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インタビュー

「盆踊りには地域の大切にしたいものが詰まっている」3人の「盆踊ラー」が語る、輪の中に入る魅力

「盆踊りには地域の大切にしたいものが詰まっている」3人の「盆踊ラー」が語る、輪の中に入る魅力

最近は生演奏やDJによる選曲など、密かな人気を呼んでいる盆踊り。一方で、地域の踊りは縮小しているところも多く見られます。そんな中、「盆踊ラー」と呼ばれる、盆踊りを愛する踊り手たちは各地の盆踊りを巡り、夏の間に踊り続けます。本格化する盆踊りシーズンを前に、3人の「盆踊ラー」にその魅力、踊る理由、初心者が盆踊りを楽しむ秘訣を伺いました。

塩澤さん(写真左)

2015年に人生初盆踊りを体験、地域活動の一つとして、2016年に中央区の盆踊りMAP作りを仲間と始め、盆踊りにはまりだす。毎月の練習会を主催するようになり、2017年の中央区の大江戸祭り盆踊り大会で櫓の上で踊ることも体験、盆踊り仲間とのコミュニティ作りを目指して活動中。

bon田邊さん(写真右)

大学生の時に、タイでのスタディーツアー内の文化交流として炭坑節と東京音頭と触れる。しばらくして地域活動の拠点での仕事として中央区の盆踊りに関わる中で、地域の魅力が詰まったイベントだと思いつつ、ドハマリしたのは、好きな盆踊り会場でもある三鷹台商店会(東京都三鷹市)の盆踊り。大人も子供もみんなで準備して、みんなで新しい人の参加を歓迎するおもてなしに感動。以来、地域活動の視察と称して踊りまくる。上記以外の好きな盆踊りは、「大江戸まつり盆踊り大会」(中央区)「にゅ~盆踊り」(池袋)、「河内音頭」(墨田区)、「ジャズde盆踊り」(横浜)等々。すきな曲は「大東京音頭」、「大江戸東京音頭」、「八木節」、「河内おとこ節」等々。

彩子さん(写真真ん中)

2012年、盆踊りの魅力に取り憑かれ、東京の盆踊りから地方の盆踊りまで、どこまででも踊りに行く雑食系盆踊ラー。知らなかった盆踊りに出会った瞬間が何よりの喜びであり、盆踊りをきっかけに、知らなかった場所に行けることが何よりの楽しみ。大人も子供も、みんなが楽しく笑顔で踊れる場を作るべく奮闘中。

きっかけは地域活動、レアな踊りを求めてひと夏に30回、1日にハシゴも

―bon田邊さんにお2人をご紹介いただいて、皆さん相当踊りますよ、と聞いています。

bon田邊さん:6月半ばから9月が盆踊りシーズンなんですけど、3か月で30か所くらいの盆踊りに参加します。3日に1回くらいは行ってることになりますね(笑)。都内が中心ですけど、1日に複数箇所回るハシゴをする時もあって。大体どの会場に行ってもこの2人はいます。

塩澤さん:今住んでいる、東京の中央区を中心に踊っているんですが、そもそも盆踊りが多い地区なんです。色々面白い盆踊りがあるよ、と田邊さんに連れていってもらったりもしてハマりました。

彩子さん:私も多い時で30か所くらいかな。郡上踊り白鳥踊りなど、地方の盆踊りにも行きます。あと、阿波踊りの連にも入っているのでそちらの活動もあって。

―休みの日はほぼ踊っているペースですよね。なんでそんなに踊るんでしょう?

彩子さん:会場によって雰囲気が全然違って。かかる曲も違うし、場所が変われば同じ曲でも振り付けが変わるし。レアな盆踊りを…見つけたっ!ていう気持ちになりたくて。

―レアグルーヴを探すような感覚ですね(笑)皆さんが盆踊りに目覚めたきっかけを教えてください。

bon田邊さん:私は地域活動に関わる仕事をしているのですが、ひょんなことから、住んでいる近所の方と話しているうちに、地元の盆踊りのお手伝いをし始めたのがきっかけです。手作り感満載で、大人だけではなく、子供たちが屋台の運営を手伝う。こういう雰囲気って素晴らしいなって。

bon田邊さんが盆踊りにハマるきっかけとなった、三鷹台の盆踊りの様子

塩澤さん:私も地域とのつながりがきっかけで。今住んでいる場所がすごい気に入って、町内会にも入ったんですね。そこの盆踊りがあるので、友人の盆踊りフリークの女性を誘ったら、来てくれて、一緒に踊ることになったんです。元々、踊ったことはなかったんだけど見よう見まねで踊ってね。体を動かして楽しかったなって思い出はあったんです。

