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神社と寺院の両側面をもつ豊川稲荷東京別院
日本の近代化を推し進めた明治政府は1868年、神社と寺院を明確に区別するために神仏分離令を公布しました。これに伴って数多くの寺院が廃寺や神社に変更されましたが、100パーセント徹底されることはなく廃止されたのです。全国には神社と寺院の両側面をもつ施設が数多く残されています。愛知県豊川市に社殿を構える豊川稲荷の正式名は妙嚴寺で、山号を圓福山とする曹洞宗の寺院です。1828年に豊川稲荷の江戸参詣所として東京都港区に建立された東京別院も曹洞宗の寺院です。鎮守として祀る豐川吒枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)が、白い狐に跨りながら稲穂を荷っていることから、「豊川稲荷」が通称として広まったのです。豊川稲荷東京別院では毎年、初午の日に初午祭が斎行されています。2021年には2月3日に執り行われました。
東京赤坂の青山通りに面して社殿を構える豊川稲荷東京別院
豊川稲荷東京別院は、東京メトロ赤坂見附駅の南西に約300メートルのところに社殿を構えています。青山通りに面しているので、車でも抜群のアクセスです。江戸時代には定火消屋敷が建ち並んだ九郎九坂の坂上の山門が、参詣者を出迎えてくれます。
初午祭の祈祷の後に配布される赤飯
豊川稲荷東京別院の初午祭の祈祷場所は、山門の北に建つ稲荷別院会館です。初午の日には次々に受付窓口に祈祷を希望する人がつめかけます。初午祭の祈祷を終えると例年は赤飯を頂くことができるのですが、2021年は新型コロナウイルス感染防止のため赤飯の配布は行われませんでした。
迷路の両側にひしめき合う社殿
祈祷が行われる稲荷別院会館の西の境内には、本殿を中心として数多くの社殿がひしめき合っています。迷路のように細い通路が巡り、その両側にご利益の異なる神様が祀られています。順に参拝していけば、全ての願いが叶うかもしれません。境内には夥しい数の狐の像が設置されていますが、ゆるキャラの「いなりん」が装いに変化を加えています。
境内西の駐車場に添って軒を連ねる数件の商店
神社での参拝には供え物が欠かせないものでしょう。豊川稲荷東京別院では境内西の駐車場に添って数件の商店が軒を連ねています。各々の店舗では、供え物の他に縁起物、土産が揃っており、名物のいなりずしなどの軽食をとることもできます。初午の日に食べるいなり寿司は「初午いなり」と言われ、縁起が良いとされています。
東京都港区に建立された豊川稲荷東京別院は曹洞宗の寺院でありながら、境内に夥しい数の狐を見ることができる稲荷神社です。毎年初午の日には初午祭が行われ、祈祷を行った後には赤飯を頂くことができます。