若草山焼きは、冬の奈良で最も有名で人気のあるお祭りの一つです。奈良県奈良市の奈良公園で開催されます。
奈良の中心市街地、近鉄奈良駅が最寄りであり、交通アクセスが良いこと。そして若草山自体が古くから奈良の人々に親しまれ、愛されてきた山であることから、若草山焼きは毎年盛り上がりを見せるお祭りです。
2022年は感染症拡大防止の観点から混雑回避のため奈良公園での観覧は事前予約制となりましたが、さまざまなスポットから分散して若草山焼きを楽しむ光景が見られました。
若草山焼き2022の見どころ
若草山の山焼きでは、およそ3時間かけて若草山全体を炎が包み、辺り一面が真っ赤に染まります。例年、山焼きの直前に花火が打ち上げられます。
2022年の若草山焼きも、18時10分過ぎ頃からの花火でスタートしました。冬の澄んだ空に打ち上がる鮮やかで巨大な花火は、夏とは違った趣で人々を魅了します。花火が上がるたびに、凍えるような寒さを忘れるほどの静かな熱気が広がったのが印象的です。
18時17分頃から徐々に、若草山全体に火が回り始めます。若草山に炎が広がる様子は、暗い夜空の一部を赤みがかったオレンジが包んでいくよう。生き物のような躍動感に満ちたオレンジの炎がその範囲を広げ、巨大な炎が追いかけてくるかのような、緊迫感すら感じます。
30分ほどで、若草山は炎に包まれます。
近鉄奈良への道で振り返ると炎が迫るよう
盆地地形の奈良らしく、若草山を背にして市街地が広がっているため、街の背景一面が燃え上がっているような景色です。日頃は穏やかで、鹿がのんびり散歩する奈良公園が、別世界に染め上げられます。
奈良公園と近鉄奈良駅の間には屋台もいっぱい
東大寺の参道にもたくさんの屋台が
近鉄奈良駅から地上に上がってすぐのあたりから奈良公園までの歩道には、たくさんの屋台が軒を連ねています。歩道が広いので、屋台同士の間隔もしっかりとっており、三密対策も万全なので安心して屋台を楽しめますね。
若草山焼きを満喫するスポット
山焼きが始まる前ののどかな若草山
若草山焼きを最前線で見学するなら、奈良公園の春日野園地と浮雲園地。そして奈良公園バスターミナルの屋上庭園がベストスポットでしょう。例年大人気のスポットということもあり、2022年の若草山焼きでは事前登録予約制で、かなり早い段階で予約が終了してしまいました。
しかし若草山から離れたスポットからも、若草山焼きを満喫できることをご存じですか。若草山焼きの絶景スポットとして有名なのが以下の3つです。
●ならファミリーの屋上
●薬師寺
●平城宮跡
ならファミリーは近鉄奈良線の大和西大寺から徒歩3分ほどの所にある商業施設です。年によっては入場整理券を配布することもあるので、事前に確認すると安心です。
薬師寺は、背景に花火や燃え上がる若草山が見える絶好の写真撮影スポットのため、写真好きな方や若草山の記憶をカメラにおさめたい方に大人気です。フォトスポットは早い時間から場所取りの必要があるほど賑わっていて、知る人ぞ知る人気の場所といえます。
この3か所の中で、最も広大な敷地であるため混み合わず、かつ、そびえる朱雀門を背景に若草山焼きの様子をおさめられるスポット、それが平城宮跡です。
平城宮跡から見た若草山焼き2022
ライトアップされた朱雀門の背景に、燃え盛る炎に包まれた若草山が見えます。高い建物に視界を遮られることもなく、街灯もほとんどない平城宮跡からみると、漆黒の闇に浮かび上がる若草山が荘厳に輝きます。
平城宮跡までは、近鉄奈良線の大和西大寺駅から徒歩20分ほど。さらに街灯がほとんどない暗い夜道のため、平城宮跡から若草山焼きを観覧する場合は、懐中電灯を持参して、足元を照らすのがおすすめです。
おわりに
全体が芝生に覆われ、つるんとしたなだらかな曲線が印象的な若草山は、古くから三笠山として歌に詠まれるなど、奈良の歴史になくてはならない山です。
盆地という地形も手伝って、燃え上がる若草山が迫ってくるように見え迫力も満点。冬の夜空を染める花火と山焼きのお祭り、奈良の若草山焼きを、ぜひ体験してみてください。
なおYouTubeの奈良公園公式チャンネルにて、若草山焼きの様子がノーカットでライブ配信されました。現在はダイジェスト版のアーカイブが公開されています。
他にも、奈良テレビではドローンを導入し、上空から若草山焼きの様子を観覧できるという豪華な企画のライブ配信が行われました。現在はYouTubeの奈良テレビチャンネルに動画があがっているようです。若草山焼きを観覧できた方も、見られなかった方も、一度覗いてみるのもいいですね。