夏のスイーツや、お祭りの屋台フードの代名詞と言えば、「チョコバナナ」ではないでしょうか?クレープやパフェ、パンケーキなどに添えられていて、チョコバナナは日頃から馴染みのある組み合わせです。しかし、よく考えてみれば、果物の王様「バナナ」と、お菓子の王様「チョコレート」がタッグを組んだ、なかなかの最強スイーツですよね。
また、バナナは食物繊維をはじめ、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールにアミノ酸まで含まれた、栄養価の高いフルーツです。美容や健康が気になる人でも、チョコバナナなら罪悪感なく食べられますよね。チョコとバナナの組み合わせは、なぜこんなにも相性がいいのでしょうか?今回は、チョコバナナのルーツやその歴史、進化を遂げるさまざまなチョコバナナの種類、世界のチョコバナナ事情まで、徹底的に紹介します!
チョコバナナのルーツとは
チョコもバナナも、日本人の生活に馴染んだ食品ですが、バナナの生産地は、中国、フィリピン、ブラジル、エクアドルなどの熱帯地域です。初めて日本に上陸したのは、なんと明治時代の頃でした。一方、チョコの原料であるカカオ豆も熱帯植物で、生産量が多いのは、ガーナ、ブラジル、エクアドルなどです。どちらも似たような気候のなかで育つため、味も絶妙にマッチするのかもしれません。そんなチョコとバナナは、一体いつから出会い「チョコバナナ」としてタッグを組むようになったのでしょうか?実は、チョコバナナの起源は、日本のとある和菓子屋さんにあったのです。
日本発祥のスイーツ
バナナをまるごと一本、チョコレートで包み込んだチョコバナナ。その大胆な発想と見た目から、なんとなく「海外発祥のスイーツ」といった印象ではないでしょうか?実は、チョコバナナは日本で生まれたスイーツだったのです。
栃木県にある和菓子メーカー「榊屋」の社長・小林文雄さんは「縁日グルメ界のエジソン」と呼ばれています。そう呼ばれるきっかけとなったのが、紛れもない「チョコバナナ」なのです。昭和40年代、当時は高級フルーツであったバナナに、みんなの大好物・チョコレートをコーティングし、縁日の露店で並べてみたところ、たちまち大ヒット!それからというもの、チョコバナナは縁日の屋台で定番のスイーツとなりました。小林さんは現在も、和菓子屋の社長でありながらそのノウハウを活かし、縁日グルメの開発に取り組んでいます。
縁日や文化祭の屋台に欠かせないスイーツになる
昭和の時代から、お祭り屋台のメニューとなったチョコバナナ。令和になった現在も、屋台スイーツの定番商品として君臨しています。基本となる「バナナの外側にチョコレートをコーティング」した姿はそのままに、さまざまな進化を遂げています。たとえば、コーティングに使うチョコレートの色はホワイトやピンク、最近ではミントグリーンやショッキングピンク色まで登場し、どんどんカラフルになっています。トッピングにも、コアラのマーチやポイフルをのせたものや、ペコちゃんのペロペロキャンディーを添えたものまで登場し、他のお菓子との異色のコラボレーションを実現させています。
チョコバナナの種類
長年愛されてきたチョコバナナも、時の流れと共に進化を遂げています。食べやすさを重視したチョコバナナや新食感のチョコバナナなど、知ればきっと食べたくなるラインナップをご紹介します。
オーソドックスな「チョコバナナスティック」
みなさんがチョコバナナと聞いて真っ先に思い浮かべるのが、屋台で売られている一般的な「チョコバナナスティック」だと思います。皮を向いたバナナまるごと一本に、縦方向に割り箸を刺し、溶かしたチョコレートを絡めて、トッピングをふりかけて冷やし固めたものです。チョコバナナの材料は簡単に入手できるので、ご家庭でも気軽に作ることができます。チョコレートのパリパリ感と、バナナのねっとりした食感が、絶妙なコントラストですよね。色とりどりのチョコスプレーでトッピングしたり、ホワイトチョコやピンク色のストロベリーチョコでコーティングしたりすれば、より一層カラフルになり目で見ても楽しめるスイーツになります。
