Now Loading...

両面宿儺って読める?あの人気漫画でも知られる鬼神発祥の地に潜入取材!

更新日:2021/6/16 いなむ
両面宿儺って読める?あの人気漫画でも知られる鬼神発祥の地に潜入取材!

両面宿儺(りょうめんすくな)をご存知だろうか?8世紀に成立した国史『日本書紀』には、2つの顔と4つの手を持つ飛騨の豪族で、朝廷に従わなかったため討伐されたと書かれている。しかし、民間伝承では水不足に苦しむ人々を救ったなどの逸話が残されており、必ずしも悪者というわけでもないようだ。様相のみならず、まさに「両面」を兼ね備えた人物として今に伝わるのが、両面宿儺である。

このように謎に包まれている両面宿儺は、芥見下々(あくたみげげ)さんの漫画『呪術廻戦』(集英社)にも登場。呪いの王として主人公を始め登場人物を翻弄する。『呪術廻戦』は週刊少年ジャンプにおいて人気の連載漫画で、2020年10月からはアニメとして放映もされている。視聴者までも虜にする両面宿儺とは一体どのような人物だったのか。

両面宿儺は岐阜県高山市にある千光寺を開山し、ここが両面宿儺伝説の発祥地とも言われている。伝説の真相について詳しく知りたいと思い、先日現地を訪れてきた。両面宿儺の石像が公開されていた他、両面宿儺の御朱印やお守りも販売されていた。これら含め、現地の様子をお届けする。

両面宿儺の石像、御朱印やお守りも!

千光寺は岐阜県高山駅からタクシーで20分の場所にあり、駐車場がある。私自身は高山駅の次の上枝駅から1時間40分ほど歩き、土地の景色を楽しみながら向かった。歩くのが苦手な方は車でのアクセスをおすすめしたい。険しい山道を一歩一歩奥へと進んでいくと、赤色の印象的な仁王門が見えてきた。ここが千光寺の入り口である。それではまず、写真とともに千光寺の様子を振り返っていきたい。

赤が印象的な千光寺の仁王門。

仁王門の天井画、飛騨地域の花の絵が描かれていて美しい。

仁王門前の石仏、お花が供えられている。

本堂へと続く階段。

階段の途中から仁王門を振り返る。

千光寺の本堂、5つの旗が印象的だ。

本堂脇にある摩尼車(マニグルマ)、廻すと願いが叶うとされている。

両面宿儺の石仏が安置されている宿儺堂。土日祝日のみ公開(入場料 100円)。

ついに両面宿儺の石像が!薄暗い室内に、厳かな雰囲気が漂う。

頭上には宝剣や手鏡が飾られている。

本堂横の庫裡(くり)では、両面宿儺の御朱印を300円で購入することができる。

また、500円で両面宿儺のお守りも販売されている。

江戸時代の修験僧・円空が彫った木彫りの仏像が展示されている円空仏寺宝館。「立木仁王像」「両面宿儺坐像」「三十三観音像」などが見られる。詳細はこちら

建物の壁にもずらりと仏像が立てかけてある。

帰りはこちらの大慈門から。参拝という貴重な機会を頂いたことを感謝したい。

他にも周辺には、八十八ケ所や国の天然記念物・五本杉、弘法大師像など様々な見所がたくさんあるようだ。千光寺のみならず、このお寺がある袈裟山という山全体がエネルギーに満ちており、古来より信仰の聖地になっていたのがよくわかる。

千光寺の歴史とは

なぜこの地は古くから信仰の拠点だったのだろうか。千光寺の開山は4世紀に遡る。寺の縁起である『千光寺記』によれば、両面宿儺が仏法の契約により出現し、祈りの場所として開いたのが始まりという。それから400年ほど経ち、平安時代に弘法大師の弟子の一人である真如親王が仏教寺院を建立して今に至る。現在は高野山真言宗に属する密教の寺院で、山岳仏教の教えを今に伝えているとのこと。実際にこの地を訪れ、自然が生き生きしており巨木が立ち並ぶ様子を見ることができたし、近くでは鹿などの動物まで発見することができた。昔の人々がこの場所に特別な感情を抱いたことも頷ける。

両面宿儺とは何者だったのか

それでは、千光寺を開山した両面宿儺とはどのような人物だったのか。『日本書紀』の仁徳天皇65年の条によれば、一つの胴体に前後で2つの顔があり、それぞれに手足が4本ずつあるというまさに異形の人物として描かれる。乗鞍山麓に住んでいた飛騨の豪族だったという説も多く、大和朝廷にとって脅威の存在であったということかもしれない。最終的には、朝廷に従わなかったということで、難波根子武振熊(なにわのねこたけふるくま)によって討伐されてしまう。しかし、千光寺がある丹生川地域では特に民衆を助けた英雄とされており、「スクナ様」「両面様」「両面宿儺菩薩」などと呼ばれ、1600年が経過した今でも信仰の対象となっている。

周辺にもある両面宿儺ゆかりの場所

両面宿儺の信仰は、この千光寺がある丹生川地域の生活の中で様々なところに見られるという。宿儺が作った「善久寺」や、食事をした場所である「御膳岩」、宿儺が手下とともに住んでいた「両面窟」などの史跡が残されている。また、夏には細長い「宿儺かぼちゃ」が収穫されたり、11月には高山市丹生川支所前広場で「宿儺まつり」があったりと、両面宿儺の信仰は地域の生活に深く息づいているのだ。飛騨史学会『飛騨史学 第6巻』(1985年)によれば、両面宿儺は中央の文献(日本書紀)に登場した初めての飛騨の人のようだ。宿儺以前と以後では飛騨の歴史の捉え方さえも大きく異なってくるかもしれない。そう考えると、この人物が果たした役割はとても大きいように感じられる。

千光寺で両面宿儺の信仰を想う

今回、千光寺を訪れてみて、呪術廻戦で描かれる呪いの王に比べると、両面宿儺がどこかやさしく地域を見守ってくださる存在のようにも思えてきた。アニメや漫画の影響で広く名が知られるようになったが、極端に大衆化するわけでもなく厳かに堂々としたその信仰が今でも深く土地に息づいているように思えた。千光寺にある石像や、お守り、御朱印などを含め、朝廷と民衆の狭間で生き抜いた英雄・両面宿儺について知る貴重な機会にもなった。千光寺を訪れて、この両面宿儺の信仰の奥深さとその魅力についてぜひ知って頂きたい。

◯千光寺について

場所:岐阜県高山市丹生川町下保1553
営業時間:9:00~17:00(宿儺堂の公開は土日祝)
料金:宿儺堂 100円
アクセス:高山駅からタクシーで20分
駐車場:有り

千光寺のホームページ

いなむ
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

あわせて読みたい記事