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【大曲の花火~冬の章~ 新作花火コレクション】全作品紹介!

更新日:2021/5/18 愛木 敬介
【大曲の花火~冬の章~ 新作花火コレクション】全作品紹介!

毎年8月の全国花火競技大会で有名な、秋田県大曲。

新型コロナウイルスの影響により、5月1日に開催する予定だった春の章が6月12日に延期された。今回は延期された春の章に向けて前回の冬の章を振り返ってみることにする。

2021年3月27日(土)、大曲の花火~冬の章~ が開催された。
ここ大曲では、夏の他に、冬の3月・春の5月・秋の10月と、四季4回の花火大会が行われている。
主催:大曲商工会議所

普通の大会では見られない!創作の新作玉

毎年3月第4土曜日に行われる~冬の章~は、「新作花火コレクション」と銘打ち、45歳以下の若手花火作家が新作花火を出品して競う、風変りな競技大会となっている。

この冬の章の前身は、2019年まで市内郊外のスキー場で行われていた「新作花火コレクションin大曲」(略称:新コレ)である。
主催が「NPO法人 大曲花火倶楽部」であったが、2019年に主催が大曲商工会議所に移り、大曲の花火四季開催構想の一環に組み入れる事になり、新コレを~冬の章~(新作コレクション)と改名し、夏と同じ河川敷会場での開催となった。2020年はコロナ禍により中止になった為、新コレが河川敷で開催されたのは今大会が初である。開催日も、3月第3土曜日から第4土曜日へと変更になっている。

各業者それぞれ、18発ずつの出品。玉のサイズは、4号玉・5号玉。これは、通常の花火大会で、単発で打ち上がる中サイズの玉である。たった18発?と侮るなかれ。普通の花火では無いのだ!芸術性を高めた新作花火。
しかも、打つタイミングや、玉が上空で咲く位置を調節し、イメージした世界を夜空に表現するのである。普通のスターマインよりも見応えがあるn!!

さらに!会場がスキー場から河川敷に移った事により、尺玉(10号)の打ち上げが可能になり、それに伴い、10号芯入り割り物1発・4号5号18発の競技内容になった。
10号玉に関しては、コメントしずらい作品もあったもので、4号・5号の部を紹介しよう(^_^;)

 

知っておくと花火が楽しくなる?!”花火用語”

出場作品の感想で、花火用語を多数用いるので、花火用語の説明を。ぜひぜひ参考に頂きたい!

◎基本

菊 : 線が跡を引きながら伸びて迫って来る花火
牡丹: 点が跡を引かずに飛んでくる花火

大学が文系・理系と分かれているように、花火は全て”菊”か”牡丹”に分かれる。
文系の○○学部、のように、菊の○○という花火名称になる。

ザラ:花火の下を彩る吹き出し状の光。
スターマインの時に、花火の打ち上った跡のようにたくさん出てくるもの。
近年は、扇状にパステルカラーが一斉に出てくるザラが増え、
各社ごとのバリエーションが豊富である。

◎形状

八方咲: 丸型ではなく、花びらやブローチのようなかわいいデザインの花火
千輪: 一度ドン!と爆音がした後、小さな小花が一斉に咲く花火
クロセット:トーナメント表のように、下へ行くにつれてどんどん二手に分かれて広がる花火
柳 : 枝垂桜のように、下へ垂れ下がる花火
ヤシ: “ヤシの木”を画像検索すると解るかも。あんな感じの花火
吊り物:パラシュートを着けて、ふわふわ夜空を浮きながら光を放つ花火
金冠(きんかむろ):フィナーレで大量に空を埋め尽くす、金色の優雅な花火
雷: ドーン!と爆音を鳴らす眩しい光玉。花火の最後の最後に打たれるアレ

◎光の状態

点滅: 光がキラキラ明るく点滅している花火
光露: 花火の線の先、消える間際に色が変わりパッと光るもの
時差: 色光がグルグル回ったり縦横無尽に動く花火
降砂菊: 金色の砂が空から降ってくるように、和火の昇った跡が金色になってゆく花火
和火: たき火のような、うす暗いオレンジ色の花火

◎パーツ

昇り分砲: 昇りながら、左右に分かれていく光
昇り小花: 花火が上空に昇る途中でポンポンと咲いちゃう、小さな小花
星 : 花火玉の中に入っている火薬玉。花火の色は全て星の色。
導火線から付いた火が割薬に移り、割薬が爆発して星に引火し、星が色を出しながら燃えてゆく。
割薬: 星に引火させる為の火薬

◎構造

内芯: 二重もしくは三重に層がある花火の、内側の層
菊先:菊の線の先、消える間際の所
盆 : 花火全体の丸型。丸型が綺麗だと”盆が整っている”、丸型が小さいと”盆が小さい”などと言う
肩 : 花火の光の筋。筋が均等にまっすぐ揃っていれば、肩の張りが良いと言う

 

