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天空しなと屋インタビュー〈後編〉~よさこいは民衆の心の躍動 心沸き立つものから明るい世の中へ

更新日:2022/3/24 マツコ
天空しなと屋インタビュー〈後編〉~よさこいは民衆の心の躍動 心沸き立つものから明るい世の中へ

様々な魅力あふれるよさこいチームをご紹介する連載企画の第一弾。各地のよさこいをプロデュースし、セルフプロデュースチームも多数持つ天空しなと屋ディレクター井上昇氏のインタビューをお届けします。

前編では天空しなと屋の紹介や、セルフプロデュースチームの代表的な存在である「天空しなと屋しん」の成長とその拠点である原宿表参道元氣祭スーパーよさこいの魅力についてお伝えしました。

後編では天空しなと屋の多様なセルフプロデュースチームの魅力と、コロナ禍での活動について、アフターコロナに描くよさこいの未来、大切にしていきたいものについてお話しいただきます。

「天空しなと屋、井上昇氏インタビュー〈前編〉活動の道のり、よさこいを通じて伝えたいこととは?」

天空しなと屋の様々なセルフプロデュースチーム

天空しなと屋が依頼を受けて、各チームの希望に沿って作品を提供し、プロデュースするのとは別の形で、「自分たちのやりたいように、好きなようにチームをつくったらどうなるだろう」ということを実験的にやってみたのが、最初のセルフプロデュースチーム「しん」でした。その後も、違った目的、異なった参加者、様々なコンセプトでメンバーを募集し、数々のセルフプロデュースチームをつくっていきました。各チームは、他のチームとのバランスや状況の中で、変化と成長を重ねながら今に至っています。

様々なチームをセルフプロデュースしている「天空しなと屋」。前編で紹介した最初のセルフプロデュースチーム「しん」の他、女性だけのチームである「茜丸」や、18歳までの若い世代のチーム「明星」、50代以上の限定の「吉長」、南国土佐・高知のよさこい祭りに参加したい人のためにつくられた、海外からの参加者も多い「RED ASIA(レッドエイジア)」など、様々な特徴あるチームが活動を行っています。多彩な魅力を持ち、多くの人によさこいに参加する機会を広げる天空しなと屋のセルフプロデュースチームの中からいくつかをご紹介します。

未来のよさこいを担う若い世代の「明星」

天空しなと屋 明星「明星(あけぼし)」

「明星」は、2017年、表参道を拠点に発足した次世代のためのチーム。小学校一年生から高校3年生までの子どもたちが活動を行っています。子供用の踊りではなく、この世代だから感じられる世界の大きさや美しさをまっすぐな気持ちで表現するチームです。

―――心からよさこいを楽しんでいる姿が印象的な「明星」ですがどんなチームでしょうか?

「『明星』は、若い時からよさこいの魅力に触れ、よさこいを支える人材として育ってほしいという思いからはじめたチームで、“大人顔負けの魅力であふれ、技術を持ち、心から楽しんで踊れる次世代を担う子供たち”を育てることを目指しています。」

女性だけのチーム「茜丸」

天空しなと屋 茜丸「茜丸(あかねまる)」

前編でご紹介した「しん」の姉妹チームでもある「茜丸」。2013年、表参道を拠点に発足した全国から踊り手が集まるチームで、童謡、民謡、鳴子の音を織り交ぜてボーカルにのせて表現します。

―――女性メンバーだけの「茜丸」ですが、どのようなきっかけでチームが作られたのでしょうか?

「しんの次につくったのが『茜丸』です。当時、原宿表参道元氣祭スーパーよさこいに出るには“自チームの活動的にも金銭的にもハードルが高い”という声もあり、できるだけ多くの方に原宿の素敵なお祭りを体験できる場を作りたいと思ってはじめたのが茜丸で、もともとは男性も一緒に活動をしていました。
そこからほかのセルフプロデュースチームも生まれる中で、茜丸は女性だけのチームとして表現を磨いていく流れになりました。

そして、2021年は18歳以下のチーム『明星』と一つになりました。」

50代以上限定!大人の魅力あふれる「吉長」

天空しなと屋 吉兆「吉長(きっちょう)」

次にご紹介するのは「天空しなと屋吉長」。50歳以上の方限定のチームとして2019年に発足した“本物の大人”を表現するチームで、粋で艶のあるかっこいい集団を目指しています。

―――動画を見せていただいて、一振り一振りの丁寧さと深みある表現に心打たれました。こちらのチームは現在どのように活動を行っていらっしゃるのですか?

「吉長は、50歳以上限定のチームで、メンバー募集が一週間で埋まるなど、非常に人気のチームです。人数はマックスで150人くらい、皆さん全国各地のよさこいを長く踊ってきた猛者で、全員のよさこい経験を合わせたら2000年くらいになります(笑)

地元に自分のチームをもち、代表をしているけれど、吉長に参加する時は肩書を外して一踊り子として楽しみたいとか、いろいろな思いを持っている方が集まっています。

このチームでは、人生経験が醸し出す踊りの雰囲気がとてもいい化学反応を起こしてくれていて、想像以上に素敵な、良い感じのチームになってきていると感じています。」

海外とのつながり「RED ASIA(レッドエイジア)」

天空しなと屋「RED ASIA」「RED ASIA(レッドエイジア)」

続いて「RED ASIA」。2019年の南国土佐・高知のよさこい祭りに参加する新チームとして限定的に発足したチームです。

―――「RED ASIA」は、どのような想いで作られたのでしょうか?

