2022年、徐々に通常通り開催される祭りも増え、久しぶりに賑やかな夏になりそうな兆しです。
祭りと言えば、切っても切れない縁の「お酒」。今年開催される祭りの中には飲酒が解禁されるものも出てきましたし、感染症対策を取りつつではありますが、お酒とともに祭りの雰囲気を味わうことができるのは喜ばしいですね。
そこで今回は、オマツリジャパン編集部のメンバーが「祭りと酒」にまつわるエピソードを語り合ってみました!失敗談や祭りでお酒と上手く付き合うテクニックなど、盛りだくさんの内容でお届けします!
この記事に登場するオマツリジャパン編集部のメンバー
酒を汗にして蒸発させたいアクティブ派。酒には弱いが祭りの場面では高揚感のせいでたくさん飲んでしまい、後から頭痛に悩まされることが多い。
盆オドラー。自ら「酒に弱い」と断言しているにもかかわらず、盆踊りや祭りの会場で地元に人に気に入られて、その勢いで飲みつぶれてしまう事がしばしばある。
呑兵衛マザー。毎日の晩酌は缶チューハイ1本と決めているが、お祭りでは体が受け付ける限り飲み続ける。
クラフトビールのテイスター・コディネーターの資格保持者。自他共に認める酒好き。コロナ前の花見の席でウォッカの720ml瓶をまるまる一気に飲み干し、周囲の人々を驚愕させた。(本人は記憶がなく否定している)
知らない街で目覚める事案多数。最近は簡単に酒に呑まれるので、対策のためへパリーゼジャンキーと化している。
早稲田大学に通う学生記者。早稲田。この3文字でお分りいただけるだろう。
お祭りあるある?ふるまい酒でベロンベロン?
この夏は開催される祭りも増えて、久しぶりに活気のあふれる夏になりそうですね。最近の祭りでの酒事情ってどんな感じなんでしょう?
最近は祭りでも実際にお酒を飲んでるシーンを目にするようになったし、徐々に元の形に戻ってきているのを実感するようになりましたね。この前行った長野の祭りではみんな普通にお酒を飲んでいて、昼の浅い時間帯から道ばたで潰れてる人もいましたよ(笑)いたるところにふるまい酒もあったし、それを見て「ああ、祭りが戻ってきたな」としみじみ感じました。
ふるまい酒が用意されてるお祭りって結構あるんですかね?
結構ありますね。みんなテンション上がって飲ませたがりになって、僕は仕事中なのにめっちゃ飲まされたことがありました。僕はブース運営の仕事をしていたんですが、地元の観光案内所のおっちゃんがもう酔っぱらって朝からベロベロになっていました。一升瓶の酒をカップに注がれて、気付けば飲むしかない空気になってしまって、一気に飲んだんですが、その時は幸い「仕事をしなきゃ」という意識があり酔っぱらわなかったですね。でもそのおっちゃんはベロベロでしたよ(笑)
なるほど…でも、そのベロベロだった人も仕事中だったんですよね…。仕事やれてたんですか?(笑)
その人は…何の仕事をしていたんだろう(笑)酔っぱらうのが仕事みたいな感じの人だったのかな…(笑)
それは大事な役目ですね(笑)祭りとは関係ないかもしれませんが、良い意味で「この人なんなんだろう」っていう人がいると組織が良い感じに盛り上がる。
まさしくそんな感じの人でしたね。ただそれが感覚的にはお祭りでした。お祭りだからこそ許される空気感はありましたね。
むしろ酔っぱらうという役職があるお祭りもありますよね。例えば埼玉県のジャランポン祭りとか。あれは酔っぱらわなきゃいけないかどうかわからないけれど、主役は必ずベロベロに酔ってる。
葬式を再現するお祭りで、棺おけに入る人も、お坊さん役の人もベロベロなんですよね。
ジャランポン祭り
別名「葬式祭り」と呼ばれる、葬式コントのような模擬葬式を行うユーモラスなお祭り。
夕方午後5時頃になると、公会堂に人が集まり、祭壇をつくり、白無垢を着た死体役の人が棺おけに入り、僧侶役の人が即席で適当なお経をあげ(!)、実際のお葬式と同じように祭りが進められます。ただし、なぜか死体役の人はお酒を飲みまくります。お葬式が済むと、もう酔ってベロンベロンになりながら、どうにか諏訪神社まで行き、祭典を行います。その後公会堂まで戻り、壇払いの儀式、十三仏を唱えジャランポン祭り終了です。
■日時:毎年3月15日に近い日曜日 17時頃~
■場所:秩父市久那 下久那公会堂、諏訪神社
■交通:秩父鉄道「影森」駅より徒歩24分(駐車場なし)
なぜ人はお祭りでたくさんお酒を飲んでしまうのか?
