関東圏における秋祭りといえば、酉の市が有名です。縁起物を飾った熊手が売られ、屋台が立ち並ぶ光景は、関東圏では秋の風物詩とされています。酉の市は神社で開かれる行事であり、複数の神社が同じ日に酉の市を開催することが特徴です。この記事では、深川祭で有名な「深川・富岡八幡宮」で開かれる酉の市に関してご紹介します。
深川・富岡八幡宮の酉の市の概要
まず、深川・富岡八幡宮の場所やアクセス手段といった基本的な情報や、酉の市が開催される日時や当日の注意点などをご紹介します。
そもそも酉の市とは
酉の市とは、おもに関東にある鷲神社、大鳥神社など鳥にちなんだ寺社を中心として毎年11月の酉の日に開催されるお祭りのことです。由来としては神道と仏教でそれぞれ異なる説が存在します。
神道では、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東夷征伐の際、11月の酉の日に埼玉県久喜市にある鷲宮神社で、熊手とともに礼参りしたことが起源だと言われています。
一方、仏教では1265年11月の酉の日に日蓮が千葉県茂原氏の小早川家に滞在していた時、鷲妙見大菩薩(わしみょうけんだいぼさつ)が鷲の背に乗って現れるのを見たのが始まりだと伝えられています。
酉の市では、おかめや紙製の小判などで装飾された熊手を売る露店や、飲食物を扱う屋台が出店されます。酉の市で熊手を売るという風習は、昔は農民に向けて熊手やクワを販売していたところから由来しているとされます。
なお「酉の日」とは、日にちを十二干支で数えた際に、酉に該当する日のことです。毎年酉に該当する日にちは異なることに注意しておきましょう。
酉の市は毎年2~3回開催されており、開催される時期に応じて「一の酉」「二の酉」「三の酉」と呼ばれ、3回ある年は火事が起こりやすいと言われています。
日時
2019年11月8日 0:00~2:00、6:00~24:00
2019年11月20日 0:00~2:00、6:00~24:00
なお、開催日時は2019年の酉の日、2018年の開催実績を参考にしたものです。
アクセス
電車の場合
都営大江戸線・東京メトロ東西線「門前仲町駅」1番出口徒歩5分、5番出口徒歩8分
自動車の場合
首都高速箱崎ICより10分、首都高速木場ランプより5分、首都高速枝川ランプより7分
混雑情報
酉の市が開催される当日は、公共交通機関および深川・富岡八幡宮へ向かう車道の混雑が予想されます。
深川・富岡八幡宮には駐車場がありますが、夕方以降は比較的混雑します。車での移動を検討されている場合、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
深川・富岡八幡宮の酉の市の特徴
酉の市は熊手商人による手締めや、屋台による賑やかさが目立つお祭りです。
しかし実際には、神社によって人通りの多さや雰囲気は異なります。
それでは、深川・富岡八幡宮における酉の市はどのような特色を持つかを解説します。
混雑を避けたい人におすすめ!ゆったりとお参りができる酉の市
深川・富岡八幡宮で開かれる酉の市は比較的小規模で、落ち着いた雰囲気があります。
酉の市当日は熊手を売る露店が数店舗、屋台は約10店ほどが並びます。
2019年の酉の市は平日であることから、午前中から昼間までは混雑に巻き込まれる可能性が低いといえます。夕方以降も24時まで開催されているので、時間に余裕を持って屋台や露店を見ることができます。
なお、大鳥神社では小さい熊手にお守りと稲穂を飾り付けた「かきこめ守り」が配布されています。
大鳥神社はご本殿の左奥に位置しており、屋台や熊手市がある参道からは少し離れています。忘れずにお参りしておくようにしましょう。
下町情緒が味わえる!門前仲町と言えば富岡八幡宮
深川・富岡八幡宮の最寄り駅である門前仲町は、富岡八幡宮に隣接した町として形成された歴史を持ちます。
門前仲町は下町情緒がある町で、富岡八幡宮を中心として長い歴史を持つ建造物や石碑などが現存しています。
深川・富岡八幡宮にある酉の市以外の見どころ
深川・富岡八幡宮はさまざまな見どころを持つ神社です。
境内には大鳥神社以外にも、相撲の神様とされる人物を祀った神社や、歴代横綱の名前が記載された石碑などがあります。
そして、八幡宮に隣接する深川不動堂も由緒ある寺院として有名な場所です。
相撲発祥の地!歴代横綱の名をきざむ碑は必見
相撲の元締めとされる野見宿彌を祀った神社が深川・富岡八幡宮には立てられています。
現代においても、相撲で横綱に昇進する人が出てきたときには奉納土俵入りが行われます。
深川・富岡八幡宮に併設されている野見宿彌神社には、歴代横綱の名前が彫刻された碑があります。
横綱力士碑は比較的有名ですが、大関、有力な関脇、巨人力士の身長などを記した碑が建っていることは意外と知られていないようです。
相撲好きであれば、ぜひ一度立ち寄ってみることをおすすめします。
厄除け・交通安全祈願!深川不動堂に足を延ばそう
深川・富岡八幡宮には、深川不動堂という寺院が隣接しています。
深川不動堂は成田山新勝寺の東京別院であり、本尊として不動明王が祀られています。成田山から分霊された不動尊であり、1703年から現存しているという記録があります。
深川不動堂では、木札を護摩の火にかざす護摩祈祷や交通安全を祈願できる車両祈祷など、さまざまな種類の御利益を受けられる祈祷方法があります。
護摩祈祷では、厄除けや学業成就であるなど、多岐にわたる御利益から受けたいものを選べるという方式になっています。酉の市がある11月には七五三祈祷も受け付けているようです。
なお、酉の市が開かれる日には数店舗ほど熊手を売る露店が出店されます。深川・富岡八幡宮に寄った際には、ぜひ深川不動堂にも足を運んでみましょう。
深川・富岡八幡宮で秋の風物詩を楽しもう
深川・富岡八幡宮の酉の市は朝6時から終日開催が予定されており、人混みを避けながら祭事を楽しみたい人にはおすすめの神社です。出店される熊手商店や屋台は比較的少なく、落ち着いた雰囲気があります。境内には歴代横綱の石碑や大鳥神社であるなど、さまざまな見どころがあります。
そして、八幡宮に隣接する深川不動堂も有名な寺院であり、酉の市に来た際には足を運ぶ価値がある場所です。落ち着いて酉の市を見たい人は、ぜひ深川・富岡八幡宮に立ち寄ってみましょう。