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「メンドン」鬼界の島の奇怪な神様|観光経済新聞

「メンドン」鬼界の島の奇怪な神様|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

鬼界の島の奇怪な神様

鹿児島県三島村。鬼界カルデラの北縁に形成された火山島、薩摩硫黄島にはユネスコ無形文化遺産に登録された来訪神メンドンがいる。火山の国らしく真っ赤で活力のある奇怪な容姿のメンドンは、一目見たいと人々の興味をそそる。自分もそのうちの一人であり、連日続いた台風が収まってから呑気に民宿へ電話をかけると、「その日は祭事がありますから」と、もう島中どこも空きがないという。ユネスコ登録で認知度が高まったことも追い風となり、人口121人の静かな島が観光客で一斉ににぎわいをみせると聞いて驚嘆した。結局諦めがつかず寝床のテントを背中に担いで慣れない船旅をスタートした。

現地に売店や飲食店がないので必要なものは全て持って船に乗るようにという観光課のアドバイスがグルグルと頭を回っている。ツアー客を横目に持参した食料を心配したり、爽快な海原に感激したり、落ち着きなく過ごすうちにあっという間に硫黄島へ到着した。驚くことに海がオレンジ色に染まっている。訳を聞くと鉄分の影響だと分かった。見上げると標高703・7メートルの硫黄岳が常時噴煙を上げている。

実際目にしたメンドンはかなりのいたずら好きだった。至る所でイテテという騒ぎ声と笑い声が湧く。無邪気に走り回る神様に枝葉でたたかれると、かしこまった客の緊張がほぐれ、島になじんでいくような気がした。メンドンでにぎわうすぐそばでは八朔太鼓踊りが披露される。矢旗を背負い、掛け声とともに力強く太鼓を打ち鳴らし1時間以上踊り続ける。圧倒的な勇ましさと忍耐に感動するとともに神聖さを感じた。

祭りの最後に、保存会会長の徳田さんと話をした。今年は国際交流で踊り手の半数がギニアにいると言う。島一番の頑張り所を乗り切った、と話す歓喜の表情に思わずこちらもジンとした。その晩は、気持ちが高まり眠れずにいた。夜中テントの外へ出ると、頭上に無数の星が広がっている。空が近く、伸ばした手の先に星があった。

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written by
鹿ちゃん

鹿ちゃん

写真家として、日本中のお祭を撮りながら旅をしています。
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