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嶋原太夫「節分会 おばけ」平安時代のハロウィン

更新日:2020/8/26 佐々木 美佳
嶋原太夫「節分会 おばけ」平安時代のハロウィン

◆「おばけ」は「お化髪」自分ではないものに化ける

ー「こったいの会」司太夫のチラシよりー

京の町衆文化 冬の風物詩

節分会(せつぶんえ) おばけ

節分《おばけ》とは…

昔、立春に年が変わると云われ、節分の日はいわば大晦日。その大晦日に仮装をして、神社・仏閣にお参りし一年の厄を落としていました。
この風習は平安時代にまで遡り、陰陽師の世界に通じます。
年が変わると云う事は恵方が変わると言う事。
大晦日に神様が次の年の恵方に大移動。その隙間を狙い、地獄から魑魅魍魎が現れるので、自分に憑かないように自分で無いものに化け、鬼(厄・疫)を化かすという京都の町中の旧い風習。
戦後町なかでは廃れて、芸舞妓がしているため花街の行事に思われがちですが、元々町衆の文化です。

 

「おばけ」は「お化髪」とも書いたといわれるのは、未婚か既婚かや侍など、昔は髪型で身分や職業も判りました。そこで自分ではないものに年の暮れに化けて、地獄の釜の蓋が開く節分に鬼みつからないようにしたのだそうです。

今回は嶋原太夫「節分会(せつぶんえ)おばけ」行事に参加してきました!

【高台寺 北政所茶会】舞妓さんより稀少!嶋原太夫のお点前と太夫道中

※京都に五人しかいない稀少な嶋原太夫については↑こちら↑をご参照ください

◆「おばけ」になっても、遭遇しても厄おとし

2020年の葵太夫は引舟さんと一緒に『越後獅子』に変身!
ちょっと憧れていたという可愛い越後獅子のおばけになってました。

約20名による「おばけ」バスの出発地は八坂神社。
舞妓さんの節分・奉納舞を待っている人たちの横を通って行ったのは実はこの島原のおばけたちです。

バスに乗っておばけが最初に訪れたのは二条城のすぐそばにある神泉苑

境内で炊き出ししている大きな振舞い大根やお酒をいただきます。
節分限定でほうらく奉納も行っており、11月に神泉苑狂言の演目「炮烙割」で割って厄除けするというものです。

ちょうど神泉苑に訪れていた赤ちゃんたちと写真撮影。
おばけに化けるのも、会うのも厄落としになります。

次は壬生寺。参道にはずらりと屋台が並び、楽しい雰囲気です。
壬生寺の節分は炮烙(ほうらく)の奉納ができ、狂言堂では厄除け鬼払い壬生狂言が行われます。

おばけたちは非公認のゲリラ豆まきを開始!
(※壬生寺の公式行事ではありませんが事前にお寺に「今年も…」と連絡済みです)
魔を滅する「豆」は西洋の豆、ピーナッツを使用。
というのも司太夫が配布用の福豆を作りすぎて、まくための豆が足りなくなってしまったため。
豆も日本の大豆からピーナッツに化けました。

次は新選組屯所・旧前川邸で振舞い甘酒。
通常公開されていない場所に来れるのは、おばけだからこそ!
今年の司太夫は新選組の着流し。近くの光縁寺にある新選組之墓でもパチリと記念撮影。

◆嵐電「おばけ電車」

祇園を出発して新選組の地を通って、いよいよ嵐山へ向かいます。
嵐電と言えば「妖怪電車」ですが、今回は「臨時おばけ電車」。

この「節分おばけ」は毎日新聞と朝日新聞にも掲載されました。

毎年、おばけ電車は子供の泣き声があがるそうですが、今回は和やかな雰囲気。おばけの中でもメーテルと一緒に嵐電に乗車できたのは嬉しかった!来年は鉄郎でどなたかぜひご参加ください。(鉄郎がいっぱいいたらどうしよう)

嵐電嵐山駅でおばけ集合!の記念撮影。

そして世界遺産 天龍寺へ!
節分では塔頭寺院七カ寺で笹に御札をつけてもらう七福神巡りも行われます。
甘酒の接待もあり、参道にはタコ焼き、蕎麦などの屋台が並んでいます。

続いては千本えんま堂
怖い顔の閻魔様ですが『ゑんま様は、人間を三悪道には行かせたくない為に、怒りの表情で、地獄の恐ろしさを語り、嘘つきは舌を抜くと説いて下さるのです。』

住職はとても柔和でお優しいお方。
節分で忙しそうでしたが、笑顔でお迎えしてくださりました。

千本えんま堂の節分は、えんま様の舌だという「こんにゃく煮き」があります。
司太夫いわく「二枚舌になってもあかんし、一枚ずつで。」ということでみんなで諸病除けのこんにゃくをいただきました。

次は全国の田中姓の祖「田中神社」。

おばけたちが歩く後ろ姿はまるで百鬼夜行…。

この田中神社は孔雀の卵のおみくじが人気の神社です。

神職からお神酒をいただきました。ごちそうさまです!

