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かけがえのない「味」のある、よさこいへ!「國士舞双」代表・森田成潔氏にインタビュー 

マツコ
2022/5/23
2024/3/7
かけがえのない「味」のある、よさこいへ!「國士舞双」代表・森田成潔氏にインタビュー 

オマツリジャパンでは「よさこい」をフィーチャーし、魅力あふれるチームをご紹介していきます。第3弾は高知と関東を中心に活動を行う「國士舞双(こくしむそう)」代表である森田成潔(もりたまさゆき)氏のインタビューをお届けします。

國士舞双ってどんなチーム?チーム名に込めた思い

國士舞双 森田氏「國士舞双」代表 森田成潔氏

「國士舞双」は、この国に二つとない、その人それぞれの唯一無二の輝きを引き出すよさこいを目指し、2007年、高知と関東の有志メンバーにより発足。正調よさこいを大切に引継ぎ、次世代の踊り子へ伝承しながらも、代表・スタッフ・踊り子までの全員が「敷居」なく、同じ目線で努力し、楽しむことができるアットホームなチームです。

代表の森田成潔氏は、様々なチームを経た後、1998年から2006年には高知を中心に活動する「十人十彩」にて、発足当時よりダンスリーダー・振付指導を務め、2006年には、「前夜祭・グランプリ」「本祭・よさこい大賞」「原宿表参道スーパーよさこい 元気祭大賞」の三冠を受賞した経歴の持ち主。
よさこいのスペシャリストでもあり、よさこい愛の深い、森田氏に自身が率いる「國士舞双」や高知の「よさこい祭り」についてお話しいただきます。

---結成当時の思い、大切に思っていたことを教えてください。

國士舞双を立ち上げたのは2007年です。純粋によさこいが大好きな人が集まった集団を作りたいと思い始めました。その時に、この国に二つと同じ人はいない、その人その人の中にある輝きに出会えるようなチームでありたいと思いから「國士舞双」と名付けました。

國士舞双 2007年当時の様子2007年当時

---高知と関東の2か所の拠点がありますが、どのように練習をされているのでしょうか?

通常は、高知と関東、それぞれで活動しています。
しかし、夏の南国土佐・高知「よさこい祭り」には、東京、神奈川、千葉、埼玉などの60人以上のメンバーも、一緒に参加します。8月6、7、8日の三日間、合同で練習を行い、本番に一緒に盛り上がります。

第64回よさこい祭り 前夜祭

高知「よさこい祭り」の魅力は?共に楽しむ距離の近さ

國士舞双

國士舞双の原点である高知の「よさこい祭り」は、8月9日の前夜祭、8月10・11日の本番、12日の全国大会・後夜祭と、計4日間開催されます。全国から200チーム以上、18,000人ものエントリーがあり、毎年100万人以上の人出のある全国的にも人気のお祭りです。

---高知のよさこい祭りの魅力を教えてください。

南国土佐・高知「よさこい祭り」は昭和29年にはじまりました。
私は高知生まれなので、2歳くらいから見て、帯屋町にある中央公園で踊り、10歳の時には子供会連合会で踊っていました。
まだ予算もない時代で、法被が支給されることもなく、体操着で踊っていたのですが、16トンや20トンのトラックが地方車(じかたしゃ)であったり(※今は規制されて4トントラック)、帯屋町を踊り子が双方向から行き違いしたり、なんでもありのパワーのある祭りでした。
踊り子も今は150人以下がルールですが、当時は、800人という大所帯でずらずら踊ったりもしていました(笑)。

高校生時代の森田氏 この当時からよさこいにどっぷりハマっていた

---ストリート感たっぷりですね。ストリートの魅力はどこにあるのでしょうか?

高知のよさこい祭りの魅力は、なんといってもお客様との距離の近さ。すぐ目の前を通る踊り子をうちわであおいだり、握手したり、たまには酔った勢いでおじさんが一緒に参加したり……
見せる側と見る側で分かれているイベントとは違い、手拍子したり、飛び跳ねたり、一緒に参加し、楽しめることが祭りの一番大切なところ!高知のよさこい祭りはそんな魅力にあふれた祭りです。

國士舞双 2016年 菜園場の様子沿道を埋め尽くすたくさんの観客

何が飛び出すかわからない!國士舞双の表現

國士無双の旗

國士舞双の演舞は、正調節と鳴子を大事に取り入れながらも、新しい踊りや、楽曲の國士流よさこいを開拓し、独自性のある表現が魅力です。

---伝統を守ることと新しいことを取り入れること、どのような気持ちで取り組んでいますか?

その年のイメージを決めていくのは代表である私の仕事ですが、毎年同じものにはせず、このパターンか!ということはないようにしています。
鼠小僧が出てきたり、カツオの一本釣りが出てきたり、初回の振りつけ見せた時の踊り子の驚きは相当なものです!時にはブーイングも出ますが、本番頃は私もあれが踊りたいと、逆に大人気になったりすることも多くあります。
アイディアを決めて、作曲の藤木先生や、振付の田村千賀先生、衣装はいずるの杉本さんにイメージを伝え、よさこいの弾ける感じや楽しさが伝わるものになるように知恵を絞っていただいています。

國士舞双 鼠小僧コミカルな表情も魅力!鼠小僧

---新しいことを取り入れながらも、一方で正調よさこいを大切にされていると思います。その思いは?

