2023年9月16日、茨城県猿島郡で「利根川大花火大会」が開催されます。
人気の高い「4大花火師」が共演するこの花火大会。この記事では2022年の現地レポートともに、2023年の開催情報をお届けします。
目次
秋の境町に4大花火師が集結!
2022年9月17日。茨城県猿島郡境町にて、3年ぶりに「利根川大花火大会」が開催されました。地元茨城の煙火店だけでなく他県から有名煙火店をゲストに呼ぶ「4大花火師 夢の共演」。その様子をレポートします!
利根川大花火大会がパワーアップして帰ってきた!
2022年も関東圏では多くの花火大会が中止を決めたなか、「利根川大花火大会」は例年の7月から9月に時期を変え、開催を敢行!
しかも、総打上数を2019年の約23,000発から約30,000発へとパワーアップ、二尺玉5発を打ち上げ、文句なく2022年関東最大級のスケール。そしてそのほとんどがミュージックスターマイン(音楽に合わせ多数の花火を連続して打ち上げるプログラム)で、エンタメ性抜群の内容でした。
さて、「4大花火師」とはなんぞや? もちろん、花火師に明確な序列はありません。とはいえ、今回打ち上げを担当した4つの煙火店、茨城県の山﨑煙火製造所と野村花火工業、長野県の紅屋青木煙火店、山梨県のマルゴーは、人気・実力ともに文句なしにトップレベルの煙火店。そしていずれも花火競技大会最高峰である「内閣総理大臣賞」を受賞しています。
しかも、2022年夏の「大曲の花火」でマルゴーが同賞を受賞したことで、参加4社すべてが「大曲・土浦の両方で内閣総理大臣賞を受賞した煙火店」となりました。
2022年は、利根川の境町側河川敷の広い範囲を有料のメイン会場にし、平地部に多数のテーブル席を設置。斜面を団体席やアリーナ席、堤防上をカメラ席に。
出店もたくさん並び、待ちに待った「お祭り」の賑わいが戻っていました!
地元茨城が誇る2つの煙火店が魅せる!
プログラムは全部で19演目。そのうち前半の10プログラムは、地元茨城が誇る山﨑煙火製造所と野村花火工業が打ち上げました。
オープニングは打上のメインを担う山﨑煙火製造所が担当。BTSの「Butter」で幕を開けました。K-POPのリズムを刻みながら、カラフルな花火が踊るように上がります。
しょっぱなからワイドに上がる演出に、観客席からも思わず歓声が!
「Butter」の曲終わりでオープニング終了…と思いきや、すぐに流れたのはAimerの「残響散歌」。大玉も交じえド派手にいきます!
その後も、スターマインの合間に猫や熊などの型物が浮かび上がる「音楽付きイメージ花火『楽しい仲間とゆめ花火』」や、大玉を中心にじっくり花火を見せる、大玉メインの早打ち「HANABIのチカラ」、多彩な花火と音楽がシンクロするミュージックスターマインなどが続きます。
使用曲は、嵐の「Happiness」や、朝ドラ「ちむどんどん」の主題歌「燦燦」、「マツケンサンバⅡ」など、幅広い世代になじみ深い楽曲が多く取り上げられていました。
2022年の目玉の1つである二尺玉は、前半に3回上がりました。二尺玉とは、直径が二尺(約60cm)ある花火玉のことで、上空約450mまで上がり、直径約500mの大きさに開花します。
花火の打ち上げには保安距離というものがあり、花火玉が大きければ大きいほど長い保安距離が必要なので打上場所が観覧場所から遠くなる…というのは、花火好きには常識ですが、やはり見た目の印象としては、尺玉より小粒に…。
迫力に欠けたのはやや残念ですが、長く尾を引いて伸びていく光、重く響く破裂音など、二尺玉の良さは感じられ、いずれも美しい花火でした。
これぞ利根川大花火大会!名匠の共演!