お祈りしたあと、鳥居から髑髏が出てくるというのは凄かった…。
これは節分おばけ限定の光景ですね。

いよいよ厄落としの神社仏閣巡りも最後。
最後に訪れたのは京都の節分の名所、吉田神社
参道には800店の屋台が立ち並びます。

前日の追儺式により改心した鬼たちが袴を着て正装して歩いていました。
「福来たる~、福来たる~」と扇子で頭をポンと叩いて、福を授けている姿はなんだか微笑ましい。

葵太夫は「抽選券付き厄除け福豆」をゲット。

吉田神社でのおばけたちのメインイベントは恵方巻のかぶりつき!
恵方を向いて恵方巻をほおばります。

井筒八ツ橋本舗で節分限定の福引が行われおり、八ッ橋をいただきました。
ごちそうさまです!

◆おばけパーティ開催!芸舞妓のおばけショーも!

朝から京都中の神社仏閣で厄落としして、バスの中では差し入れのおにぎりや、祇園ではおぜんざいをいただいたりと、どこに行っても温かく迎えていただきました。

おばけたちの体力こそがおばけ並み。
これだけ一日遊んで過ごして、さらに祇園に戻ってパーティを開催!

演目は越後獅子だったのに、何故か途中から「パプリカ」が流れてヲタ芸に!!
子年にあやかってミッキーマウスも登場です。
他の花街では絶対に見られない演目。かなりの衝撃でした。

そして決めポーズ!司太夫が持っているのは葵太夫が出演する映画「燃えよ剣」の告知。

今回のおばけはお琴の先生や、車いすダンサー奈佐誠司さん口笛奏者もくまさあきさんなどが参加されていました。

パーティの後の二次会は祇園の色々なお店を「厄祓い人」となって福豆を配って廻り、三次会は夜中には芸舞妓たちのおばけショーと非常に濃い一日に。

おばけの移動ルートは毎年ひとつは新しい場所を増やしているそうです。

来年はあなたも京都の節分でおばけに変身!
やっこ(厄)祓いまひょ〜!

問い合わせ先

末廣屋(司事務所)
〒600-8825京都府京都市下京区嶋原中之町115-16-101
司太夫 Twitter 090-9611-7751 [email protected]
葵太夫 Twitter Facebook Instagram [email protected]

宮中で舞や琴、茶道など芸事を披露していた希少な嶋原太夫の主な参加行事
島原太夫「おさらい会&こったいの会 新年会」 禿や少女、舞妓さんたちの発表会
・4月第二日曜 10:20~ 常照寺 吉野太夫花供養 太夫道中 (境内有料)奉納舞、演奏、茶席
・4月第二日曜  13~15:30 国宝 石清水八幡宮 太夫道中 かしの式、奉納舞、茶席
・7月上旬 14:00 はも道中 八坂神社 太夫道中 人形浄瑠璃
・8月1日 15:00 嶋原の八朔 末廣屋 葵太夫が輪違屋、角屋などに挨拶回り
・10月6日 9:30 15:00 高台寺 北政所茶会 太夫道中 (茶席 有料)太夫席
・10月14日 宝鏡寺 人形供養祭(島原太夫による舞・琴/撮影禁止)※2018年から舞妓さんに変更
・11月第二日曜 10:30 清凉寺(嵯峨釈迦堂)  夕霧供養祭 奉納舞 (本堂内 撮影禁止) 太夫道中
・11月第二日曜 嵐山もみじ祭 14:00頃から 島原太夫の御点前披露  太夫道中
・12月14日 10:30 法住寺 義士会法要 太夫道中
・年末 餅つき

京都の宝・嶋原太夫は現在たった4人!
舞妓さんたちの五花街と違い、歌舞練場も組合もありません。
嶋原太夫はもう4人しかおらず、お若い太夫さんは1名だけです。
文化が途絶えないように少しで結構ですのでお力添えをいただけますと幸いです。

嶋原存続のクラウドファンディングはこちら

 

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
毎日「京都散歩の旅」なカメラマン。
奈良・吉野アンバサダー。観光経済新聞、楽天トラベル等を執筆。聖地と舞が好き。民俗芸能や瀬織津姫研究中。
instagram @kyoto.photographer
https://earth-traveler.com/

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