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【碓氷峠の紅葉】信越本線跡のアプトの道をハイキングしながら口ずさむ童謡

2020/11/17
2020/11/19
【碓氷峠の紅葉】信越本線跡のアプトの道をハイキングしながら口ずさむ童謡

碓氷峠の紅葉に感銘した高野辰之が創作した童謡「紅葉」

「秋の夕日に照る山紅葉」の歌詞で始まる童謡の「紅葉」は、群馬県から長野の県境を越えて軽井沢に向かう碓氷峠で産まれたとされています。作詞を行った高野辰之は、東京と郷里の長野県の豊田村の往復を繰り返していました。1911年当時には碓氷峠を登り下りした信越本線沿線の紅葉の美しさに感銘し、「紅葉」の歌詞を創作したのです。碓氷峠は例年10月中旬から11月下旬にかけて秋の彩りで包まれます。

碓氷峠で清らかな水を湛える碓氷湖

碓氷峠のめがね橋からの眺望

ヘアピンカーブが続く碓氷峠の峠道

長野新幹線の開通によって信越本線の終着駅となった横川駅

碓氷峠は信濃川水系と利根川水系を分ける分水嶺で、高低差約960メートルの傾斜がきつく鉄道敷設の難所でした。急勾配の坂道でも列車が運行できるようにアプト式という方法が採用され、1893年に碓氷峠を超えることができるようになったのです。ところが、1997年に長野新幹線が開通し信越本線は碓氷峠の麓の横川駅が終点となりました。

1997年から信越本線の終着駅となった横川駅

横川駅に展示されるアプト式の運行を行った電車の車輪

信越本線の横川駅からの電車の運行は高崎方面のみで軽井沢方面に向かう列車はありません。役目を終えながらも長年利用されたレールが残されています。碓氷峠に向かって西にまっすぐ延びるレールは「鉄道文化むら」に入っていきます。

横川駅から碓氷峠に向かって西にまっすぐ延びる廃線レール

横川駅の西の「鉄道文化むら」

「鉄道文化むら」には日本の鉄道史を語り継ぐ電車の車両が展示されています。エリアの奥には1997年まで、碓氷峠を登っていた在来線特急の「あさま」の姿が碓氷峠の歴史を漂わせています。

日本の鉄道史を語り継ぐ「鉄道文化むら」

碓氷峠の歴史を漂わせる旧在来線特急の「あさま」

役目を終えた信越本線のレールに沿って整備されたウォーキング・トレイル「アプトの道」

「鉄道文化むら」の北からは、峠に向かって「アプトの道」というウォーキング・トレイルが整備されています。アプト式の車両が通った線路跡を自らの足で登ることができるのです。

ウォーキング・トレイル「アプトの道」の起点

「アプトの道」の左右は秋の紅葉で彩られます。

アプトの道

アプトの道

「アプトの道」の起点から約0.5キロのところでは、碓氷関所が江戸時代の名残をとどめています。碓氷峠には中山道が通っていたのです。「アプトの道」には旧中山道と交差する箇所があり、坂道に敷かれた階段木は何年、旅人の歩みを支えたのかを思わずにはおれません。

碓氷関所跡

「アプトの道」と交差する旧中山道

旧中山道の坂道に敷かれる階段木

碓氷関所跡から約1.3キロ進むと、アプト式の車両に電気を送り続けた丸山変電所が時の流れを偲ばせています。

アプト式鉄道を支えた丸山変電所跡

丸山変電所跡から約1キロのところには、日帰り温泉施設を備えた「峠の湯」が設けられています。

日帰り温泉施設を備えた「峠の湯」

「峠の湯」の館内

「峠の湯」からの眺望

「峠の湯」からの眺望

「峠の湯」からさらに「アプトの道」を進むと、碓氷湖が姿を現します。

紅葉に包まれる碓氷湖

碓氷湖を彩る紅葉

碓氷湖の北東からは、トンネルが「アプトの道」を繋ぎます。5つのトンネルを通過すれば「めがね橋」です。

1号トンネル

2号トンネル

3号トンネル

4号トンネル

5号トンネルから眺める4号トンネル

5号トンネル

5号トンネルの内部

アプト式鉄道の運行を支えた「めがね橋」

5号トンネルを抜けると「めがね橋」の東袂に出ます。「めがね橋」は「峠の湯」から約2.1キロです。日本最大級のレンガ造りによる4連のアーチ橋は、碓氷第三橋梁としてアプト式鉄道の運行を支えました。バランス感溢れる「めがね橋」は国の指定重要文化財に選ばれています。

「めがね橋」の東袂に繋がる5号トンネル

アプト式鉄道の運行を支えた「めがね橋」

「めがね橋」からの眺望

「めがね橋」からの眺望

「アプトの道」は「めがね橋」からも熊ノ平駅に向かって約1.2キロ続きますが、傾斜は徐々に急になります。「めがね橋」までは、なだらかな坂道なので気軽なハイキングを楽しむことができます。豊かな自然に恵まれているので、碓氷関所跡や「峠の湯」の付近などでは、紅葉を鑑賞するサルの群れに出会うこともあります。

「アプトの道」で紅葉を鑑賞するサルの群れ

駅弁からレストランメニューに変身した「峠の釜めし」

「アプトの道」では紅葉狩りをしながら様々な歴史を感じることができますが、起点の横川駅では食の面にも変化が生じたことに気づきます。信越本線が軽井沢まで運行されていた時代は、横川駅に列車が到着すると乗客が「おぎのや」の駅弁「峠の釜めし」を買うために、次から次に飛び出していたのです。今ではプラットフォームの駅弁売りの列に並んで、やきもきする人の姿は消えてしまいました。それでも「峠の釜めし」の人気は衰えることなく、駅舎の正面の本店や駅から南東に200メートルあまりのドライブインで懐かしい味わいを求める人々の姿は絶えません。

1997年まで横川駅で販売されていた駅弁「峠の釜めし」

横川駅の正面の「おぎのや」本店

横川駅の南東のドライブイン「おぎのや」

ドライブイン「おぎのや」の駅弁「峠の釜めし」の販売コーナー

ドライブイン「おぎのや」の客席

ドライブイン「おぎのや」の売店

群馬と長野の県境に位置する碓氷峠は傾斜が急であるため、長野新幹線が開通するまではアプト式と呼ばれる特殊な方法で電車が運行されていました。容易に足を踏み入れることができない峠には豊かな自然に包まれ、例年10月中旬から11月下旬には紅葉で彩られます。童謡の「紅葉」は碓氷峠で誕生したのです。

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