三陸花火競技大会、当日の様子は?
様々な思いが作り上げる三陸花火。ここからは2022年10月に開催された「三陸花火競技大会2022 ~未来を見る だから挑む~」の模様をお届けします。
フードに伝統芸能!三陸ならではの楽しみを
インタビューの中で株式会社マルゴー斎木社長から「花火大会ならではの、ここに足を運んだからこそ堪能できる楽しさを体感してもらいたい」との言葉がありましたが、それを象徴するように、三陸花火はグルメに地域の伝統芸能など、楽しめるコンテンツが盛りだくさんです。
フードブースでは、三陸の海の幸やご当地グルメが出店の他、打ち上げ担当の株式会社マルゴープロデュースによる花火大会限定のメニューもあり、ここでしか味わえないグルメがたくさん揃っています!
若手が活躍できる競技大会へ
三陸花火は年に二度、春と秋に行われますが、秋の「三陸花火競技大会」は、若手花火職人による創作花火の競技大会の要素を持ちます。
審査員のみで採点する一般的な競技大会と違い、会場に来ている観客・ライブで見ているユーザーが、オンラインでスマホから審査に参加出来る“観客参加型”の競技大会であることが、三陸花火競技大会の特徴のひとつ。難しい論理で見るのでは無く、花火を見ている方が「とにかく美しい!」と心を打たれた作品に直接投票でき、先入観を持たせない為に、あえて業者・氏名を伏せて打ち上げる工夫もされています。
「新たな挑戦の場にしたい」と意気込む、株式会社マルゴー 齊木社長に、この競技大会への思いをお伺ったところ
大曲や土浦等、歴史のある競技大会に出ていなくても、優れた技術を持っている花火業者はたくさんいます。飲食店でいうなら、隠れた名店のようなお店です。そのような業者の職人さんが、競技の場に出られるように、間口を広げたいと思っています。競技の場に出られる事は、花火師の生きがいですし、たくさんのお客様に見てもらう事は職人冥利に尽きます。大きな競技花火大会に出る為のステップアップの機会にし、若手花火師が挑戦する場を作り、そして一緒に成長する花火大会にしていきたいです。
とお話いただきました。
他の花火大会では見られない!芸術的な花火作品
出場するのは若手花火師に限ると言えど、全国から選ばれた23社の創作花火はどれも一級品。中でも個人的に気になった6点がこちら。
No.1 紅花と桐の花
昇る時に、枝分かれしながら色を出す「分砲(ぶんぽう)」がとても凝っていて、咲いた花火とのバランスが秀逸。造形が美しく終盤には、小花が一斉に咲く「千輪(せんりん)」や地面すれすれまで下がる花火を用いて、一面の花畑を表現したセンスの良さに感激しました。
No.12 光のエール
分砲のパステルがあまりにも美しい!!花火の発色の良さは、笑いが止まらない感激です。リズミカルに光が移動するグラデーションが、見ている人全てを元気にさせてくれる最高のエールでした。
No.13 竹取物語
タイトル通りの情景が目に浮かぶ、創造性抜群の作品。高くそびえる竹林の中から、可憐な娘が誕生し、美しい女性へと花開くストーリーが目に浮かびました。
No.14 三陸の夜空に花と妖精
とにかく美しい!!!!!透き通るような純白の筋が描く楽園の中を、色とりどりの妖精たちが夜空を元気に飛び回ります。僅か1分の時間でしたが、そこには楽園に存在する永遠の時間が流れていました。
No.20 春雷に寒椿の花
発色の美しさが幸せ過ぎる!白い雪の中から、可憐に咲き始める寒椿の儚い情景のイメージを、極上の色彩で描いた秀麗な世界でした。
No.23 光彩 ~万葉花~(まんようばな)
近未来的な色彩グラデーションを描きつつ、優雅さを感じさせる絶妙なデザイン!先鋭なセンスと伝統を組み合わせたハイブリッド的な作品で、その美しさを活かす打ち方も抜群の良さでした。
ひたすらワイド!終始疾走する圧巻の花火に包まれる
かつて広大な松原が広がった陸前高田の海岸沿いで行われる三陸花火は、終始ワイドに花火が打ち上がる点も大きな特徴です。
全編、音楽にシンクロしたミュージックスターマインで構成されており、広々とした会場だからこそ実現できる演出がたくさん。地表から色光が吹き出す「ザラ」を駆使して、圧倒的な疾走感が迫ります。
あいみょん「今夜このまま」
こちらは陸前高田出身のプロ野球選手、千葉ロッテマリーンズ所属の佐々木朗希選手が登場曲として使用している曲です。花火では歌詞のような、切ない思いを表現しています。
Ado「新世界」
アニメ「ONE PEACE」の舞台の海原を表現。
曲の世界を意識した花火。これが三陸花火の醍醐味なのです。
RADWIMPS「人間ごっこ」
この日は煙と海霧の影響で、上空花火が見にくい場面もありましたが、ザラの演出のお陰で、会場内で見る分にはエキサイトな迫力を体感できます!