お祭りと言っていいかはわからないんだけれども、ナマハゲ行事もお酒を振る舞うよね。家に来てくれたナマハゲに対して。何件か回っているとナマハゲも酔っぱらっちゃうので、実際に大変らしいです。
僕が行った祭りの中で1番アルコールの摂取量が多そうだなと思ったのは某だんじりです。地元の人とつながりがある某だんじりに行って、一緒に町内を練り歩いたことがあるのですが、要所要所で休みがあって曳いて止まって曳いて止まってを繰り返していました。そこで止まる度に缶ビールが出てくるんですよね。どこから出てくるかわからないのですが、自動で出てくるんですよ。自販機みたいに(笑)少し小さめの缶が何度も出てきて、とにかく酒量が多かったです。
お神輿とかのお振舞いに近いかもしれないですね。
これは定かではないのですが、青森ねぶたの跳人っているじゃないですか。跳人って「ガガシコ」っていう、平べったい器みたいなものを腰からぶら下げているんですよ。あれはもともと用意されているお酒を飲むための器だったみたいですよ。
「ハネトはガガシコをシゴキ帯にくくりつけて跳ね、囃子に合わせて掛け声をかけながらこれをたたいた。また、これで酒や水を飲んだり食べ物を入れたりする便利な道具であった」
引用:「増補版 青森ねぶた誌」(青森市)
今はもうガガシコはアクセサリーのように形骸化していて、ポリバケツに入った氷水をヒシャクですくって水分補給をしているのですが、あれが昔はお酒だったのではないかと思います。ねぶたも、昔は死ぬほどお酒を飲んでいたのではないかなと。
昔も今も、お酒がつきものですね。でも、なんで祭りだとそんなにたくさん飲むんですかね?
自分たちのテンションをあげるためとか、ただただ飲みたいがために飲んでいるという場合もあるし、あとは自分たちのバリアを取り払うためっていう理由もあるかもしれないですね。
なるほど。酒で勢いをつける。
これは失敗談も含む話ですが、愛知県北設楽郡東栄町で花祭っていうお祭りがありまして、町の各集落で地元の人が夜通し神楽をしているんです。数年前にある町の花祭に見学に行ったのですが、踊りを見ていたら地元の人が日本酒の瓶を持って自分のところに来て……。自分はお酒が飲めないタイプなのでどうしようか悩んだんですが、お祭りってお酒がないとその次のステージに行けなくなる瞬間があって、「これを拒んだらもう駄目だ」と思ったんですね。それで、結局いただいたんですけれども、その瞬間飲めるような気がしてきて、3〜4杯飲んだんですけど、めちゃくちゃ気持ち悪くなっちゃって。休憩所で「うぇぇーっ」って昏睡していたらお目当てだったシーンを見逃してました…(笑)。でも、その代わりに地域の人たちの中に入れたような感じはありましたね。
たしかに初めてのお祭りや盆踊りに参加するときは、お酒の力で気分をほぐすことが多いですね。錦糸町河内音頭は、初心者でも輪の中に入りやすい雰囲気ではあったんですけれども、めちゃくちゃ緊張していて、缶チューハイ3本くらい飲んで臨みました。踊っている時にも水分補給としてアルコールを取りましたが、めちゃくちゃ汗かくからあまり酔わなかったです。
汗として身体から出てる感じですか?
そうそう。2回目以降は絶対に着替えを持って行くようにしました。ただ踊りが正しいかどうかは全くわからないです(笑)帰りに錦糸町で打ち上げをするっていうのが毎年のルーティーンです。
錦糸町とか、高円寺とかもそうなんですけれども、お酒がおいしく飲める街じゃないですか。私が毎年行くお祭りは、高円寺の阿波おどりと錦糸町の河内音頭で、本当にその時期がたのしみです。河内音頭は会場に屋台が出ていておいしいお酒のつまみが売っていたり、後半になるとサービスしてくれたり、そういう街の雰囲気も凄く好きです。それこそ、楽しすぎて終電逃す人が多そうな雰囲気があります。
家に帰るまでがお祭り!?祭りと酒と交通問題
終電逃す人とかいますかね(笑)
飲み屋に行ったらテンション上がって気付いたら終電逃すのかな。
それでいうと田舎の方が危ない感じがしますね。終電の概念が都会と違いますからね。ちゃんと帰るか誰かに泊めてもらうしかないですよね。自分は車運転しないので、運転する人の分までお酒飲まないといけない(笑)
僕は遠出して祭りに行くときは、付近に車を泊めて帰りは代行運転を呼びますね。車社会の地域だと、ほぼ代行があります。祭りが終わってそのまま近くの居酒屋で飲んで、そのあと代行呼んで宿に帰ります。祭りの会場が交通の便が良いところだとも限らないし、車がないと行けないところが多くて…でも飲みたい(笑)
祭りって終わるとみんな一斉にいなくなるんだけれども、みんなどうやって帰っているのか気になりますね。
たしかに、一斉にいなくなりますね。僕がそれ1番感じたのが博多祇園山笠の「追い山」で、めっちゃいたはずの見物人が終わった瞬間に誰一人いなくなりました。終わるのが朝7時とかなので、みんな仕事に行っちゃったのかもしれませんが。
みんな何時からいるんですかね。
朝4時59分からやっているので前泊してるんじゃないですかね。担い手の人たちも前の日の夜から集まっていました。神輿の宮出しとかも朝早いじゃないですか。聞いた話ですが、宮出しに参加する人は前の日から徹夜で飲んだりカラオケに行ったりして、そのまま参加する人も多いみたいです。
池さんも前の日から徹夜で飲んでるんですか?(笑)
いや、さすがにそこまでは飲まない(笑)ただ、お祭りに行くと普段より酔っぱらうペースは遅くなりますよね。テンション上がってなぜか普段より飲める身体になっちゃうんです。きっと祭りで酔っ払って訳わからなくなっている人たちもそうなんだろうなと思います(笑)しかし、お祭りで酔っぱらっている人の印象ってめっちゃ強いですよね。そういう人見ていると「あぁ、ハレの日だな」としみじみ実感します。
でも、神輿やお祭りを楽しみたいっていう人は、昼間からお酒飲めないですよね。飲んだら体力的に神輿を担げなくなってしまう。ちゃんと担いでいてある程度担がなくても良くなったポジションに移った人とかはお酒楽しめる。
実際の担い手は飲む余裕ないですよね。酔っぱらいたいという目的ではなく違う目的で飲んでる人もいるのかなと思っていて、夜から朝、朝から夜まで踊る某盆踊りは3,4人くらい交代で櫓で踊っている近くにお酒があるらしいです。それを飲んで覚醒させて24時間踊りきろうとしているらしいです。
みんなの悩み、祭りでのトイレ問題!うまく乗り切るには?
