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3年ぶりの悪態祭りを例年の様子と合わせてレポート!完全復活へ向けた関係者の思いとは?

2023/3/29
2024/2/29
3年ぶりの悪態祭りを例年の様子と合わせてレポート!完全復活へ向けた関係者の思いとは?

2年間の休止を経て、2022年は神事のみの開催となった茨城県笠間市の悪態祭り。この記事では、2023年の通常開催を祈願し、2022年の様子と往時の従来通りの悪態祭りの詳細を合わせてレポート形式でご紹介します。

2022年撮影

祭り当日、早朝から準備のために愛宕山(あたごやま)の頂にある社務所に総代のみなさんが集まります。ここで着替えた後、巡拝路に点在する祠や境内の清掃、そして16カ所の祠に供える供物の準備などを行います。待ちに待った年一回の悪態祭りということで気が急くようで、つい早め、早めに準備してしまうのだとか。

2022年撮影

13時30分。神官が合流し、烏帽子を被った十三天狗とともに祈祷を開始。ここから先は「無言の行」となり、天狗たちは無言を貫かなければなりません。

2022年撮影

14時に開始を告げる花火が鳴った後、愛宕山の麓に神官と大天狗を含む十三天狗が颯爽と現れました。これより16カ所の祠へ供え物をして回るのです。

例年であれば、沿道の見物客から「遅いぞ、バカヤロー!」「待ちくたびれたぞ、コノヤロー!」などと悪態が飛ぶ場面ですが、今年は静かな光景が広がります。

2022年撮影

ここが1番目の祠となる「水神様」。周囲に目立つような建物などはなく、ひっそりと設置されているため、知らなければここがスタート地点だとはわからないでしょう。なお、供物の中身は、縁起物の紙垂(しで)・白米・五円硬貨・笠間焼の皿などで構成されています。

2018年撮影

1番の水神様、2番の毘沙門を過ぎて次の祠がある「睨み不動」へと向かう面々。ちなみに彼らが手に持つ青竹は、神官が拝み終わる前にお供え物を奪おうとする掟破りの不届き者を制するために使われます。

2019年撮影

例年であれば、手に入れると幸福になるとされるお供え物の奪い合いに参加すべく、祠にはこのように祭り参加者が待ち構えます。写真は「睨み不動」に先回りして待機する方々。「睨み不動」はその名の通り、二体の不動様が向かい合って位置しているため、3回目・4回目の争奪戦が連続して行われます。これは序盤からお供え物を手に入れる大チャンス!

2018年撮影

5番目以降の祠を巡るには、傾斜のついた道を進み、愛宕山を登る必要があります。段々キツくなる道のりを黙々と進む十三天狗に向かって「さっさと歩け、コノヤロー!」「給料が少ないぞ、バカヤロー!」などの悪態が容赦なく飛び交うのがお決まりの光景です。なお、個人的な日頃の愚痴を吐き出すのは構いませんが、くれぐれも個人的な名称を出しての単なる誹謗中傷は控えましょう。

2018年撮影

例年であれば、愛宕山の道中ではこのような光景が繰り広げられます。一説によれば日本三大奇祭とも言われる悪態祭りには、一般の見物客だけでなく、テレビの取材班やユーチューバーなども数多く詰めかけるため、その熱気は凄まじいことに。

2022年撮影

8番目の祠がある「百かぎ不動」は百石段の勾配が急で人が詰めかけると危険過ぎるため、残念ながら祭りの当日は一般非公開。天狗たちもヘトヘトになって百石段を登り切った先に、例年9・10回目の争奪戦が行われる愛宕神社、飯綱神社があります。

祭りが始まってからここまですでに約1時間が経過。当初こそ寒さを感じていたものの、ここまで来るとうっすら汗すらかいてきました。

飯縄神社の裏手にある十三天狗祠[2022年撮影]

11番目以降の祠は飯綱神社の裏手に密集しているため、まだお供え物を手に入れていない参加者の方はここで最後の勝負に出る大一番です。

2022年はお供物の奪い合いは行われませんでしたが、通常開催時であれば老若男女問わず参加します。時には激しい争奪戦となるため、転んでケガしないように注意しましょう。

2022年撮影

時刻は15時30分。十三天狗が仮面をつけた威風堂々たる姿で再登場。フィナーレにふさわしい真の姿を現しました。

2019年撮影

例年であれば、ここからがクライマックス。祭りの最後を盛大に飾る餅撒き・菓子撒きが行われます。これが本当に最後の争奪戦となります。最後は全員でバカヤロー三唱をして、気持ちよく祭り終了です。「バカヤロー、バカヤロー、大バカヤロー!

神事のみでの開催となった2022年。わざわざ駆けつけてくれた山口伸樹(笠間市長)さんは「神事のみとはいえ、開催できたことは良かった」「ありがたいことに悪態祭りは近年、テレビなどでも取り上げられて注目されており、市のほうでも協力してきました。来年こそは元通りの開催となることを期待しています!」と力強いコメント。

氏子の代表として祭りを取り仕切る岡野博之さんは「お祭りは実際にやってみないとわからない部分がたくさんあります。休止したままでは勝手がわからなくなってしまう。その意味ではやって良かった」と語る一方で「ただ、やはり大勢の参加者が集まり、お客さんの悪態があった方がやはり張り合いになる。悪態祭りに一般の方の参加が欠かせないことも今回痛感しました。来年度はぜひ、一般の方にもたくさん参加してもらって開催したい」と語りました。2023年度への悪態祭りへの思いはさらに強まったようです。

2022年は神事のみ、関係者のみでの開催となった悪態祭り。従来通りの祭りの復活を望む地元の方の声を代表するかのように、境内にはある悪態川柳(悪態句)が掲示されていました。「来年は かならずやれよ おまつりを」

誰でも気軽に参加することができる悪態祭りは、ちょっとした運動にもなり、悪態をついて日頃のストレス解消にももってこいです。悪態祭りは例年、12月の第三日曜日に開催。ぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか。

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