Superfly「Presence」
歌詞「降り注ぐ 光の中へ」に合わせて、煙の中から煌きが降り注ぐ光景は、何度思い出しても感動が蘇る奇跡の絶景です。
今回の目玉企画、ヴァイオリンの生演奏とのコラボレーション。
Ayasaさんの演奏による、「打上花火」に合わせて上がる花火です。
昨日の三陸花火競技大会のワンシーン。バイオリニストAyasaさんの生演奏×ミュージックスターマイン pic.twitter.com/5FgUGi4ZuD
— オマツリジャパン (@omatsurijapan) October 9, 2022
サビに向かう時の盛り上げ方があまりにも美しく、煙の影響を忘れるほどの感動をもたらしてくれます。虹色に染まる柳が、儚く愛しい音色を包み込むようでした。
そして、終盤へかけてラストスパート。打上を担当するマルゴーさんが誇る、発色の良さを存分に体感できます。
目線の先に広がる、艶やかな色彩。猛烈な感動に全身が震える快感は、生きる活力を恵んでくれる、最高の賜物です!
あとがき
この記事では2022年10月に行われた三陸花火競技大会に関わる人々の声と、当日の様子をレポート形式でお伝えしました。
最後に、過去にボランティアなどでこの街を訪れた方々に向けた、浅間実行委員長の言葉を紹介します。
陸前高田は皆を歓迎しています。来てほしいと思っている。関わり方も様々ある。一緒に花火大会も作れる。
観客としてはもちろん、誰もがチャレンジャーの一員としても関わることができる三陸花火。それは「復興」という枠組みを超えて、地域の交流人口を増やし、たくさんの人たちに街を訪れて欲しいと、大会を支える人たちのひた向きな思いによって造られています。
挑戦を続ける街だからこそ出来る内容の花火大会は、来れば絶対楽しいです!ぜひ足を運んで頂きたいと思っております!
会場へのアクセス
車の場合
仙台方面から
仙台東I.C~陸前高田長部I.C 約2時間30分(平常時)
陸前高田長部I.C~会場まで 約20分(平常時)
※花火大会当日は、陸前高田I.Cのご利用はご遠慮頂くと大変助かります。激しい渋滞が起きますので、時間に余裕を持ってお早めにお越し頂くと幸いです。
ぜひ、お昼のイベント(郷土芸能ステージ)などを楽しんで頂きたく存じます。
公共交通機関利用の場合
東京・仙台方面から
JR東北新幹線(はやぶさorやまびこ) 東京~一ノ関 約2時間~2時間40分
仙台~一ノ関 約20分~30分
⇓
JR大船渡線(普通列車) 一ノ関~気仙沼 約1時間30分
⇓
JR大船渡線BRT(バス) 気仙沼~陸前高田 約40分