12月31日の大晦日行事が有名な男鹿のナマハゲ。
男鹿では、ナマハゲ習俗を学べる施設「男鹿真山伝承館」や男鹿温泉郷のホテルなどで、なまはげによる問答を体験できることができ、迫力あるその様子を見ていると、一度自分も体験してみたくなります。
また毎年2月に行われる、なまはげ柴灯祭りもなまはげ関連の有名なお祭り。降りしきる雪の中、炎をバックに松明を掲げるなまはげからは、問答体験とは違ったかっこよさを感じられます。
ところで、実は男鹿には、観光のためにアレンジされた、もう一つのなまはげコンテンツがあるのをご存知でしたか?
それはズバリ、なまはげ太鼓というステージプログラム。
今回は、男鹿温泉郷にある交流会館・五風で行われた、2021年最後のなまはげ太鼓の様子をフォトレポートしていきます!
なまはげが来る緊張感を楽曲に!“神参”(しんざん)
なまはげ太鼓が行われるのは、男鹿温泉郷内にある、男鹿温泉郷交流会間・五風。訪れた際には、男鹿温泉郷にある様々なホテル、宿の送迎バスも並んでいました。たくさんの方が楽しみにしているんですね……!
パフォーマンスを行うのは、恩荷(おんが)という、和太鼓グループ。恩荷(おんが)は、秋田に住んでいた蝦夷(えみし・えぞ)の酋長の名で、男鹿(おが)の地名の由来であるとも云われているそう。
まず行われたのは“神参”という演目。来訪神なまはげが参上する、で神参と書きますが、音だけ聞くとナマハゲと縁の深い、真山神社や真山地区も思い浮かんできます。きっと狙いがあってつけられたものなのでしょうね…ニクいネーミングセンス……!
なまはげ面を身につけた演者が繰り出す、身体の芯までも揺らす怒涛の太鼓演奏、そして荒々しさを感じる振り付け。それらは、問答体験や柴灯まつりとは違った感覚で、なまはげらしさを感じさせてくれます。
なまはげが太鼓を叩き、演舞するなまはげ太鼓。
この取り組みが始まったのは昭和の終わりごろだそう。
もともと男鹿半島では古くから大晦日、男鹿のナマハゲ行事が行われていました。時が経つに連れ、ナマハゲが男鹿を盛り上げる存在として観光にも活用されるようになっていき、伝統の「ナマハゲ」、観光の「なまはげ」、という区別がされるようになります。そうして昭和の終わりごろ、男鹿を元気づけ盛り上げようと、観光の場面で活躍するなまはげと和太鼓を融合させた、古くて新しい男鹿独自の郷土芸能・なまはげ太鼓が行われるようになったのです。
恩荷という、グループの名にも伝統から生まれた革新の跡を窺い知ることができます。
秋田に住んでいた蝦夷(えみし・えぞ)の酋長の名を頂いたという、恩荷。古き良きものを大事にしつつ、新しいものを築いていければ!という想いから、男鹿やお客様から得た“恩”を“荷”として背負い、恩返しをしていこう、という決意が込められています。
男鹿の地の五穀豊穣を祝って “ニニギ”
“神参”の演奏が終わり、小休憩へ。その間にもMCの方によるじゃんけん大会が行われ、優勝者には、男鹿地方の名産品である鰰(ハタハタ)を開き乾燥させた、ハタハタ姿せんべいが送られました。
ハタハタは年々漁獲量が少なくなっており、一時期は禁漁となっていたお魚で、いまでも秋田県外には滅多に出回りません。いいなぁ……。
その後、演奏されたのは“ニニギ”という曲。にぎにぎしい、賑やかの語源で、元はニニギノミコトという神様を指します。ニニギノミコトは五穀豊穣の神様。演目ニニギは、男鹿に溢れる、田植えや盆踊り、稲刈り、ハタハタ漁などを一つにし、賑やかに盛り上げる、という願いをもってつくられた曲なのだそう。
とにかく盛り上がるのが特徴で、2021年最終日ということもあり、来場者の手拍子も視線と大きなものなっていきました。会場全体でがまるでライブ会場にでもなったかのような、大きな一体感と熱気。まさか、なまはげでこんな感覚が味わえるとは思ってもみませんでした。
おわりに
パフォーマンスをしている集団、恩荷は、男鹿地方に住む有志の若者たちで構成されており、この日も仕事終わってから練習し、本番を迎えたとMCで話してくれました。
彼らの夢は、男鹿温泉郷交流会館・五風を、2階建の現在より大きな会場にすることだといいます。たくさんの人が楽しまれている様子を見ていると、2階建ての会場を作れる日は近いのではないか?という気持ちを感じました。
大晦日のナマハゲ行事に加え、問答体験となまはげ柴灯まつりと並ぶ、もう一つのなまはげ。興味のある方はぜひ、足を運んでみてくださいね!