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初午とは?いつ?稲荷ずしを食べるのはなぜ?初午祭で何をする?全国の初午祭7選

2022/2/9
2024/3/8
初午とは?いつ?稲荷ずしを食べるのはなぜ?初午祭で何をする?全国の初午祭7選

初午(はつうま)と呼ばれる2月の行事を知っていますか?
節分やバレンタインデーほど有名ではありませんが、初午は古来から日本に伝わる伝統行事で、各地でお祭りも行われています。今回は初午とは何か、初午にまつわる食べ物、どんなお祭りが行われているかなどをご紹介します。

初午とは?いつ?毎年日にちが違う?

昔は日付を十二支に当てはめて数えていました。子~亥まで12日で一巡して繰り返し数えますが、2月の最初にやって来る「午」の日が「初午」と呼ばれ、全国の稲荷神社でお祭りが開かれます。

ウナギを食べる日として知られる「土用の丑の日」の丑(うし)も、同様の日付の表し方で毎年日付が変わりますが、初午の日も毎年変わり2022年の初午の日は2月10日(木)です。(ちなみに2023年は2月5日、2024年は2月12日になります)

12日に1回めぐってくるので多い時は2月中に午の日が3回やってくることもあり、年によっては初午が節分と重なることも。2月の2回目の午の日を「二の午」、3回目を「三の午」といって、これらの日にも祭りを行ったり、二の午もしくは三の午にのみお祭りを行う地方もあります。

初午の由来と稲荷神社との関係は?

初午は、全国3万社の稲荷社の総本社で、京都の稲荷山のふもとにある伏見稲荷大社の故事に由来しています。
和銅4年(711年)の2月のある日、穀物の神様であり伏見稲荷大社のご祭神である稲荷大神が、稲荷山(伊奈利山)に降り立ちました。この日が2月の最初の午の日だったことから、稲荷大神を祀る「初午祭」が毎年2月の最初の午の日に行われるようになったのだそうです。

初午祭とはどんなお祭り?

稲荷神は穀物の神様で、稲荷の名は稲作の「稲生り」からきているという説もあります。
旧暦で2月は今の3月にあたり、ちょうど田畑の準備を始める時期だったこともあって、その年の豊作と五穀豊穣、ひいては家内安全、商売繁盛などを願って各地の稲荷神社で祭礼が開かれ、多くの人が参拝するようになりました。現在でも旧暦に合わせて3月上旬に初午祭を行う所もあるようです。

また、各家庭や地域ごとに毎年決まったものを食べたり、行事が行われたりしましたが、その習俗は必ずしも稲荷神とは関係なく、土地によって様々に発展していきました。

例えば、「初午の日が早い年は火事が多い」「初午の日に雨が降らないと火事が起こりやすい」といった言い伝えがあり、初午の日に防火行事や火伏せ神事を行う地域も多くみられます。また、子どもたちが家々を回って太鼓を叩いたり舞いを舞って五穀豊穣を祈願し、お礼にみかんやお菓子をもらったり、地区内を飾り立てられた馬が練り歩いたりする所もあります。初午祭の狙いはどこも豊作祈願が基本ですが、その内容は実に地域色豊かなバリエーションがあるようです。

初午の日には何を食べる?

初午の日にちなんだ食べ物で、全国一律で決まったものはありませんが、ここでは代表的な料理を紹介しましょう。

稲荷ずし

 

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初午の日に食べられることが多いのは、油揚げや稲荷ずしです。油揚げは稲荷大神のお遣いである狐の好物とされ、初午に食べる稲荷ずしは福を呼び込むともいわれています。

東日本地域では稲荷ずしといえば丸くて細長い俵形が一般的ですが、西日本では狐の耳をかたどった三角形の稲荷ずしが多く作られます。また、中に詰める具材も、東日本では酢飯が多いのに対し、西日本では酢飯に加え甘辛く煮た椎茸やにんじん、ゴマなどの具材を加える家庭が多いとか。食べ比べてみるのも良いですね。

初午だんご

蚕(かいこ)の養殖が盛んな地域では、初午の日は蚕の神様をお祀りする日でもありました。蚕の繭(まゆ)がたくさんできることを願って、繭の形に似せて作った初午だんごをお供えしていたそうです。繭にシミがつくと価値が下がることから、醤油をつけずに食べていたともいわれます。

現在では、ぜんざいやお雑煮に入れたり、きなこをかけたり、焼いて醤油をつけたりと様々な食べ方があるようです。家庭でも簡単に作れるので、自分だけのアレンジで楽しんでみてはいかがでしょうか。

しもつかれ

 

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「しもつかれ」は、栃木県を中心に北関東に伝わる郷土料理です。鮭の頭と、すりおろした大根やにんじん、油揚げ、節分の大豆などを酒粕と一緒に煮込んで食べます。

名前の由来には、栃木県の昔の呼び名である「下野国(しもつけのくに)」からという説と、酢むつかり(煎った大豆に酢をかけた料理)からとられたという説があります。
しもつかれは、初午の日に近所の人と分け合って食べる習慣があり、「七軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」という言い伝えも。ご近所との交流にも活躍する嬉しい料理です。

旗飴

 

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旗飴は、奈良県の中部地方にみられる駄菓子で、細長い旗を付けた棒の先端に飴がついています。特に商売をしている家では、初午の日にお稲荷さまに旗飴をお供えして繁盛祈願をします。そのお下がりをもらうために、子どもたちが「旗飴ちょうだい」と近所の家をまわるハロウィンのような風習があるのです。

かつては盛んに見られたこの風習ですが、少子化などもあり、今ではごく一部の地域を除きほとんど見られない光景となってしまいました。カラフルでかわいらしい旗飴は、子どもたちも喜びそうですね。

全国各地の初午祭7選をご紹介!

