埼玉県春日部市は藤のまち。市の花は藤で、春日部駅前には大きな藤棚があり、ふじ通りの1kmを越える藤棚に数種類の藤が咲き誇ります。そんな春日部を象徴するのが、藤花園の「牛島の藤」。樹齢1200年超の古木で、特別天然記念物にも指定されています。
桜やつつじも早咲き傾向にある今年2023年、一番気になるのは、開花状況ですよね。
公式サイトによると、4月19日(水)時点で、同じ藤棚でも咲き具合に違いはあるものの、全体的に7~8部咲きとのこと。藤の見頃は5分~8分咲きといわれているので、まさに今、その時期を迎えているといっていいでしょう。
海外からも「見頃の眺めは世界一」と称賛される「牛島の藤」。世界も認める美しい藤の眺めを見逃したくない方は、急いで!
ここからは、昨年2022年の現地レポートとあわせて、2023年の「藤花園」の開園情報をご紹介します。現地に足を運ばれる際に、ぜひお役立てください!
目次
樹齢1200年超、特別天然記念物の「牛島の藤」
埼玉県春日部市は「クレヨンしんちゃん」の舞台としても知られています。そんな春日部市には、ポップな「クレしん」のイメージとは真逆と言えそうな、静かな和の庭園「藤花園」があります。この庭園の主役は、樹齢1200年超を誇る「牛島の藤」。
1200年といえば驚くべき古木ですが、今も優雅で瑞々しい花を咲かせています。1000年以上もの間、多くの人を惹きつけきた貫禄の姿。国の特別天然記念物にも指定されている、とても貴重な藤です。
1200年前といえば西暦800年頃ですから、日本では平安時代が始まったあたり。都が京に移り、坂上田村麻呂が蝦夷征討に向かい、小野小町が歌を詠んでいた、そんな時代です。
園内にはほかに、樹齢約800年と約600年の大きな藤もあります。そのほかにも小ぶりの藤棚や、季節の花もたくさんで、華やかな彩りに癒されます。
順にご案内していきますね。
1200年、800年、600年の3本の藤が圧巻
まずは入口から園内に入りましょう。
入口すぐの受付で入園保存料1000円(子ども500円)を支払います。
道なりに進むと庭園が開け、右手に「天然記念物 牛島之藤」と書かれた大きな石碑が見えます。
この奥に見える藤が1200年超の藤の木……ではなく。樹齢1200年超の藤は、ここを入って左手にあります。
左手には園内で一番大きな藤棚があります。こちらが樹齢1200年超の藤。
藤棚は長く、1本の藤の木が広がっているように見えますが、実はこの藤棚の藤は2本あります。下の写真の手前が1200年超の古木、奥がその子株で樹齢約600年の藤。
根元近くの立て看板にも、特別天然記念物であることが記されています。
撮影日時点で5分咲き程度だったので花房はまだ短めですが、花には勢いがあり、1200年超という樹齢を感じさせません。花房は長いもので2mにも及ぶとか。この藤は日本最古とも言われており、弘法大師が植えたとの逸話もあります。
有名な「あしかがフラワーパーク」の大藤が樹齢約160年、東京の亀戸天神が藤の名所と言われるようになったのが江戸時代からというのを考えると、規格外の古木だということがわかります。
こちらは奥の、樹齢約600年の藤棚。枝ぶりなどは手前の藤と変わらないので、一体化して見えます。少し花の密度が濃いようにも見えました。
そしてこちらは、樹齢約800年の藤棚。1本の藤の木としては、こちらもかなり大きな藤棚です。1200年超の古木を前にしてはまだまだ若造な気がしてしまいますが、それでも800年前といえば鎌倉幕府が開かれたころ。
ちょうど2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代ですね。彼らの姿を重ねてみると、その時間の長さがイメージできるかもしれません。
いずれの藤棚も、根元の周りの囲いのある部分以外は、下を歩くことができます。園内には藤の芳香が漂っていますが、藤棚の下ではこの香りに包まれながら、藤を真下から見上げることができます。ただし、藤の花に触れないよう注意してくださいね。
見晴らし台、小さな藤棚、樹齢500年超の赤松も!
園内の奥、樹齢1200年超の藤がよく見える角のところに、小ぶりな見晴らし台があります。
藤棚を上から見ることができますよ。この時はまだ緑が目立っていましたが、満開になると紫の雲のようではないかと思います。
園内には他に小ぶりの藤棚もいくつかありました。木により咲くタイミングが少しずつ違っていて、園全体を長く楽しむことができそうです。
薄紅色のだるま藤の藤棚もあります。可愛いらしい色合いですね。
ここで古いのは、藤だけではありません。樹齢約600年の藤棚の奥にある赤松は、こちらも樹齢500~600年と言われる古木です。
また、つつじやプリムラ、ルピナスやパンジーなども咲いていて、園内をよりカラフルに彩っていました。
ゆっくり休憩できるベンチやテーブルも
園内にはあちこちにべンチや椅子・テーブルが設置されています。お弁当などを持ち込んでゆっくり過ごすこともできますよ。
また、園内に大きな段差などはなく、車椅子での入場も可能です。一部、細い橋など、入るのが難しいエリアもあり、また舗装はされていないので、動きづらい箇所はあるかもしれません。
お土産物には紫色の「藤うどん」や、藤花園の藤の花酵母を使用したという本格焼酎「藤の彩」はいかがですか? 受付近くのグッズコーナーには、牛島の藤のポストカードや藤の柄のハンカチなどが販売されています。ちょっとしたお土産や記念におすすめです。
東武アーバンパークライン藤の牛島駅の名称の由来ともなった、優雅な藤。数百年~千年を越える生命力の凄さもさることながら、地域で長く愛されてきたことを感じさせる見事な藤園でした。
「藤花園」の開園情報とアクセス
「藤花園」は、一年のうち藤の開花時期に約1か月だけ開園されます。2023年の開園概要は下記のとおり。
【開園情報】
場所:藤花園(埼玉県春日部市牛島786)
開園期間:2022年4月15日(土)~5月5日(金)
開園時間:8:00~17:00
入園保存料:大人1000円、子ども500円(4歳以上小学生まで)
【アクセス】
電車:東武野田線「藤の牛島駅」より徒歩10分
車:東北自動車道岩槻ICから約15km(約10分)、常磐自動車道柏ICから約20km(約30分)
駐車場:一般車は近隣のゴープラ春日部店(パチンコ店:旧パーラーさくらんぼ)の駐車場と共同。身障車用の駐車場は園の入口の脇にあり。
※最新の開花状況や詳細情報は藤花園の公式サイトでご確認ください