手軽に楽しめる「カップチョコバナナ」
屋台でおなじみなのが、バナナをまるごと一本、割り箸で刺した「チョコバナナスティック」です。しかし、これが意外と重くて持ちづらいし、お祭りで持ち歩く時も「邪魔だなあ…」なんて感じたことはありませんか?そんなあなたに朗報です。最近では、チョコバナナを食べやすい大きさにカットし、紙カップに入れて持ちやすくした「カップチョコバナナ」もあります。消費者に寄り添い、どんな些細なことでもニーズに応え続けるのが日本の「おもてなし精神」です。そんな日本で生まれたチョコバナナも、日々涙ぐましい努力で進化を遂げています。
新食感!「フリーズドライチョコバナナ」
お菓子をはじめ、お味噌汁やスープなどで、今やすっかりお馴染みとなったのが「フリーズドライ製法」です。ついに、チョコバナナにもフリーズドライの製品が登場しました!そもそもフリーズドライとは、食品の美味しさや栄養はそのままに、不要な添加物を使用せず、常温での長期保存を可能にした技術のことです。フリーズドライしたバナナにチョコを染み込ませた「フリーズドライチョコバナナ」は、バナナ特有の濃い甘さと、天然のビタミン・ミネラルなど豊富な栄養はそのままに、長期保存までできるチョコバナナの進化系です。
自宅が屋台の熱気で包まれる!自家製チョコバナナ
チョコバナナの作り方は、いたってシンプルです。溶かしたチョコレートを、バナナに塗って固めるだけです。チョコレートは電子レンジや湯煎で溶かせますし、冷蔵庫に15分程度入れておけば固まります。材料も全てスーパーで購入できるので、自宅でも簡単に作ることができます。
チョコバナナを上手に作るポイントは「チョコレートの溶かし方」にあります。チョコレートは、温度が32度を超えると分離し、コーティング後に固まりにくくなってしまいます。溶かす際は高温になりすぎないよう気をつけ、一定の温度を保ちましょう。もうひとつ、美味しく作るポイントは「団扇や小型扇風機で1~2分あおいでから、自然に固まらせること」です。屋台で売られているような、ある程度のやわらかさを保ったチョコバナナに仕上がります。
トッピングには、ココナッツフィリングやハート型のスプリンクルをまぶしてお洒落にしたり、卵ボーロを目玉に見立てて、ポテチでアヒル口を付けたりすれば、キャラ弁ならぬ「キャラチョコバナナ」の出来上がりです!あなたもぜひ、お家でフォトジェニックなチョコバナナを楽しんでみては?
驚き!世界のチョコバナナ
日本に来る外国人観光客の間で、人気の屋台スイーツNo.1は、なんとチョコバナナだそうです!日本で生まれたチョコバナナですが、その美味しさは万国共通のようですね。世界中で、その土地ならではのアレンジレシピも存在しています。中でも、ひときわ目立っているのが、ドイツの「BBQチョコバナナ」と、アイルランドの「焼きチョコバナナの生クリーム掛け」です。
ドイツでは、BBQのデザートにチョコバナナが食されるそうです。日本では、バナナの外側をチョコでコーティングしたものが主流ですが、ドイツでは、バナナの中にチョコを入れて食べます。皮付きのバナナにナイフで切り込みを入れ、中にチョコを詰めて、火で炙ります。温めることでバナナの甘味が増し、中のチョコがとろける絶品スイーツです。
名前を聞いただけでも美味しそうな「焼きチョコバナナの生クリーム掛け」も、「バナナの中にチョコ」タイプのチョコバナナです。バナナに切込みを入れ、中にチョコを詰め、オーブンで焼いて生クリームをかけて食します。気候が涼しく、あったか料理が得意なアイルランドならではのチョコバナナです。
まとめ
今回は、チョコバナナのルーツから、進化した様々なチョコバナナ、お家で屋台の味を再現するポイントまでご紹介しました。あなたもご自分のアイデアで、オリジナルのチョコバナナを開発してみてはいかがでしょうか?