それから、田邊さんが関わっていた地域コミュニティの養成塾に参加して、コミュニティを盛り上げるにはイベントが大事って話があり、盆踊りもその1つだと。

もともと盆踊りが多い地域だったんだけど、中央区の盆踊りマップを作ってみたんですよ。で、マップができたら踊りに行ってみようって事になり、練習会にも参加して。そこから田邊さんに色々連れていってもらって、2年目には15回も行ったんですよ。

中央区の盆踊りマップ:スケジュールやお手洗い、着替え場所などの情報が充実した盆踊りのマップ。踊り方動画、練習の予定なども公開されています。

塩澤さん:あと、マップを作る中でこういうのも地域には大事だなと思って、浜町音頭保存会というのに入りました。長唄がベースの優雅な踊りですがなかなか難しくて(笑)。毎週練習があるんだけど、たまにしか参加できませんが、地元の踊りは大事にしたいですね。

彩子さん:5~6年前、地元の新潟に帰った時に家族で盆踊りに参加したんです。お六甚句っていうんですけど、久しぶりに聞いてビールを飲みながら踊ってみたらあれ楽しいぞ、この感じはなかなかないぞって思って、そこから盆踊りに参加するようになりました。

東京に帰ってきて初めて行ったのが佃島念仏踊りなんですが、なんというか独特の雰囲気で…。味のあるおじいちゃんが太鼓のバチ1本でリズムを取って生歌、最終的にはガラガラの声になる、という今まで体験したことがない盆踊りだったんですよ。ゆーったりとした踊りで。そこから、今住んでいるところも参加して、他の会場はどんななんだろう?とはまっていきました。

―盆踊りにはどんな種類があるんでしょうか?

彩子さん:大きく分けると、地域のお姉さまたちが櫓(やぐら)の上でお手本の踊りを踊り皆がそこを輪になって囲む昔ながらの盆踊りと、生演奏やDJで盛り上げてくれる、踊り方も教えてくれる、ちょっとフェスっぽい盆踊りの2つがありますね。

普段踊らない方がとっつきやすいのはフェスっぽい方かもだけど、まずは住んでいる地域の盆踊りを楽しんでいただきたいなって思います!

bon田邊さん塩澤さん:これは私たちも同感。

bon田邊さん:今どき⁉っていうくらいの超アナログなんですが、住んでいる地域の掲示板とか見ると講習会のお知らせとかもあるし、まずはそこから始めるのがベストですね。

彩子さん:最初は様子を見ながらの方がいいですね、とにかく外側の輪で!地元の方には、教えてくださいって言うと親切に教えてくれる方もいますよ。これコツです(笑)。

人それぞれの個性もあって、地元のおじいちゃんがやってる味のある踊りとかは、あ~真似できないなーって思いますね。こういう違いを見るのも楽しいですよ。

bon田邊さん:外から来る人を受け入れる盆踊りと、地元の人たちのためにある盆踊りがありますが、自分の地域外の場合は、住んでいる知り合いがいる所に行ってみるとか。

初心者は手の振り付けだけマネしてみよう

―盆踊りを通じたつながりとか、出会いもあるんですか?

bon田邊さん:言われて見れば当然のことなんですが、踊ってる間は皆、話さないんですよ。で、終わった後に交流…というのも結構レアなんです。挨拶はするけど、お互い何者か分からないので、びっくりするくらい会話が続かない(笑)。

彩子さん:これ、「盆踊ラーあるある」で、あの人は前も見かけたな、去年も見かけたなって思ってもなかなか声をかけない。「毎年夏に会う人」っていう、それ以上でも以下でもない関係なんですけど、それが逆に私は好きで。

―踊りの練習はされるんですか?

塩澤さん:中央区の民謡連盟が開催する練習会が3回くらいあるので、参加させてもらって習ってました。田邊さんがやっていた、地域コミュニティの活動発表会の場で発表した時に、中央区民謡連盟の方に声をかけてもらい、毎月ちゃんと練習したら浜町公園の櫓に踊らせてもらえるって言ってもらい、練習してたんです。

彩子さん:浜町公園(大江戸まつり盆踊り大会)の櫓は、東京で一番大きいって言われてるんです。

塩澤さん:これを励みに頑張ってたんだけど、去年は新しい団体の募集はありませんって言われちゃいまして(苦笑)。

彩子さん:最初はやっぱり踊れないし、次の年には忘れちゃいますよ。3年、4年と踊っているうちになんとなく感じが掴めたかなって思って、翌年同じ会場に行ってみて、あぁそうそうって体に段々と 浸み込んでくるというか。

bon田邊さん:だいたい、会場によって同じ曲、同じ順番でかかるんですよ。

彩子さん:田邊さんはよく踊ってる人の隣に行って教えてますよね。教え方がうまい。

bon田邊さん:踊りに慣れてない方って、最初から全部を完璧にマネしようとしちゃうんです。手と足をそれぞれ別に使うって難しいんですけど、目の前に踊ってる人の手だけマネする事に集中するとサマになります