十人十色!多種多様!!出場作品の感想

01 長野県 ㈲華松煙火 上条 僚士氏 「淡雪菊」
目が回るほどの高速時差が相変わらずお見事。
菊を暗めの和火にし、菊先に時差をもってくる事により、時差光が際立っていた。
自社の持ち味を生かす斬新なアイディア。

 

02 秋田県 ㈱小松煙火工業 伊藤 航也氏 「雪桜」
序盤で三方向に雪が降り、その中から桜が咲いて来る情景表現力にシビれる!
八方咲の下に千輪が咲く絶妙なデザインが、淡い桜に煌めく雪が添える景色を描く。
最後は満開の千輪桜が咲き誇り、雪面を照らした桜色が見事だった。

 

03 福岡県 ㈱ワキノアートファクトリー 相田 英寿氏 「春夏秋冬 」
カラーバリエーションの豊富さに目が喜ぶ!
四季の移ろいの楽しさを、多種多様な色と形で表現。
ただ、中盤の菊型花火が雑になってしまい、そこで全体のストーリー性バランスが崩れかけた印象も受けた。

 

04 秋田県 大久保煙火店 大久保 竜太氏 「線香花火」
何度見ても美しい、可憐な姿の八方咲が麗しく咲く誇る。
独特の優しい色合いとデザインの相性が調和している。
タイトルの線香花火を表したクロセットが、タイトル通り解りやすかった。

 

05 山梨県 ㈱マルゴー 齋木 啓介氏 「ミューズの瞳」
神話の女神をモチーフにする花火、結構多くて好きである。
強い目力!”目”にあたる内芯自体がグルグル回っていて面白い。
終盤、ライトな時差と点滅の組み合わせがスッキリしていたので、ハイペースに重ねても密にならずに爽快な演出であった!重ねてもイヤにならない芸術玉って斬新!

 

06 秋田県 響屋大曲煙火㈱ 齋藤 健太郎氏 「雪ドレスのティアラ」
昨年秋で魅せたクリアなブルーを活かし、雪の女王のティアラを表現。
青のティアラにライトブルーの千輪の組み合わせがバッチリで、再現力高い!
終盤、たくさんの白い昇り分砲の上に咲くブルーが、氷上の高嶺の花である女王に見えた。

 

07 秋田県 ㈱北日本花火興業 今野 貴文氏 「蓮の花に鎮座する千手観音 」
もはや、Art of HANABI!芸術性で突出している。
蓮の花に千手観音が乗るように、二つの花火の高さを完璧に調整し、タイトル通りの画を描く。
色を控えめにし、白・金・ライトブルーに統一する事により、荘厳な世界を夜空に出現させた。

 

08 東京都 ㈱丸玉屋小勝煙火店 小勝 康平氏 「氷彩花」
お家芸である高速時差。3月の秋田に合わるように、氷色が縦横無尽に動き回る。
雷の昇りが、かつての名作”イナビカリ”を彷彿とさせ、迫力と色彩のコラボが楽しかった。

 

09 埼玉県 オリエンタル火工㈱ 柳沢 和彦氏 「ヒガンバナ」
ヒガンバナを模しているのは解ったが、足りない。
芯を入れて、ボリュームのある花にしないと、物足りないと感じた。
最後の千輪連発でお花畑の情景は見えたが、いきなり感が出ていたかも。

 

10 静岡県 三遠煙火㈱ 小口 浩史氏 「光芒~天使の梯子~」
驚いた!昇りから上空で咲くヤシまで、全てが降砂菊!まさに天使の梯子!
左右の千輪の間から明るい白芯の八方咲が出てくる様子が、雲の切れ間から太陽光が現れる景色だったし、終盤にかけてのクリオネ千輪が、天で遊ぶ可憐な天使の舞に見えた。
花火の種類、配置、シーンの切り替え、それらが見事に調和した創造花火の世界。
三遠クオリティシビれる!!

 

11 静岡県 ㈱イケブン 上田 昇宏氏 「雪の結晶・冬風に舞うむつの花」
大きく広がるクロセットの迫力が楽しい!
もはや伝統になりつつある”イケブンブルー”。雪の結晶という冬のテーマにピッタリ!
オーバー気味に溢れる元気なクロセットが、まるで今季の豪雪を物語ってるようにも見えた(笑

 

12 秋田県 ㈱和火屋 久米川 和行氏 「花火美術館~ピカソが描いた青青の時代~」
極上!極上!究極のブルーがたまらない!ティファニーブルーとシャルトルブルー、華を添えるピンクパープル。
造形と相まって本当に美しい。終盤にかけてのバリエーションが増えれば、全体的なストーリー感がもうちょっと出たかも。

 

13 群馬県 ㈲菊屋小幡花火店 小幡 知明氏 「紡ぐ花」
安定の丸い盆。統一感のある、和火と金色。光露も風流。
“紡ぐ”という言葉のチョイスと花火の雰囲気が合っていた。
ただ、”新作”という点では評価が分かれる作品ではある。

 