「『原宿のお祭りをより多くの方に楽しんでいただきたい』との思いで茜丸をつくったときと同じように、高知県外からのチーム参加がさらにハードルの高い高知のお祭りを一人でも多くの方に楽しんでほしいという思いでした。
また、チームの枠を越えて様々な衣装の踊り子が集まるので、祭りの2日間を通じて全国(世界)によさこいの横の繋がりが広がったという声がすごく多かったのは、嬉しかったです。」

―――海外からの参加者が多いようですが?

「もともとは日本人が多かったのですが、海外からも多数ご参加いただきました。
ベトナムには2007年ごろ最初のチームができて、今は20チームほどあります。インドネシアやベトナムなどアジアによさこいチームは多く存在し、ほかにも世界30か国くらいに広がっています。

現地の日本人が立ち上げたケースもあれば、ヨーロッパなどでは、コスプレなど日本文化に触れる中で、よさこいを知り、踊りたいと思ったという方も多い。根底に日本や、日本の文化が好き、と言う思いを皆さん持っていてくださるのがうれしいです。

コロナウイルス感染で今は難しいですが、またやりたいと思っています。」

コロナ禍のよさこい。チームの成長と取り戻していきたいもの

2020年に世界は新型コロナウイルスの感染拡大という事態に見舞われ、よさこい祭りも中止や延期を余儀なくされました。多くの人が集まって練習することも困難な中、天空しなと屋はどのように活動を継続してきたのでしょうか。そしてコロナウイルス感染終息の折に、天空しなと屋はどのような表現を目指していくのでしょうか。

―――コロナ禍においてはどのような形で活動を行ってこられたのですか?また、メンバーの方の気持ちの変化などはありましたか?

「コロナ禍でもありがたいことに天空しなと屋では、チームのメンバーの多くが残ってくれています。動画作品の制作や、少人数での活動も増えて、その中でのリーダー、責任をもって前に進めようという人も生まれ、チームとして成長できている部分もあります。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、お祭りは中止が相次ぎ、練習を再開してもすぐ中止など、打ち砕かれるようなことが続きました。その中で人と会い、集って、何か一つのことをなしとげることの素晴らしさに本当に気づかされた日々だったと思います。

人が集って、作っていくということは人間が絶対に失ってはいけないもの、その素晴らしさを取り戻すに至るまで奮闘している感じです。」

地元の祭りとともに。これから先の天空しなと屋

天空しなと屋しん「しん」の演舞

原宿・表参道という街で発展していった「天空しなと屋」。祭りを通して生まれた絆は強い。井上氏の想いを聞いてみたい。

―――これから先、天空しなと屋はどのようなプロデュースを目指していきたいですか?

「新しい作品を生み出すことと同時に、祭りで、地元の人のあたたかさを感じる瞬間、懐かしさを感じる瞬間、そういうことをより大切にしていきたいと思っています。

原宿のような大都市部の大きなお祭りでも、水をついで渡してくれるボランティアの方などたくさんの地元の方が関わってくださっている。そういうあたたかさに気づかされるとお祭りがより大切になるし、お祭りを続けてもらうために自分たちもできることを探そうという前向きな気持ちになります。

これからのプロデュースは、地元の方やお祭りをきちんと知って、その祭りや、場を守る協力や努力をしていきたいと思います。」

これからのよさこい。読者へのメッセージ

天空しなと屋 井上氏にこやかな表情でこれからのよさこいについて語る井上氏

―――最後に、コロナの時代によさこいをどのように楽しんでいただきたいか、読者の方にメッセージをお願いします。

「よさこいは、表現も自由で、一般の方に踊りへの門戸を開いた面があると思います。よさこいをはじめて、踊りの魅力に気づき一生の趣味にする人や、踊りの世界でプロになった方もたくさんいます。日本中に祭りがあるので、よさこいを通じて日本中に友達ができるのも魅力。よさこいには付加価値がいっぱいあるし、人生に大切な宝物をいっぱいくれるのです。

『よさこい鳴子踊り』を作詞作曲した武政英策(たけまさえいさく)先生は、後世に向けて素敵なメッセージをたくさん残してくださっていますが、その中に“民衆の心の躍動”という言葉があります。私たち自身の心が楽しくてうれしくて、躍動する中でよさこいはどんどん発展して広がって、共感を呼んできた、その動きで世の中も明るくなっていきます。

コロナ禍で厳しいことも多い時代ですが、自分の心がわく方向に目を向けることで、それに共感する方も集まってくる。よさこいはそれができる素敵なツールだと思いますので、ぜひ触れていただけると嬉しいです。まだよさこいを知らない方には、今は動画で素晴らしいチームの踊りもたくさん見られますので、ぜひ推しのチームを見つけていただきたいと思います。

天空しなと屋しんは、2022年2月頃からのイベントを皮切りに春先に向けて出演が増えていきます。ぜひまた元気の交換ができたらと思っています。」

 

二回にわたって、天空しなと屋ディレクターの井上昇さんのお話をお伺いいたしました。終始、井上さんがよさこいをとても大切に愛していらっしゃることと、多くの方によさこいを楽しんでいただけるようにご尽力なされてきた丁寧な歩み、そしてよさこいがみんなで楽しめる躍動感に満ちた楽しいものだということが伝わってきました。
同時によさこいを通じて結ばれる人と人との笑顔の絆やあたたかさを大切に思い、守ろうとしていらっしゃることにも心動かされます。ぜひ沿道でビールを飲みながら、よさこいを応援できる日が早く来るように祈りながら、さらによさこいの多様な魅力に触れていきたく思います。

次回はどのよさこいチームをご紹介するのか!?お楽しみに!!

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マツコ
この記事を書いた人
マツコ
オマツリジャパン オフィシャルライター

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