Now Loading...

新選組がご贔屓さん!京都「島原太夫」の未来とは

更新日:2020/9/2 佐々木 美佳
新選組がご贔屓さん!京都「島原太夫」の未来とは

◆芸に秀でた傾城「島原太夫」

芸妓(げいこ)の最高位「太夫」。
「正五位」の別称で十万石の大名にも値する地位がありました。
舞妓さんは町衆文化ですが、太夫さんは公家文化。お座敷には宮様や大名がいらっしゃっていました。
新選組も通っており、花君太夫は土方歳三と、置屋「輪違屋」の天神・糸里は芹沢鴨の一派・平間重助などがお客様でした。特に格子越しに愛し合う二人が別れる「角屋」の明里(あけさと)と山南敬助のお話は有名です。

島原太夫についての基本知識についてはこちらの記事をご覧ください

【高台寺 北政所茶会】舞妓さんより稀少!嶋原太夫のお点前と太夫道中

2020年現在、島原太夫はたった4人。
中でも若い太夫さんは葵太夫ひとりだけになってしまいました。


写真:国宝 石清水八幡宮 桜まつり 太夫道中

「太夫道中」は神社仏閣などの高僧のお練りを花街風に様式化したもの。京都の寺社仏閣で太夫さんが行っている年間行事も舞妓さんに切り替わってきているところもあります。

島原太夫は途絶えてしまうのではないだろうかー。

そう危惧していたところ、禿たちの「おさらい会」を行うと伺い、拝見してきました。

◆禿たちの「おさらい会」

末廣屋「新年会」が新選組の住む壬生にもほど近い場所にある神泉苑「平八」で行われました。神泉苑は天皇の禁苑であった場所。平八の中に入ると末廣屋の団扇や打掛が飾ってあります。

おさらい会での司会進行と舞の解説は末廣屋の女将で現役太夫「司太夫」。

その司太夫に舞についてお伺いました。
「嶋原では現在は一応、花柳流となっておりますが、元々は篠塚流。今は他に山村流の方や、音羽流などをされて方もいらっしゃいました。末廣屋は篠塚流でお稽古をしています。
島原太夫は禿(かむろ)→少女(しょうめ)→振袖太夫→太夫という段階があります。
禿での舞は必修ではありませんが、少女になると必要なので、少女に進みたい禿はお稽古します。又、禿を飛ばして少女から始める事はありません。」

それではここからは可愛い禿たちの舞をご覧ください!

三段傘

歌舞伎や長唄「藤娘」の一部分。藤の精が若い娘に姿を変える恋物語。
この特徴的な三段傘を使ってみたいと禿たちに人気の曲です。

菊づくし

お祝い事の舞。菊の精が舞います。
「七重八重菊 御所の御紋の菊は九重」という歌詞も出てきます。

司太夫が菊の着物を見つけたときに「これだ!」と二枚を買い求め、双子ちゃんに舞ってもらったそうです。

桜禿

太夫に頼まれて禿が手紙(恋文)を届ける曲です。
禿が寄り道をして花びらで手毬を作ったりする舞。
「あっ、お使い行かな!」と、はっとしたり可愛い仕草が見られます。

もみじの橋

東福寺の通天橋。そこから見た紅葉が綺麗。という舞。京都らしい一曲ですね。

太夫さんによる楽器演奏

芸に秀でた『傾城』に与えられた称号「太夫」。

一弦琴、琵琶、笛、鼓、唄、舞と幅広い芸事をお座敷で披露される葵太夫。
太夫さんによっては琴や和歌などもお勉強されている方もいらっしゃいます。

祇園小唄

最後は総踊りの「祇園小唄」。祇園小唄は「祇園恋しや だらりの帯よ」という歌詞が特徴の五花街全ての舞妓さんたちが踊る大変有名な曲です。

最後に司太夫が言った言葉がとても印象的でした。
「嶋原の最後の総踊りが『祇園小唄』というのもね、『嶋原小唄』を作らなあきまへんね」

ここからは夏に行われた「浴衣会」の様子をレポートいたします。
新年会とは違い、素顔の浴衣姿。普段見ることができない、なかなか貴重な機会です。

姫三社(ひめさんじゃ)

井上流では「三社」と呼ばれ、流派によっては二枚扇で舞います。
舞妓さんが鈴を持っているのは巫女さんの鈴払いを現わしていると思われます。
曲の内容は伊勢神宮、春日大社、石清水八幡宮を巡るのが若い女性の間で流行ったため「姫」という名前を冠しているようです。

菜の花(なのは)

若い妓の恋心を歌ったもので、蝶々を追う姿に『若さ・幼さ』を表しています。
※「曽根崎心中」の第二場面「天満屋」の幕開けにも、曲のほんの一部が使われる。

◆はじめてでも大丈夫!お座敷遊びの楽しみ方

普段、寺社仏閣巡りばかりしているカメラマン佐々木はこの日がお座敷デビュー。
(とはいっても「おさらい会」のランチ会の余興ですが)
ルールを知らなくても「こったい(太夫さんの呼び方)」が教えてくれます!
どんな遊びが行われたのか、ここからご覧ください。


写真:末廣屋 女将・司太夫 元は舞妓さん。輪違屋で太夫になった異色の経歴。

金毘羅船船(こんぴらふねふね)

