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千葉の「大根祭り」子どもがわんぱく過ぎる奇祭に隠された悲しい過去とは?

2020/3/7
2024/5/21
千葉の「大根祭り」子どもがわんぱく過ぎる奇祭に隠された悲しい過去とは?

どうも。奇祭ハンターのMacです。今回は「子どもたちがわんぱく過ぎる奇祭」という噂の、江戸時代から160年以上続く千葉県・山田地区の大根祭り(別名あらい祭り)を紹介します。あらい祭の異名が意味するものとは? そして、わんぱく過ぎる奇祭に秘められた悲しい過去とは?

大根祭りとは?

大根祭りでは、まず祭りの当日は村中が「鍋かけず」と言って各家のカマドには火を焚かず、集会所に集まってみんなでいっしょに「神の食」を食べ、祭事を祝います。その後、子どもたちが道を先回りして神主ら大人たちの行く手を阻み、アグレッシブに大根を投げつけます。何だか風変わりですが、そういうオマツリなのです。百聞は一見に如かず。これは実際に行ってみるしかありません。


まずは最寄り駅の芝山千代田駅へ。芝山鉄道線の始発・終着駅で、東成田駅と芝山千代田駅を結ぶこの路線は「日本一短い鉄道線」として有名。全長わずか2.2キロ、約4分の短い旅を楽しみました。また、この辺りの芝山町は「はにわの町」として知られ、かつては500基もの古墳が点在していました。毎年11月の第二土曜には「芝山はにわ祭」も行われています。

この芝山千代田駅からお祭り会場の大宮神社まで徒歩にしてさらに約1時間。いい時間のバスがなかったため、タクシーを呼ぶことに。

「今日この辺でお祭りなんてやってたかなぁ」
「こっちの方に神社なんてあったかなぁ」
と訝しむタクシーの運転手さんを説得して、どうにか会場周辺に着きました。

大根祭り(前半)


お祭りの開催を知らせる御旗。周囲にはゴルフ場ぐらいしかなく、特に目立つものはないので油断していると見逃すやつです。


大宮神社の手前にある集会所。ここに地元の人たちが集まってきているようです。


みんな集まっていっしょに食事を取ります。これもお祭りの一環です。町長さんなど来賓の方々、祭りの当番地区のみなさん、そして見学に来ていた一般人までこの場にいる全員に食事をふるまってくれます。


カメラを持ってウロウロしていると、空いている座布団に座るよう指示され、私も無料で「神の食」をいただくことができました。何だかありがたい。「神の食」は「ご飯に味噌汁、ごまめ+黒豆、白和え、かぼちゃ、里芋、昆布、きんぴら、生揚げ」などの内容で栄養満点です。


食事中、無病息災を願って獅子舞が踊ります。ちなみにこのお祭りは七五三と元服のお祝い、そして火災除けの意味もあるそうです。
ところでその時、私は気づいたのです。上座に何やら鎮座しているものに。


!!!
上座におもむろにチン座している男性のシンボルと女性のシンボル。大根とかぶで作られた「神物」というものらしいです。
しかしその時、背後から忍び寄る影が……。


ガブリ!!!
何と言うことでしょう。神物を獅子舞が咥えてしまったじゃないですか。イテテテテテ。歯は立てないで!
しかし、どうやらこれも毎年恒例のようです。

昼の食事が終わり、来年の当番へと引き継ぎ式が行われました。
この後、祭りはいよいよ後半戦。13時頃~の大根投げへと続きます。

大根祭り(後半) 大根投げはランチの後で


大人たちが来年への引き継ぎを行っていたその頃、子どもたちは大人たちを迎え撃つべく着々と準備を進めていました。


神社へと向かう大人たちの前に立ちはだかり、エイヤとおもむろに大根を投げつける子どもたち(わんぱくかよ!)。直撃を避け、大人は「むしろ」でガードします。


子どもたちと大人が入り乱れ、乱戦になってきました。
なぜか男の子よりも女の子のほうがどうも好戦的のよう(わんぱくかよ!)
全国的にも珍しい「大根投げ」ですが、これはどうも昔の合戦を模したものだそうです。戦国時代、この地で起きた金光寺合戦で戦死した三谷大善の霊を弔う意味合いがあるそうです。

その時です! 何やら不穏なバチバチという音がするではありませんか!


!!!
大変だ。か、火事だぁぁぁ!
火災除け、効いてねぇ!


実はこれも祭りの一部。子どもたちは祭りの一か月前から竹でやぐらを組み、カヤをつめて小屋を建てて準備。そしていよいよ祭り当日は小屋に火を放ち、神主ら大人たちが大宮神社の正面から入るのを阻止するのだとか。いやいや、わんぱく過ぎるにも程がある!!! この過激なアグレッシブさから、「大根祭り」には「あらい(荒い)祭り」の異名がついたのだとか。


大人たちは正面の火を避け、横の脇道からするっと神社に到達して無事ゴール。この後、神前で祝いの儀式がとり行われました。


激しい戦いの後、道には大根だけが残されたのでした。fin。

その昔、この山田地区では病難・災難が多く、子どもたちの体が弱く健康に育たず、村人たちは悩んでいたそう。そこに立ち寄った修行僧がこの悩みを聞くと、神社に参拝して祭事をとり行うように勧めたと言います。そう。それこそが「大根祭り」の由来。

子どもたちのわんぱくぶりを許容する「大根祭り」のラディカルさは、子どもたちが今年も元気に育っているという何よりの証だったのです。

■日時:毎年12月14日
■会場:大宮神社(千葉県山武郡芝山町山田1441)
■交通:芝山鉄道線「芝山千代田駅」からバスで10分
http://www.town.shibayama.lg.jp/0000001859.html

 

今回のオアソビジャパン


航空科学博物館
ボーイング 747型機の機首の展示(写真上)やシュミレーターを使った操縦などが体験できます。

今回は祭りが始まる前の午前中、芝山千代田駅から徒歩15分の航空科学博物館に立ち寄りました。帰りのタクシーはなかなか捕まえづらいので注意が必要です。また、芝山千代田駅から徒歩3分の立地には「成田空港温泉 空の湯」が2019年12月にオープンしました。こちらも要チェックです。

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