國士舞双では、正調よさこいを、毎年どの作品でも、必ずまるまる一曲の正調よさこい節を楽曲に取り入れることを大切にしています。

昭和29年に高知でよさこい祭りが始まった時、武政英策先生が作ってくださった正調よさこい、そして日舞の五流派の先生たちが工夫してくださった伝統を、大切に受け継ぐチームでありたいと思っているのです。それがないとよさこい祭りである意味がない、どこの祭りでも同じじゃないかと言う思いもあります。

---正調よさこいといえば、鳴子の音色やさばいている様子が印象的ですね。

國士舞双の演舞の様子鳴子の音が響く

正調よさこいには、鳴子を鳴らすタイミングや鳴らし方、楽曲のとり方などすべての要素が入っています。鳴子は、よさこい祭りを代表するものなのです。
曲に乗せて、阿吽の呼吸で鳴らせる人は、身体も自然と曲に乗っています。鳴子を味方につけるか、敵に回すかで、上手い下手が決まるのです。
正調よさこいをきちんと踊れたら、鳴子のさばき方も鳴らし方も、すべてうまくなる、そのくらい正調よさこいは、よさこいにとって大切なものなのです。

森田氏取材時 自らの鳴子を手に説明する森田氏

踊り終わって全員が泣ける敷居のないチーム

國士舞双の演舞の様子

國士舞双は、代表、スタッフ、踊り子までの全員が「敷居」なく、みんなで楽しむことができるアットホームなチーム。

---感動を共有できるチーム作りに秘訣はあるのでしょうか。

國士舞双は結成当初から、敷居のないアットホームなチームを目指してきました。
私自身、チームの代表なのですが、先頭で纏をもって踊っていた踊り手でもあるので、引っ張っていくからしっかりついてこいよと言うスタンスです。

また、國士舞双に入りたいという方とは必ず面接をします。まずそこで自分自身がその方を知ることが大切だと思っています。みんなが駆け寄っていくような存在でありたいと思っています。

 

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國士舞双は120~130人のチームですが、踊り子の全員が高知で踊り終わった後に泣けるチームです。努力したスタッフや、地方車に乗った人だけでなく、全員が泣ける。目いっぱい楽しみ、全力を尽くして、全員が泣けるほど感動のあるチームはなかなかないと思っています。

國士舞双 地方車縁の下の力持ち、地方車メンバー

---國士舞双がチームとして大切にしているもの何でしょうか?

きれいに踊ることは練習をすれば可能ですが、人は誰一人同じ人はいません。その人その人の良いところがあり、「味」があります。その良さを國士舞双の練習の中でたくさん見つけてほしいと思っています。そうすれば自然とうまくなっていくのです。

---まさに「この国に二つとない」その人ならではのよさこいですね。

市役所のおじさん、おばさんがとても味のあるよさこいを踊ったりすることがあります。その味は若い子にはなかなか出せません。若い子は新しいものに行こうとしますが、味の出し方がわからないんだと思います。
人はみんな違う魅力や輝きがあり、そして、笑い、悲しみ、喜び、怒り、たくさんの感情があります。そういったことを大事に表現していくことも、よさこいの一つの楽しみ方だと思っています。

2016年 國士舞双

2022年の夏は南国土佐へ「よさこい」を楽しもう

國士舞双がストリートで演舞する様子

1954年の開始以来初めて2年連続で中止された、高知「よさこい祭り」。2022年も「よさこい祭り」は中止となりますが、単年度特別事業として「よさこい鳴子踊り特別演舞」が8月10日(水)、11日(木)に開催予定です。

---これからの國士舞双の表現 よさこいの新たな可能性、目指していくことはありますか?

個人的なことですが、國士舞双をはじめて11年目に脳梗塞で倒れ、振りなどを覚えられなくなりました。病気になってから、スタッフが様々な点でフォローをしてくれて、とても感謝しています。
今、自分が生かされて、もっと人と人とがふれあっていく道を、よさこいで作っていきたいと思っています。

コロナ禍で、稽古などはオンラインで工夫をしながら行っています。しかし、よさこい祭りは、先頭に地方車があって、そこに飾り付けがあって、そこから大きい音が出て、踊り手が並んで、フラフがあって、救護車が付いてくる、そういうものだと思っています。
本来のよさこい祭りを今年こそぜひ行いたい。高知市長やよさこい振興会、よさこい連合会など、皆さんが前向きに考えていてくれていて、ありがたいことだと思います。
(編集部注:この記事は2022年4月11日に行った取材時の情報をもとに構成しております。2022年は単年度特別事業として、「2022 よさこい鳴子踊り特別演舞」を、感染状況を勘案しながら実施すると発表されています。)

よさこいに興味のある方もそうでない方もぜひ、8月の南国土佐・高知にお越しください。
人と人とが間隔をあけても、マスクをして掛け声が出せなくても、一緒に参加して、手拍子を打って、一緒にゆれて、同じ空気を分かち合えることが、祭りの一番素晴らしいところ。一発でよさこいの虜になりますよ!

國士舞双の演舞の様子

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