こんにちは!吉野アンバサダーの佐々木美佳です。
吉野山は千本桜で有名。1300年前から山岳宗教の御神木である桜を献木し、現在はなんと3万本!4月中旬から下千本、中、上、奥千本と時期を変えシロヤマザクラをはじめとした200種類の桜が咲き誇ります。
そんな吉野山にある世界遺産 金峯山寺の節分は、全国から追われた鬼がやってくる「鬼も内」の豆まきをします。
この記事では春を迎える節分行事「鬼火の祭典」についてレポートいたします。
世界遺産 金峯山寺「鬼火の祭典」
金峯山で金剛蔵王大権現を感得した修験道の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)。この役行者が法力や仏法で鬼を弟子にしたという故事に基づき蔵王堂で行われる「鬼の調伏式」では「福は内、鬼も内」と、節分に追い出された鬼も受け入れるという節分行事が行われます。
節分当日の午前10時。蔵王堂の中では日々に感謝を捧げる「日数心経」がはじまります。
365巻の般若心経の読経に続いて「星供秘法」という年に一度だけ行われる開運厄除けの祈祷が行われます。
15人ほどの参拝者が聖杖加持で祈祷を受けるため、蔵王堂の中に入ってくると鬼さんたちも修験者さんの間をうろうろとしはじめ、いたずらをはじめます。
鬼たちは修験者さんの法螺貝(ほらがい)を取り上げてきたり、錫杖(しゃくじょう)を持ってきてシャラシャラ鳴らしてみたり、さらには修験者さんをくるりと後ろ向きにさせたりとちょっかいをだします。これには修験者さんも苦笑。
中には台の上に仁王立ちになったり、寝そべる鬼さんも。誰かの携帯やカメラを持ってきて記念撮影しあっている鬼さんもいました。(蔵王堂の中は通常、撮影禁止のため、鬼の姿を撮影できたのはラッキーなのかも…?)
鬼の調伏式「福は内、鬼も内」
いたずらし放題だった鬼が修験者さんたちに囲まれると、鬼の威厳を現すようにシコを踏むように足を踏みしめ、くるりと一回転をはじめます。この所作は「鬼おどり」といい、法螺貝は風の音、「ドン、ドン」という太鼓の音は鬼の足音を表します。
しばらくすると加持祈祷をされた豆で「福は内、鬼も内!」と豆まきがはじまります。
たまらず鬼はあちこちに逃げ回ります。そして豆まきによりお経の功徳にひれ伏し、鬼は改心!
こうして、いたずらをしていた鬼が善い鬼に変わります。
このあと大量にまかれた豆の上で「鬼おどり」をするのですが、豆ですべらないか見ていて不安に…。コケないように鬼がんばれ!と、つい思ってしまいました。
護摩供養と豪華景品つき「福豆まき」
12時からは節分に限らず蔵王堂の中で毎日行われている採灯大護摩供厳修が始まります。
この大護摩供は天下泰平を願って行われるもの。
金峯山寺では毎朝6時半にも勤行(ごんぎょう)がありますが、この大きな行事の日もかかさずに行っていることに驚きました。
鬼火の祭典では蔵王堂の中だけではなく、外でも護摩焚きと鬼おどりが行われます。
同じ3度シコを踏むような所作でも、改心したあとの鬼が喜んでいるようです。
そして午後1時ごろになると福豆まきがスタート。
修験者たちが蔵王堂の前に並び、「福は内、鬼も内!」と青空の下で全国で追われた鬼たちも迎え入れました。
追われてきた鬼も一緒、というのはなんだかよい。金峯山寺の鬼の角は先が折れているのも、改心して相手を傷つけないためなのかもしれない…というようにも見えました。
2021年は豆まきを行わず、福豆配布。この時間のときは抽選券もついている福豆にあやかろうと境内に長蛇の列ができました。
管領(住職)様によると「はっきり言って赤字です(苦笑)」とのこと。
当選の賞品を見ると、人気のゲーム機などかなりよいものがならんでいる。これは確かに当たったら嬉しい…!
どなたの心の中にも2021年は疫病退散も願いがあったでしょう。こんな時期だからこそ。とお寺として節分行事を催行。参拝者のみなさんにこうして笑顔で楽しんでいただき、また来てもらう。久々の外出で日常のありがたさも同時に感じたひとときでした。
この少しの時間だけ吉野山に人が集まりましたが、行事が終わり昼食をとると、参拝者も観光客もどこへやら。あんなにたくさんいた人はあっという間にいなくなりました。
すべての人が健康で幸せでありますように。
世界遺産 金峯山寺 節分会 鬼火の祭典 スケジュール
午前10時 日数心経
午前11時 星供秘法・鬼の調伏式、採灯大護摩供厳修
午後 1時 福豆まき
総本山 金峯山寺
〒639-3115奈良県吉野郡吉野町吉野山
0746-32-8371
[email protected]
この金峯山寺「鬼火の祭典」を中心に「鬼フェス」も行われます!
鬼フェス限定御朱印やホテルの中にまで鬼があらわれる鬼の宿など楽しいイベントがたくさん。鬼フェスについてはまた別の記事でご紹介いたします!!