後半はいよいよ4大花火師の共演。それぞれが「銘花尺玉5発」と「ミュージックスターマイン」の2つを披露しました。
トップバッターの山﨑煙火製造所は、5発すべてが多重芯花火(何重にも同心円を描く花火)。スターマイン「青と白のキセキ」は、その名の通り、ほぼ青と白の2色で構成され、青の深みを堪能できる花火でした。
続いてマルゴー。尺玉5発ではマルゴーらしい時差式花火(イルミネーションのように光が移動する花火)を連発。トリッキーな花火の連続に歓声が上がります。スターマイン「Cosmos」では、マルゴーの真骨頂ともいえる極彩色の宇宙が広がりました。
続く野村花火工業の尺玉は、「昇曲導付五重芯変化菊」に始まり、「キラキラ万華鏡」など人気の作品が続きました。
スターマイン「情熱の炎」では、アニメ「進撃の巨人 ファイナルシーズン」の激しくも不穏さ漂う曲に合わせ、迫力あるスターマインを展開。前半の押さえた演出から、ボーカル入りと同時に一斉に打ち上がる変化がカッコよすぎる!
トリの紅屋青木煙火店の尺玉は、芯入割物メインながら変化が多彩でした。
スターマイン「Concerto」の曲はグリーク「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」のアレンジバージョン。こちらは世界観を見せるというよりも、音との同調をメインに見せる感じ。地上から吹き上げる花火や小さめの玉が多かったように思いますが、音と花火が遊ぶようなリズム感が印象的でした。
圧巻!15分間のフィナーレ「THE SAKAI HANABI 2022」
そしていよいよラスト。「15分に及ぶ特大フィナーレ!」というアナウンスが流れたとき一斉に上がった「えー!」という声は、期待というよりも「まだそんなに?」という戸惑いが大きかったように思います。
この時点ですでに終演時間を30分近く押していたこともありますが、実際に始まってしまうと一気に花火に引き込まれました。打上担当は山﨑煙火製造所。
中孝介「花」、優里「ベテルギウス」、クリス・ハート「糸」と、ソフトな男性シンガーの歌声が続いた後、真打はレディー・ガガ。「トップガン マーヴェリック」のパワフルな主題歌「Hold My Hand」が響きわたり、それに負けない豪快なスターマインで締めくくられました。
このフィナーレに約1万発の花火が投入されたそう。
フィナーレではプログラム中に2発の二尺玉も上がりましたが、うまくフレームに収めることができず…お見せできずすみません。
アクセスなどの注意点
圧巻のスケールと多彩なスターマイン、それぞれの花火師の個性を満喫できた、見ごたえある花火大会でした。
ただ、この花火大会の場合、鉄道駅が徒歩圏内になく、関東圏ながらアクセスしづらいのが難点。例年シャトルバスが運行されますが、会場周辺は渋滞しやすく、2022年は一部のシャトルバスは時間内に会場に到着できず、帰路も関東圏内でさえ公共交通機関では自宅まで帰れなかった人がいると聞きました。自家用車はもちろんシャトルバス利用の場合も、行き帰りともに早めの行動が肝心になります。
遠方からの観覧の場合、会場近隣や、例年シャトルバスが発着する東武鉄道川間駅・南栗橋駅周辺には宿泊施設が少ないので、シャトルバス発着駅から乗り換えなしで行ける駅の近くに宿をとることをお勧めします。
できれば今後は、シャトルバス運行時間の拡大、主要駅からのツアーバスの増設などを期待します。
全国に胸を張って勧められる内容だからこそ、さらに「見に行きやすい花火大会」になることを願います。
2023年の開催情報!
日時:2023年9月16日(土) 18:00~20:00(開会17:30)
・打上数 約3万発、打上時間 約120分
場所:
茨城県境町利根川河川敷(11:00開場)
臨時バス運行:
南栗橋駅行き 往復臨時バス(事前予約制)
古河駅行き 復路のみ臨時バス(事前予約制)
駐車場:
「軒先パーキング」(8月18日(金)~予約開始・事前予約制(有料))
花火大会チケット保有者用駐車場:8月24日(木)10:00より予約開始
その他民間駐車場:8月18日(金)より予約開始