塩澤さん:そうそう、手だけでも雰囲気出せるんだよね。

bon田邊さん:あとは、振り付けはループしています。手拍子なんかは、わかりやすいですね。あ、この振り付け前もあったな。というポイントを覚えると早く慣れるかもしれないですね。

彩子さん:たしかに、ループする系の曲は覚えやすいかもしれない。

bon田邊さん:まぁ、一語一句正確じゃなくても伝わる言語のように、完璧に踊ろう!と思う必要もないんですよね。それよりも、「なんだか楽しそうで、輪に入っていいんだ」って思ってもらう事の方が大切かも。踊らないで雰囲気を楽しむだけでいいと思うんですよね。会場に行けば屋台も楽しいし、地元の踊りだったら近所の人と挨拶。子供と一緒だったら家族でちょっと交流したり。

塩澤さん:まずは楽しむこと」が大事ですよ(笑)僕がやってる練習会は誰でもウェルカム。よかったら連絡ください。

※塩澤さん主催の練習会は日本橋小伝馬(こでんま)町、十思(じっし)スクエア2階の町会和室をお借りして、毎月第2または第3火曜日に練習会を行っています。(問合せ先は090-6154-6294塩澤まで)

浴衣を着るとアガるけど、スーツだって問題なし!

―彩子さんは浴衣を着ていただいて、すごくお似合いなんですが、皆さんやっぱり浴衣で踊るんですか?

彩子さん:そうですね、私は浴衣が多いです。週3日とか踊ることもあるので、もう消耗品ですね(笑)。

―何着くらいお持ちなんですか?

彩子さん:10着くらいですかね。今日の浴衣もそうなんですけど、古着で買ってます。

塩澤さん:僕はネットで買ったり、地元のお店で練習会のチーム浴衣を作ったりしてます。全部で4着かな。

bon田邊さん:私は2着だけ。

彩子さん:田邊さん私服で踊るもんね。

bon田邊さん:そう、浴衣を着た方がテンション上がるかもしれないけど、普段の服でも問題ないです!会社帰りの姿で踊ってる人とかもいますよ。

20年の時を経て、盆踊りを復活させることに

―地域によっては盆踊りの担い手、踊り手が少なくなった所もあるんですか?

bon田邊さん:沢山ありますね。もう人が少なすぎて輪になってないよ、とか。出店がなくて親子連れも来ないとか。

塩澤さん:彩子さんは地元で盆踊りを復活させようとしてます。

―え、どういう事ですか?

彩子さん:私の故郷の新潟で、祖父母が住んでいた地域なんですけど、20年くらい前に盆踊りがなくなってしまったので、復活させようと動いてます。

―いつ頃をめどに復活させる予定なんでしょう?

彩子さん:この9月です(笑)。

一同:すぐ!(笑)

彩子さん:この間は新潟まで櫓の木材を見に行って。たしかに倉庫にはあったんですけど、組み上がるのかな…?みたいな(笑)。

―具体的にはどうやって進めていったんですか?

彩子さん:色々と人づてでやりたいね、という話をしていたらちょこちょこと仲間が増えてきて。

bon田邊さん:ちょこちょこって言いつつすでに市長には話を通してるらしく。

彩子さん:県人会から相談して、いろんな人にやりたい!って言っていたら、人が集まってくれて。

塩澤さん:現地取材に行かないと(笑)。

―すごい話じゃないですか、この取材とは別のドキュメンタリーにしないと。ていうかテレビで取り上げるレベルの話ですよ。

彩子さん:運営する側になってみて考えますよね、盆踊りって何だろうって(笑)。

何も考えずに踊ってみよう、輪に入っちゃいなよ!

―皆さんにとって盆踊りとは。

bon田邊さん:地域の外の人がその地域を知るものとして、こんなにハードルが低くて、入ってもいいんだっていうものはないです。盆踊りという場に地域の人たちが大切にしたいものが詰まってるんだと思います。踊りは変わらず、結果的についてくるもの。

塩澤さん:コミュニティがつながるいいきっかけになりますね。僕の住んでいる地域では、今まで女性が中心だったけど、男性たちも積極的に踊りたいと言ってきてくれて、つながりの核になると実感しています。単発で終わるんじゃなくて、定期的な練習会を通じて本当の仲間になっていけると思います。

彩子さん:私にとっては、「魂の喜び」ですかね。みんなで集まって、歌って踊るって、純粋に何も考えずに楽しいし。地域や伝統って要素もあるけど、体を動かして、みんなで行うことがすごく人間的。何も考えずに一回踊ってみたらわかるよ!輪に入っちゃいなよ!って言いたいです(笑)。

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