北陸随一の長まつり「氣比神宮例祭」
福井県敦賀市(つるがし)にある一之宮 氣比神宮(けひじんぐう)。地元では「けいさん」や「けえさん」と呼ばれています。
「氣比神宮例祭」は9月2日から10日まで、そして15日の月次祭をもって終わる「氣比の長まつり」として有名です。そのうち9月2日の宵山の上で子供が舞う「宵宮祭」、3日の御鳳輦(ごほうれん)と御神輿の渡御「神幸祭」、4日は織田信長も拝観したと伝わる勇壮な武将人形の山車巡行(やまじゅんこう)をはじめ、市民行事などさまざまなイベントが行われる3日間が「敦賀まつり」と呼ばれています。
今回は京都在住のカメラマン佐々木美佳が北陸新幹線200日前イベントと4年ぶりのお祭りに沸く「敦賀まつり」をレポートいたします。
子供たちの舞とお囃子が魅力の「宵宮祭」
まず最初は氣比神宮の前にある観光案内所「KAGURA(カグ〜ル)」へ。ここで敦賀まつりのプログラムをもらえます。敦賀まつりの公式サイトでも同じ内容が確認できます。地図を見るとほとんどが氣比神宮前の神楽通りで行事が行われているとわかりました。
9月2日のメインイベントは宵山の上で子供が舞う宵宮祭。
宵山と呼ばれる舞台のついた山の上でお囃子が奏でられ、そこで子供が踊りを奉納します。着物を着た女の子が日本舞踊を披露する姿は何か健気で可愛かったです。
氣比神宮の境内では和太鼓「氣比太鼓」の奉納が行われます。
15時半ごろになるとお囃子を奏でていた宵山は神楽通りから氣比神宮に向かって移動し、舞の奉納を行います。
大鳥居の前で子供たちの舞の奉納が終わるとまた神楽通りに宵山が戻り、そのあとは吹奏楽の演奏など、市民のイベントが夜まで行われます。
御鳳輦と御神輿の渡御「神幸祭」
9月3日は神幸祭。御神体を祀った御鳳輦(ごほうれん)と御神輿の渡御が行われます。
御鳳輦は、鳳凰の飾りがついた天子の乗り物のこと。氣比神宮の御神体の仲哀天皇がお乗りになるお神輿です。
9時ごろになると時代行列が列を整え、楽の音をたてて出発。烏帽子(えぼし)をかぶった黄色の装束が特徴の護衛の直垂の衛士(ひたたれのえじ)が御鳳輦を担ぎます。
先頭は菊花の紋章入りの錦旗。そして天狗のような姿をしている、みちひらきの大神・猿田彦が続きます。一枚刃の下駄で止まっているのは大変そうですが、写真撮影には気軽に応じていました。
続いて甲冑をまとった武士の犬神人(つるめそ)、神馬に乗った神官、華かざりをした巫女や楽人たちが続きます。
行列が出発したあとは町内のあちこちから、「わっしょい、わっしょい」と掛け声を上げながら御神輿がやってきます。衝撃だったのは子供神輿だけでも12基もあること。他ではなかなか見ない台数です。
片手で担いでいたりと、わりと軽そうな御神輿にみえました。暑さの中でもその軽さが参加のしやすさに繋がるのかもしれません。
御神輿が出発したあと、神楽広場に移動すると、地元の戦国武将・大谷吉継のショーが行われていました。大谷吉継は白頭巾が特徴です。ほぼ一日中、ヒーローショーやパレードが続きます。戦国武将隊のみなさん、炎天下、本当におつかれさまです。
次のみどころは13:00からの4基の大人神輿。大きな御神輿は迫力があります。
夕方からは氣比太鼓保存会などによる演奏や仮装、電飾パレード。地元のマダムや子供たちによるダンスなど市民が一体になってお祭りを楽しんでいる感じが伝わってきます。
武将たちの姿がみどころの山車巡行
9月4日は例大祭。勇壮な武者人形が乗った6基の山車が大鳥居の前に集まります。
この敦賀の山車は室町時代以来の歴史があり、等身大の武者人形に本物の甲冑や能面を飾り付けるのが特徴です。
掛け声は敦賀独特の「えんやさーえ」「おいすくで」。この「おいすくで」が暑いせいか「アイスくれ」に聞こえたりします。やばい、幻聴かも。熱中症には要注意です。
暑い中でも港町とあって風がよく吹き、帽子や日傘が飛ばされて使いにくい時がありました。日傘は後ろの人から山車が見えなくなりますし、キャップをかぶるのがオススメです。
山車が大鳥居の前に6基集合した姿は圧巻。
12時ごろから集まり始め、13時半の出発式まで飾られています。
