなく休暇が取れるとしたら…
あなたはもっと休みたいですか?それとも現状に満足でしょうか。
2019年4月から労働基準法の改正により、年次有給休暇が10日以上付与されている労働者に対して、
5日間については使用者が時季を指定して取得させることが必要になります。
背景にあるのは、職場への配慮やためらいによる低調な有給の取得率。
自由に休暇が取れたら、平日のお祭りにも行ける!と思ったの私だけじゃないですよね?
それにしても、お祭りが休日開催ばっかりだったら有給消費しなくても行けるのにーって…
あれ?昔は土日とかなかったのかな。むしろ、お祭りが土日に合わせて開催日を変えてきたってこと?
今回はそんな素朴な疑問について調べてみました!
まずは自分の休暇!把握していますか?
大事なことなので、大きな声で言いますね。「みんな!全然有給消化してないよ!!」
世界最大級の総合旅行サイト、エクスペディアの調査によると日本は20日の有給のうち平均取得日数が10日。
他国に比べて支給日数はそれなりにある割に、使わない(使えない?)で残している様子。
でも実際、10日も有給取れていたらホワイトじゃない?と思っちゃいますよね。
(「有給休暇国際比較調査2018」世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディア調べ)
そんな「休みを取らない理由」としては、
1位「人手不足」
2位「緊急時のためにとっておく」
3位「仕事する気がないと思われたくない」
万全も万全!大分休みを備蓄していますね。そして3位…滲み出るリアルな心の声。
(「有給休暇国際比較調査2018」世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディア調べ)
30日の休暇を100%消化しているフランスの方が日本より「もっと休みくれ」と声をあげているという驚愕の結果に。
「土日・祝日以上ニ休ミヲ欲シガルナンテ贅沢ダ!」とインストールでもされているのか…
私たちは昔からこういった感覚をもっていたのでしょうか。
昔の人はいつお休みしていたの?
生活の基盤が農業であったころ、休日は「村」という共同体ごとに決められていました。
17世紀末前後には年間20日~30日ほどだった休日(少なっ!)が、徐々に増えていったそう。
大体決まっていた田植え・稲刈り休み、雨祝いの他にも、色々な祝祭行為を「遊び日」として休日に
するよう働きかけたそうです。もしかすると…今の時代よりも主体的にお休みを楽しんでいたのかもしれません。
そして、毎月1日・15日を定休とするような地域も増えていったそうです。
関係は定かではありませんが、今も15日で固定したお祭りは存在します。例えば
・4/14(日)~15(月) 岐阜県 高山祭
・4/15(月)神奈川県 日向薬師の春祭り
・5/15(水)京都府 葵祭り など。
そうそう!何月にどこでどんなお祭りが行われているかはオマツリジャパンHPの「開催月から探す」
というページで詳細に検索できますのでぜひチェックしてみてくださいね。
規制や取り締まりを受けながらも、こうして徐々に村の休日は増えていきます。
しかし、順調に増えていくかと思いきや、やがてターニングポイントを迎えることに。
明治の改暦で日曜日がお休みに!
「明治五年(1872)十二月三日を以って、明治六年(1873)一月一日とする」
明治政府は天保歴(旧暦)からグレゴリオ暦へと改暦に踏み切ります。
それまで使っていた「五節供」はこの時排除され、天長節・紀元節等の祝祭日と日曜日を休日とする政策がスタート。
最初はそこまで浸透していなかったものの、高度成長期の頃には村ごとに異なっていた休日は画一化され、
お祭りの開催日についても日曜・祝日にあわせる傾向が出てきたようです。
このことについて、古川貞雄氏は『増補 村の遊び日 自治の源流を探る』の中で
“都市の町々のまつる小さな神社の祭礼日となると、日曜・祝日でないもののほうがまれになってきていよう。
これは当たり前といえば当たり前のようだが、ほんらいの神の祭り日の姿からすれば異常事態であろう。(中略)
神事祭礼日までが、企業の論理にからめとられ、さらには祝祭日と労働休日を法規制する国家権力の支配の網の目にとりこまれてきた姿が、そこにはある。神々の、最終的な国家の支配への屈服である。”
と語っています。
ちなみに、土曜日を最初に休みにした企業は松下電器産業(現パナソニック)の1965年。
官公庁に導入されたのはそれからずいぶん後の1990年頃になります。
海外との競争が激化していく中で、生産性をより上げるために「一日休養、一日教養」と社員の自主的な
活動を期待した松下幸之助の思いがあったそうです。
最近では、さらなる生産性を求めて国が主体となった「働き方改革」が進められていますが、
これまでがむしゃらに働くのがよしとされてきた中で、すんなりと体質を変えられないのがつらいところ。
やっぱり、休むのってちょっと後ろめたいんですよね。
お祭りに合わせて有給を取ってくださいね!という取り組みも
そんな休みにくい風潮を変えようと政府は動き出します。
平成14年に『休暇改革は「コロンブスの卵」』(経済産業省、国土交通省、㈶自由デザイン協会)』を発表。
当時の資料によれば、年次有給休暇の完全取得が実現すると「約12兆円の経済波及効果、約150万人の雇用創出が確認」されたと、経済効果への期待がこめられていました。
そのような中、平成22年度には地域の活性化や家族のだんらん等を目指した観光庁による「家族の時間プロジェクト」もスタート。これは大人(企業)と子ども(学校)の休みのマッチングを行う事業です。
取り組みに関連して、熊本県人吉市の「おくんち祭」、愛媛県新居浜市の「新居浜太鼓祭り」、埼玉県秩父地域での「秩父夜祭」などに合わせて休暇の取得促進という動きもありました。
『地域の行事と連動した年次有給休暇の取得を促進します』(厚生労働省)
お休みのありかたを考えるきっかけに
他方、兵庫県のある地域でお祭りを休むと罰金一万円!というショッキングな話題も。
(「祭りを休むと「罰金1万円」、仕事やレジャー理由はダメ…そんなルールは法的に有効?」
弁護士ドットコムニュース)
休み自体はありがたいけれど、いきすぎた取得の義務化や使い道を強制してしまうと、もはやそれは休みと呼べるのか…。いずれにしても、主体的な立場であればあるほどお休みを楽しむことができるのだと祭日を勝ち取ってきた昔の人たちが身をもって教えてくれているような気がします。
安定した労働環境と引き換えに、失ってきた身体感覚を探しに!?お祭りへ出かけてみませんか。