初午には全国各地でユニークなお祭りが開催されています。過去に行われた初午祭の詳しい現地レポート記事へのリンクを交えながら、特徴的な初午祭を7つ厳選してご紹介します。

①発祥地の祭りは枕草子にも登場!伏見稲荷大社の「初午大祭」

京都の伏見稲荷大社で行われる「初午大祭」は、発祥地だけあって全国の初午祭のなかでもとくに有名です。別名を福参りや福稲詣ともいい、前日から多くの人が訪れて大変な賑わいです。
平安時代から初午の日には伏見稲荷大社を参拝し、その証として商売繁昌・家内安全のご利益があるとされる「しるしの杉」を拝受する風習があります。その様子は「枕草子」や「今昔物語」にも記されているほどです。

②大根を食べて無病息災!京都三千院の「初午大根焚き」

京都の大原地区にある三千院では、「初午大根焚き」が行われます。初午大根焚きでは、地元大原産の大根を大釜で焚いた料理が無料で振る舞われます。栄養満点の美味しい大根を食べながら、無病息災を願うこの行事は、冷え込みの激しい山間の地域ではとてもありがたいものでした。熱々の大根は、身も心も温めてくれるでしょう。

なお、2022年は2月11日(金)~2月14日(月)の9時~16時の間、お持ち帰りのみで大根焚きが振る舞われます。大根焚きは無料でいただけますが、参加には別途通常の参拝料700円が必要になるためご注意ください。

③名物・縁起物の初午いなりも!豊川稲荷東京別院の「初午祭」

東京の地下鉄赤坂見附駅近くにある豊川稲荷東京別院でも、毎年初午祭が行われます。境内のいたるところに鎮座する狐の姿はとても神秘的。一度は訪れたい神社です。
例年であれば初午の日にはお赤飯が振る舞われ、境内の店舗では名物の初午いなりも販売されますが、2022年はお赤飯の接待はありません。祈祷を申し込んだ方には串札が例年通り授与されます。

④火防の縁起物の市が立つ!王子稲荷神社の「凧市」

東京の王子駅近くにある王子稲荷神社では、初午の日には「凧市」が開催されます。この行事は江戸時代、凧は「風を切ってあがる」ため火災除けのお守りとされ、火事の多いこの時期に王子稲荷神社の奴凧を「火防の凧」として皆が買い求めたのが始まりだそうです。現在では凧のみならず、様々な露店が立ち並び、毎年大勢の人で賑わっています。
2022年は初午の2月10日(木)と二の午の22日(火)の2日間、10時から18時まで凧市が開催されます。

⑤火伏の来訪神がくる奇祭!秋葉山大権現の「米川の水かぶり」

米川の水かぶりは、宮城県登米市東和町米川の五日町地区に古くから伝わる伝統行事です。
この祭りでは、裸の男たちがワラで作った水かぶり装束を身に付け、かまどのすすを顔に塗って火伏の神である秋葉山大権現に参拝します。

お神酒を頂いて神の遣いとなった一行は、奇声をあげて各家庭の屋根に向かってバケツやおけの水をかけながら町を練り歩きます。見学に訪れた人々は男たちが身に付けたワラをいただき、自分の家の屋根に投げ上げて火難除けのお守りにします。
近年では文化的価値が認められ、秋田のなまはげなどと同様に「来訪神行事:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産にも登録されました。

⑥旧暦初午に行われる火伏のお祭り!箭弓稲荷神社の「火伏神事」

埼玉県の中央を南北に走る東武東上線・東松山駅のそばにある箭弓(やきゅう)稲荷神社でも、初午のお祭りが行われます。神社の読み方にちなんで、野球をモチーフにした絵馬やおみくじが頒布されていることでも有名なこの神社では、毎年旧暦の初午の日、つまり現在の3月の最初の午の日に初午祭を行っており、その前日に「火伏神事」を行っています。

稲荷神の遣いとされる白狐に扮した人たちが宮司や地元の消防署長、参拝客などとともに「エイ!エイ!」という掛け声を挙げながら火柱に青菜をかけ防火の儀式を行います。

⑦飾り馬が練り歩いたあとに流鏑馬も!篠塚稲荷神社の「篠塚初午祭」

栃木県小山市にある篠塚稲荷神社では、毎年3月の第2日曜日に「篠塚初午祭」が行われます。
この祭りでは、豊作や無病息災を祈願して、五色の布や布団で美しく飾りたてた神馬が地区内を練り歩く「飾り馬」が有名です。お練りが終わると神馬の派手な飾りは解かれ、「流鏑馬(やぶさめ)」用の馬に変身。3つの的に矢を放ち、その当たり具合で農作物の作況を占います。

篠塚初午祭のように馬を飾り立てる初午祭では、鹿児島県霧島市の鹿児島神宮の初午祭(馬おどり)が有名です。こちらは踊り連を引き連れた馬が、太鼓や三味線のお囃子にあわせてマンボのようなステップを踏んで参道を進むという全国でも珍しい祭りです。2022年は2月20日(日)に、神事として規模縮小・無観客での開催が予定されています。

まとめ

知らない人も多い「初午」ですが、全国各地で様々な内容の初午祭が行われています。
初午祭は、豊作や無病息災、火伏など、様々な願いを込めて行われる大切な地域の行事です。行事への参加が難しい昨今ですが、稲荷ずしや初午だんごなど、初午ならではの食べ物もあります。今年は節分だけでなく、初午も楽しんでみてはいかがでしょうか?

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