春の訪れは農作業のはじまり
3月になり梅も咲き、春の到来をかすかに感じられる日が出てきましたね。春の訪れを目前にすると、農作業を行うものにとってそわそわしはじめる時期になります。5月のゴールデンウイークを向かえると多くの地域で田植えがはじまるので、春はその準備期間になるのですね。そして田植えの時期、農作業を模して田の神に祈る行事があります。それが「御田植祭」です!
御田植祭とはなにか?
御田植祭とは、稲作の豊作祈願の意味を込めて、神社やお寺などが持つ田んぼ(御田)で伝統的に行われてきた行事です。多くは田植えの時期の4月から6月の間に行われています。全国各地の神社やお寺で行われている行事ですが、特に千葉県は鹿取神宮の「鹿取神宮御田植祭」、三重県は伊雑宮の「磯部の御神田」、大阪は住吉大社の「住吉の御田植」の3つが、日本三大御田植祭として知られています。
御田植祭で何が行われているのかと言うと、米作りの農作業の様子を模した内容になっています。具体的には苗を育てる種まきの様子、牛を使い田を起こす様子、稲を田に植える様子、そして収穫を向かえる稲刈りの様子まで、田植えから稲刈りまでの稲作の一年の農作業を表現しています。場所によっては田植えまでの表現で終わることもあるようです。また御田植祭の中の行事は地域性が出るのもポイントです。大阪の住吉大社では実際に牛が登場したり、福島の伊佐須美神社では御神輿と共に”デコサマ”と呼ばれる田植人形が町内を練り歩くなど地域ごとの特色を楽しむのも良いかもしれません。各地で違うカラフルな早乙女の装束も見どころですよ!
どこで見ることができるの?
全国の神社、お寺で行われている御田植祭ですが、主だったところを紹介させていただきます!まずは三大御田植祭からです。
■千葉県
鹿取神宮の御田植祭は、4月の第一土曜日と日曜日の二日間にわたって行われ、一日目が「耕田式」、二日目が「田植式」となっています。白装束を着た人が一列に連なる様子は風景が美しいですね!
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■三重県
伊雑宮の磯部の御神田は、6月24日に行われます。男達が忌竹(いみだけ)と呼ばれる棒を取り合う竹取神事や白い着物に赤いたすきを掛けた早乙女による御田植神事は必見です!
■大阪府
住吉大社の住吉の御田植は、6月14日に行われます。鎧兜で行う武者行事や、子どもたちによる田植踊が特徴的です!
大阪 住吉大社の「御田植神事」
重要無形民族文化財に指定されている「御田植神事」。穀物の豊かな実りを祈願する神聖な行事で、華やかに、盛大に行われています(*゚▽゚)
今日はお天気も良く、気持ち良く楽しむことができました♪ pic.twitter.com/CvPqfFIF9s— 暦生活 (@543life) June 14, 2016
6月は、全国各地で田植行事が行われます。中でも住吉大社の御田植神事は規模が大きく、重要無形民俗文化財に指定されています。都会で見ることが出来る年に一度の大きな行事。是非とも足をお運びください。
御田植神事
2018年6月14日(木)https://t.co/hGhnqueQOS pic.twitter.com/drbLdnqUkK— 大阪観光局 (@Osaka_Tabilog) June 7, 2018
三大御田植祭だけでなく、他の多くの地域でも御田植祭が行われています!
■福島県
先日の2月8日に重要無形民俗文化財に登録されたばかりの「会津の御田植祭」。会津美里町高田の伊佐須美神社で毎年7月12日に行われ、伊勢神宮の朝田植、熱田神宮の夕田植と共に、日本三田植の1つと呼ばれています。
■埼玉県
秩父夜祭で有名な秩父神社。毎年4月4日に御田植祭が実施されています。境内で行われる田植え行事は必見です!
毎年4月4日は秩父神社様の御田植祭。境内を田んぼに見立て田植えを模している様子。今年も豊作でありますように。#秩父神社 #御田植祭 pic.twitter.com/bHs66WpXkr
— 特命機動:広報 / 映像制作 (@tokumei_kido) April 4, 2018
■愛知県
三種の神器の一つ”草薙の剣”で有名な熱田神宮。6月第4日曜日に、名古屋市緑区にある大高斎田で熱田神宮の御田植祭は行われます!緑の装束に白の水玉がかわいいですね!
■滋賀県
多賀大社の御田植祭は6月第一日曜日に行われます。約70人の早乙女が田植えをしている風景が美しいです!
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■奈良県
世界遺産の春日大社でも御田植祭が見られます!毎年3月15日に行われ、白装束に赤袴を着た八乙女による「田舞」は必見です!
■福岡県
天神様でおなじみ、学問の神様・菅原道真を祀る大宰府天満宮では6月中旬に御田植祭が行われます。珍しいピンクの装束がかわいらしいですね!
■熊本県
荒尾市の野原八幡宮で毎年6月25日に行われる御田植祭。紺の所属に菅笠姿の早乙女が、横一列になって苗を植えている姿は美しいですね!
■鹿児島県
あの坂本龍馬も新婚旅行で行った霧島神宮。こちらでは毎年旧暦の2月4日に御田植祭が行われています。御神牛が「モー」と泣いて境内を暴れまわったり、奇衣奇面を付けた男が田の神舞を行ったり、ユニークな見どころがあるのがポイントです!
新春の時期には田遊びも!
旧正月を終えた新春の時期に行われる豊作祈願の行事は「田遊び」と呼ばれ、御田植祭の一部と言われています。東京では板橋区が田遊びの有名な所とのことで、2月11日に行われた徳丸北野神社の田遊びに行ってきました!
その一部始終を動画でご紹介させていただきます!
牛よーい!!笑
2月11日に行った、徳丸北野神社の田遊び。牛が登場したり、馬やおかめがいたり賑やかなお祭りでした!#板橋 #田遊び #稲作 #お米 #お祭り #牛 #お神酒を振る舞った後なのでテンション高め pic.twitter.com/0BQnvX2gzG— 高橋佑馬@観光×食 (@yuma_walking) March 1, 2019
徳丸北野神社、田遊びの様子。最後に移るカラフルな人形「よねぼう」のインパクトがすごい。彼に触れると子宝に恵まれるそうです。#よねぼう #田遊び #板橋 #祭り #子宝 #稲作 #お米 #豊作祈願 pic.twitter.com/TslXpIue7c
— 高橋佑馬@観光×食 (@yuma_walking) March 1, 2019
いかがでしたでしょうか?徳丸北野神社の田遊びでは、2時間かけて田植えから稲刈りまで、農作業の一年を模した芸を行います。動画に出てきた牛は、かつて稲作を行う際の重要なパートナーだったので大切にされています。また最後に登場するカラフルな人形「よねぼう」は触ると子宝に恵まれるんだとか。なかなかのインパクトですよね!
全国でたくさん行われている御田植祭。改めてその多さと伝統を見ると、日本人とお米(稲作)の切っても切れない縁を感じます。今年の初夏は、ぜひ地元の御田植祭へ行ってみてください!!