14 茨城県 ㈱山崎煙火製造所 山崎 智弘氏 「紫翠の花滝」
原色に近いような独特の中間色。形も端正で整っており、清々しい美しさ。
新緑の森の中、清流とお花が流れる滝の情景が幻想的に浮かぶ。
おとぎの世界を思わせる金色の花弁に、ピンクの点滅が煌めく姿が愛おしい。
視覚だけでなく、空間の雰囲気までもキラキラさせる素晴らしい作品。

 

15 東京都 ㈱ホソヤエンタープライズ 細谷 一寿氏 「光明の華々」
楽しい!色んな部品を詰め込んだ、アイディア溢れるアクティブな作品。
序盤は、あれ?どこかと被ったぞ(笑 なんて思わせたが、ブルーの八方咲からクロセットの手が出てくる。
中盤に咲いた白銀の優雅な八方咲、おや?内芯からクロセットが出てきてる?!不思議な構造!
からの、末永く燃え続ける吊り物!!
昇りの小花や分砲に、色や種類のバリエーションを加え、リズミカルで楽しい。
終盤ではカラフルな色を咲かせ、オシャレ感全開で盛り上げた!

 

16 長野県 ㈲伊那火工堀内煙火店 柴田 武晴氏 「カラフル七変化」
創造性抜群!天の園を思わせる眩い光の泉から、カラフルなパステルの滝が流れてくる。
実に明るく、実に艶やかな色彩。これは肉眼でしか味わえないだろう。本当に美しいパステル色彩だった。
泉を模した柳と、滝を模した千輪の高さのバランスが最高で、幻想的な情景に心を奪われた。

 

17 宮城県 芳賀火工 石村 佳恵氏 夢の共演!! 「竿灯まつり・七夕まつり」
待ってました!芳賀火工!新作コレクションにおいて、毎年秀でたアイディアを出し続ける花火作家さんの登場。
今回は、仙台の七夕と秋田の竿灯を、同時に夜空に出現させた。
仙台七夕・秋田竿灯、知らない方はぜひ、動画検索で見て欲しい。その後、今回の花火の動画を見てもらうと、あー!なるほど!!となるハズ!!本当に解りやすく、花火の可能性ってまだまだ無限だなあとしみじみ感じる作品。

 

18 愛知県 加藤煙火㈱ 加藤 克典氏 「点滅2.0」
点滅具合が独特で、”規則正しい不規則”という感じの世界観。時差とは一味違う、美しいリズム。
特に、中盤の白芯のドカ打ちが、点滅の美しさを最大限に活かしていて美しかった!
最後のヤシ芯は、重ねないでじっくり見たかったという気もした。

 

 

オフシーズンとは思えない!豪華なワイドスターマイン

◎オープニング(小松煙火工業)
いい意味で小松煙火らしくない、新進気鋭を感じるスタート。
序盤の千輪のタイミング、配置デザインの美しさとタイミングに大興奮!
終始、玉の美しさを活かす演出で、爽快感突き抜ける開幕であった。

 

◎インターバル花火Part2「大曲の花火憲章制定記念花火」(北日本花火興業)
北日本ワールド全開!!サザンの曲に合わせてアクティブな展開。
新開発の星打ち、見たコトも無い様な巨大な扇ザラ!!!感激でぶっ倒れる(^_^;)

 

◎インターバル花火Part2「大曲の花火憲章制定記念花火」(北日本花火興業)
大玉連続!!華麗な八方咲きが次々と開花。
その迫力と美しさを存分に活かす、低空の小玉やザラのタイミング・デザインも最高!

 

◎フィナーレ花火「忘れない ~未来へつなぐ希望の光~」(響屋大曲煙火・和火屋)
煌びやかな明るい八方咲きが、白いザラと相まって極上の輝きを演出!
銀世界の向こうに、鮮やかな花園が望む、希望の空を感じる世界であった。
千輪がいっぱいに咲き誇る華麗な夜空。明るいパステルとの調和に、全身が幸福感に満たされた!

 

 

対策充分!コロナ禍での開催

予断を許さないこの状況であり、感染対策を充分に施しての開催であった。

ゲート

 

検温・消毒、来場者住所の記載をしてからの入場

 

トイレ前にも消毒

 

場内は広く、密集は避けられる

 

撮影エリアも、間隔を開けている

 

かなり難しい判断ではあったと思うが、やめるのでは無く、工夫をして開催するという熱意のおかげで開催され、花火文化の継承・保護を後押しをする大会になった。

冬の章開催後に大仙市内でコロナ感染が広がったので、市民の間では「花火開催で人が集まったせいだ」というデマが広がったようである。

しかし、感染経路はハッキリと解明されており、公開されるのにもかかわらず、思い込みで花火のせいにして騒がれているのは残念。広い屋外で、密集はしていない現場を見たら、感染リスクが少ないのはお解りになって頂けると思う。

花火大会で感染拡大と言うのは濡れ衣である事を、ここで明記しておこう(^_^;)
イベントは、辞めるよりも開く方が何倍も大変なので、大会運営者には多大な謝意を送りたい。
本当に、ありがとうございました!

愛木 敬介
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
花火が大好きです。みんなが笑顔になれる花火の楽しさを、伝えていきたいです!

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