6月7日から開催される「山王祭」
江戸三大祭のひとつとも数えられ、2018年は2年に1回の「本祭」として数多くの催し物が盛大に行われます。今回オマツリジャパンでは祭礼を執り行う日枝神社(東京都 赤坂)の神主、権禰宜の伊久裕之さん、小野太誠さんにお話を伺ってきました。
【日枝神社 権禰宜 伊久裕之さん(右)と小野太誠さん(左)】
山王祭とはどんなお祭りか
山王祭 本祭の一番のみどころと言えば、総勢500人もの王朝装束をまとった行列が皇居、東京駅周辺、日本橋、銀座など23kmもの距離を巡行する「神幸祭」が有名です。
神様をおもてなしし1年の平和をお祈りする「神事」として鎌倉時代あたりから始まった山王祭ですが、現在のような「神幸祭」が始まったのは江戸時代になってからと言われています。
伊久さん:江戸という都市を作る際に、当時はまだ田舎であった地域をいかに関西に負けない拠点にしていくかということで、疫病退散、都市の活性化をさせるために京都の祇園祭を参考にして山車を出すようになったのではと言われています。元々の神事としての側面に加えて、幕府からすると江戸の威信を示すための行事として、町の人からすると楽しみとしての側面があったと思われます。
画像提供:日枝神社
上覧祭として江戸城の中にまで入ることが許されたお祭りとして、幕府の支援を受けた御用祭として盛大になっていった山王祭。山車は45基にものぼり、各町が趣向を競い合うように行列に付け加え(付け祭)ていき、象の見世物までもが行列に加わったこともあったそうです。
伊久さん:町内の出し物の競い合いになってしまい、山車以外の出し物を控えるように倹約令が出されたほどでした。
画像提供:日枝神社
天下祭として賑わいを見せた山王祭も時代とともに再び変化していくこととなりました。
伊久さん:江戸時代は山車がメインのお祭りでしたが、山車の維持にはお金がかかり財政的に厳しくなっていました。関東大震災や東京大空襲で多くの山車が消失し、徐々に町内神輿に変わっていきました。今も山車が残っているのは関東近県に送られたものが散在するくらいです。
終戦後、一時中断していたお祭りが再開されたときは、お神輿をトラックに乗せて町内を回っていたのだそう。その後、戦後復興とともに、昭和40年ころから現在のような規模の隊列になり今まで続けられているのです。
神幸祭の見どころ
山王祭は神幸祭をはじめ各種祭典の総称ですが、2年に一度行われる神幸祭が最大の祭典。西は四谷、東は日本橋、新橋まで、皇居を中心にした広い範囲、23km9時間かけて巡行する神幸祭の見どころはどういうところなのでしょう。
伊久さん:とにかく広いのが特徴ですが、実は行列が巡行しているところは全て外堀通りの内側、つまり江戸城の中なんです。神幸祭を追っていくということは江戸城の中を遊んでいるということになると言えるんです。
画像提供:日枝神社
伊久さん:東京駅と皇居をつなぐ行幸通りを行列が通るところも見どころです。江戸を象徴するクラシックなお城と、明治なってからのモダンな東京駅のあいだの通りを平安朝絵巻のような行列が通る。視覚的な部分で時代を感じられて面白いと思います。また、銀座の目貫通りを行列するのも珍しい光景です。
画像提供:日枝神社
皇居、東京駅、日本橋、銀座、そして王朝装束の行列。これらのコントラスト楽しみながら東京/江戸の歴史を感じられるのが山王祭 神幸祭の魅力。神幸祭を追いかけながら、江戸~東京を巡ってみるのはいかがでしょうか。
神幸祭の場所をリアルタイムにチェック
都心で23kmもの距離を9時間かけて巡行する神幸祭。多くの見どころスポットはあるもののいったいいつ行列がやってくるのか調べるのは大変ですよね。
山王祭では、リアルタイムに神幸祭の行列の位置を表示してくれる便利なアプリを提供しています。
このアプリで行列の位置をチェックして、江戸~東京歴史散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか?
行列の位置だけでなく、山王祭で催される様々な祭典のスケジュールもこちらで確認ができますので、ぜひダウンロードしてみてください。
■日枝神社 アプリ紹介ページ
https://www.hiejinja.net/news/2018/article2.html
山王祭 神幸祭
■日時: 2018年6月8日(金) 7時30分~16時45分
■場所: 7時30分に赤坂 日枝神社を出発し、国立劇場、皇居坂下門、日本橋日枝神社、銀座・新橋を通り16時45分に日枝神社に戻る。
山王祭公式サイト: http://www.tenkamatsuri.jp/
※画像提供:日枝神社