そして13時前後に行われる敦賀消防団の消防鳶(とび)隊による「つるが鳶」も素晴らしかったです。梯子の上で次々に技が決まります。片足を布に巻きつけて、くるりと回る大技では観客から「おぉ!」と歓声があがりました。
13時半になると出発式が行われ、時代行列とともに山車巡行が行われます。
19時からは民謡踊りや山車のライトアップもあります。
敦賀祭スケジュール
こちらは2023年の例です。
行事の間に市民イベントが行われているイメージです。
9月2日 宵宮祭 宵山にて子供達の舞とお囃子
13:00~21:00 お祭り広場(相生・神楽町1丁目通り)吹奏楽など
15:30~21:00 宵山巡行(神楽町1丁目・2丁目通り)
9月3日 神幸祭 御鳳輦巡幸・町内神輿渡御
8:00~16:00 神輿渡御(相生・神楽町1丁目・神楽町2丁目・本町通り)※小雨決行
9:00~14:30 御鳳輦巡幸(相生・神楽町1丁目・神楽町2丁目・本町・駅前通り)
10:00 子供・大人神輿が氣比神宮集結
12:00 大人神輿が氣比神宮集結
13:00 出発式後、神楽通りから各地へ渡御
13:00~21:00 イベント広場(神楽町2丁目通り)※雨天中止
15:30~21:00 カーニバル大行進(相生・神楽町1丁目通り)※雨天中止
9月4日 例大祭 山車巡行・ほか行政主催イベント行事
9:30~16:00 山車巡行(相生・神楽町1丁目通り)※小雨決行
12:00 山車6基が神宮前に集結
13:30 出発式後、神楽・相生通りを巡行
16:00~21:00 お祭り広場(相生通り)吹奏楽など
17:00~21:00 お祭り広場(神楽町1丁目通り)吹奏楽など
19:00~20:30 民謡踊りの夕べ(本町通り)※雨天中止
9月5日より10日まで後祭
北陸道総鎮守 氣比神宮
〒914-0075福井県敦賀市曙町11-68
0770-22-0794
※小雨決行、雨天中止については「敦賀まつり」公式サイトをご覧ください
歩いてめぐる港町!敦賀観光と海鮮グルメ
敦賀駅から徒歩15分ほどの位置にある氣比神宮。
そこからさらに徒歩15〜20分ほどの距離で見て回れる観光スポットがいくつもありました。敦賀まつりの間に訪れたオススメの場所をご紹介いたします。
氣比神社から北に進むと敦賀港、敦賀鉄道資料館や敦賀赤レンガ倉庫があります。氣比神社周辺のアーケード街はお祭りの期間は屋台が立ち並び、お店自体はお休みのところが結構ありました。この赤レンガ倉庫はオシャレなカフェやレストランが営業しており、ゆっくり座ってすごせます。
氣比神社から西に進むと晴明神社や敦賀城跡があります。
また敦賀海鮮卸売市場のあるお魚通り沿いには新鮮な海鮮が食べられるお店が並びます。
今回はもう少し足を伸ばして気比の松原へ。ここまで来ると片道約30分コース。夏の暑さもあり、少々しんどいですが、どこまでいっても平坦なのはありがたかったです。本数は少ないですが1時間に一本程度、観光ルートを回るバスもあります。お祭りの期間は、氣比神宮付近は迂回するため、ご注意ください。
氣比神宮の近くでゆっくり過ごしたい場合は、山車会館へ。
涼みながら敦賀まつりについてのショートムービーや、本物の山車が見られるのが良かったです。入館のお土産に山車のペーパークラフトもついています。
ランチは「丸仁」で福井の名物ソースかつ丼とおろしそばのセットをいただきました。このガッツリな組み合わせがテーブルに並ぶと福井に来た!という感じがします。
他には敦賀駅のそばの居酒屋「まるさん屋」も行ってみて欲しいお店のひとつです。こちらはランチ営業もしています。昼夜共通メニューでおろしそばやソースカツ丼ももちろん食べられます。お祭りのあと、夕食を食べに行ったところ、新鮮な海鮮と日本酒がどれも絶品すぎて食べすぎました。1階にお土産屋さんもあるのも便利です。
日本酒が好きな方はスーパーのアル・プラザ(平和堂)へ。地酒がずらりと並んでいます。タクシー専用の電話や携帯のレンタル充電器、100均もあり、困った時にとても便利です。
以上、敦賀まつりレポートでした。
敦賀の街はどこに行っても平坦で、混んでいるとはいえど、比較的つえや車椅子の方でも見やすいお祭りだと感じます。公衆トイレも簡易トイレもあちこちにありました。
楽しい旅行をお楽しみください!