まず、みんなで円陣を組みます。
次に円陣の中の人が一人、紙垂(しで)を模したものを持ちます。
それから「こんぴらふねふね♪」と女将の司太夫が後ろを向いて歌います。
歌っている最中は紙垂を左右に振ってお祈りしてから次の人に渡します。
歌が止まったら、紙垂を持っている人がお酒を飲むか「ここだけの話」を披露!
今回は禿たちと一緒なので、舞の感想などの「ここだけの話」が伺えました。

次のお座敷ゲームはお猪口を吊るして一番最初に速く巻き取った人が勝ち!というもの。
両手で交互にうまくお箸を動かせるとめちゃくちゃ速く巻き取れます。

投扇興

1mほど離れたところから扇を飛ばして台の上に乗った胡蝶を落とすゲームです。
平安時代に貴族の間で大変流行したのですが、だんだんと民衆に広がり賭博と化し、禁止令が出てしまうほどでした。

元は中国の投壺(とうこ)という壺に矢を投げ入れる遊びが由来です。
あるとき横になっていると、その壺に蝶がとまったのを見て、投扇興になったといわれています。

有名なところでは京都・都御流(みやこおんりゅう)、東京・貴扇流(きせんりゅう)、岡山・戸羽流(とばりゅう)などがあります。「源氏物語形式」「百人一首形式」など色々な流派があり、扇が落ちた形によって「末摘花」などの点数がつきます。
滋賀 大津市にある円満院では胡蝶についた鈴が鳴ると「鈴鳴り」0.5点と滋賀ならではの点数もあります。


写真:司太夫と葵太夫 祇園で開催された「嶋原葵太夫芸歴三十周年記念写真展」にて撮影

◆島原の今後について

舞妓は義務教育が終われば15〜16歳でお座敷に出られると言う京都ならではの『特例』が有りますが、葵太夫は中学一年生で振袖太夫(見習い太夫)になったため、義務教育中はお酒の伴う『宴会・座敷』には出ず、イベントや茶会などに出ていました。

島原太夫は現在4名。
島原を盛り立てようと末廣屋は「基礎はきっちりと、太夫になるには心が大切」と舞をはじめとした諸芸の練習はもちろん、禿のときから舞台や音楽、美術に触れる機会ができるようにと努めています。
お座敷でのお客様との会話も太夫になるときの大切な要素のひとつ。
豪華な着物や飾りに負けない立ち居振る舞いができるようにと禿をはじめとしたお弟子さんたちに接しています。

このような「おさらい会」をすることで、お客様に舞台を見てもらい、ぐっと成長するのだとか。

今後はお座敷遊びでは雅な「貝合わせ」や、句会をしたり、行事では2月の天神で厄除け「うそかえ神事」、7月は灯籠祭りを復活させたいなと考えているそうです。

コロナ感染防止でお祭りやお座敷が軒並み中止になっていますが、東京、気仙沼、博多にも禿たちがおり、出張のときにがんばってくれています。

京都の伝統「島原太夫」の「島原小唄」の誕生する日が楽しみになる「おさらい会」でした。


写真:国宝 石清水八幡宮 桜祭り

問い合わせ先

末廣屋(司事務所)
〒600-8825京都府京都市下京区嶋原中之町115-16-101
司太夫 Twitter 090-9611-7751 [email protected]
葵太夫 Twitter Facebook Instagram [email protected]

宮中で舞や琴、茶道など芸事を披露していた希少な嶋原太夫の主な参加行事
島原太夫「おさらい会&こったいの会 新年会」 浴衣会 禿や少女、舞妓さんたちの発表会
・4月第二日曜 10:20~ 常照寺 吉野太夫花供養 太夫道中 (境内有料)奉納舞、演奏、茶席
・4月第二日曜  13~15:30 国宝 石清水八幡宮 太夫道中 かしの式、奉納舞、茶席
・7月上旬 14:00 はも道中 八坂神社 太夫道中 人形浄瑠璃
・8月1日 15:00 嶋原の八朔 末廣屋 葵太夫が輪違屋、角屋などに挨拶回り
・10月6日 9:30 15:00 高台寺 北政所茶会 太夫道中 (茶席 有料)太夫席
・10月14日 宝鏡寺 人形供養祭(島原太夫による舞・琴/撮影禁止)※2018年から舞妓さんに変更
・11月第二日曜 10:30 清凉寺(嵯峨釈迦堂)  夕霧供養祭 奉納舞 (本堂内 撮影禁止) 太夫道中
・11月第二日曜 嵐山もみじ祭 14:00頃から 島原太夫の御点前披露  太夫道中
・12月14日 10:30 法住寺 義士会法要 太夫道中
・年末 餅つき

祝・建国記念日!京都・平安神宮で太夫道中、演奏、揮毫(きごう)奉納

嶋原太夫「節分会 おばけ」平安時代のハロウィン

疫病退散のアマビエに嶋原太夫の葵太夫が変身!

「アマビエまつり」リアル・アマビエ現世降臨!

関連タグ

佐々木 美佳
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
毎日「京都散歩の旅」なカメラマン。
奈良・吉野アンバサダー。観光経済新聞、楽天トラベル等を執筆。聖地と舞が好き。民俗芸能や瀬織津姫研究中。
instagram @kyoto.photographer
https://earth-traveler.com/

あわせて読みたい記事