いやー、本当に飲みすぎ注意ですね。スージーさんはお酒で失敗したことはありますか?
私は普段からめちゃくちゃ飲むので、祭り以外の普段からめちゃくちゃ壊れてます(笑)私自身はお祭りでお酒の失敗はないですが、若い女の子がお酒飲んでぶっ壊れた現場に遭遇したことはありますね。徳島の阿波おどりに行った時、たまたま道ばたで踊れるところで踊っていてトイレに行きたくなったので並んでいたら、前に並んでいた女の子が「奥のトイレに入っている子がずーっと出てこない。」って心配していました。ぜんぜん中からの反応がなくなって、最後には若い女の子がトイレの上から呼びかけて中からドアを開けて助けだしていました。
えぇー、結構な大ごとですね…!
そしたら中からぐったりしている女の子が出てきて、誰かが「どなたかお医者さんか看護師の方いませんかー!?」と叫んだら本当に近くに看護師の方がいました(笑)寝かせてみんなは仰いで、看護師の方は応急処置をしてくださって、全く見ず知らずの人たちが連係プレーで、その子の連絡先を調べてお母さんを探し出しました。迎えに来てもらって病院に連れて行ってもらったと思います。
祭りの空気に浮かれてそこまで飲んじゃったんですかね?
なぜそうなったかというと、お祭りで浮かれて、お酒を飲んで勇気を持って告白したらしいのですが、どうやらうまくいかなかったらしく、さらに飲んでしまったらしいです(笑)それで潰れたらしいですが、お母さんが来てくれたから大丈夫でした。とりあえずみんなで「良かったね」といってさわやかに解散したのですが、次の日も私が会場に行ったら、偶然再会しました(笑)普通に人助けするマインドが凄かったです。
「トイレ」のワードで思い出しましたけど、お酒飲むとトイレが近くなる人いるじゃないですか。お祭りのよいところを見逃す人も多いんじゃないかと思いまして…例えば、東京西部の某花火大会はすごくトイレ並ぶんですよ。最初に行っておけば大丈夫と言われていたのですが、やっぱり飲んだらトイレ我慢できなくなってしまって…並んだら、案の上トイレに入っている時に「ドーン!」っていう1番大きな花火があがって「あぁ、散っていく」って思ってました。
少し叙情的ですね(笑)「トイレ入ったら最後の花火が散っていった」みたいな。でも確かに、お祭り会場トイレ問題はありますよね。僕も会場に行ったらまずどこにトイレがあるのか確認します。そしてお酒と尿意をコントロールしなければならない。
僕は花火では全く飲まないようにしていて、なるべく終わってから飲むようにしています。花火は時間が決まっているから、打ち上げが終わると屋台が安くなることがあるんです。帰りの電車も混むから、安くなったやきそばを食べてゆっくりお酒を飲みながら時間を潰してます。
お酒も尿意も計画的にって話ですね。
早めに場所取って、トイレ行って出し切るかフィナーレと共に飲み出すかどっちかですね。
僕も飲まなければ祭りのいいとこを見逃さずに見ることができたのに…!
花火は計画できるけれどお祭りはそんなこともないよね。
見どころも酒も突然きますからね。タイムテーブルなんてあってないようなもの(笑)
まとめ
最後は結局「トイレ問題」に落ち着いちゃいましたが、祭りにたくさん足を運んできたオマツリジャパンのスタッフならではの視点で、祭りと酒について語らせていただきました。
私たちもさまざまな失敗をしたり、見聞きしたりしましたが、これらのエピソードを祭りでお酒とうまく付き合うヒントにしていただければ嬉しいです。
引き続き感染症対策を取りつつ、美味しいお酒とともに祭りを楽しみましょう。