昼間は海の幸、夜は伝統に触れる
「藤守の田遊び」が行われる静岡県の焼津市と言えば、魚の街。海の幸を堪能できる場所!
ということで、夜の見物に向けて昼間は腹ごしらえです。焼津駅より歩いて15分くらいにある、地元で愛される「食事処 かどや」へ。
今回は、駅前にある焼津市観光協会で電動自転車を借りて向かいました。丁度、12時頃に到着。10人ほど並んでいたので少し焼津港を見物してから入店。注文は、本日のおすすめから、すきみ定食を頼みました。すきみは、まぐろの皮の裏をすいたもので、脂がのっていてご飯が進みます。熱々のあさり汁もほんのり甘くて美味。
焼津に来たからには「焼津さかなセンター」に寄り道。お魚屋さんが約60店舗も集まっていて、新鮮な海の幸からお土産に嬉しいまぐろの角煮や干物などの加工品、他にもお茶やお菓子等々、色々揃ってます!
夜は、今回のお目当て、「藤守の田遊び」。毎年3月17日に大井八幡宮で行われ、なんと約1000年前から伝わる、国の重要無形民俗文化財の民俗芸能を見物へ。
田遊びって聞いたことありますか?
東京では、板橋区の「徳丸北野神社田遊び」と「赤塚諏訪神社田遊び」が国の重要無形民俗文化財になっていて有名です。どちらも旧正月に、その年の五穀豊穣と子孫繁栄を祈願し神に奉納する行事ですが、藤守の田遊びは、大井川の洪水を恐れて川除けの神様を大井八幡宮に祀り、奉納したことが始まりと伝えられているそうです。
田遊びでは、一年の農作業の流れを演じて豊作を祈願します。演目は第1番の長刀から第25番の御獅子までの25番と、番外「天狗」「鯛釣」の2番があります。お囃子の構成は、大太鼓と篠笛が5人~6人です。「藤守の田遊び保存会」の方に、篠笛は何本調子を吹いてるか聞いたところ、5本調子を使っているそうです。
ショッコって何だろう?実は飾りのこと
「ショッコ」という響きが何を指すのか気になりましたが、頭に被る花笠のようなものでした!
ショッコの頭頂部には、演目ごとに装飾があるそうで、第21番の「猿田楽」の演者が被るショッコに付ける万燈花は花が満開になる様を表しているとのことで、それはそれは華やかでした!美しくもあり、まるで花火を見上げているような気持ちになりました。
御獅子や天狗に会える?それとも鯛!?
御獅子は第3番と第25番の演目。木彫りの面がついたショッコを被り、右手には白い扇を持ち、獅子は5人立ち。
第25番では扇に乗せた餅を投げる場面がありました。この餅がかなり大きい。30センチくらいの餅がまるで円盤投げのように飛びます!拾った人は幸福を受け恵まれると言われているそうです。2023年は小学生くらいの男の子がゲットしていました。
天狗は番外。高い下駄を履き、青竹を持っている。田遊びの終わりは天狗が登場し舞台を祓います。
番外の鯛釣。なんと釣り竿の先には生の鯛が!!
竿を観客に向かって投げると、鯛の口にはお賽銭が入ります!鯛の口からお札がはみ出していることも!
一目見るなら「猿田楽」
一目見るなら、第21番の「猿田楽」がオススメ!ただ、「田遊び」は午後6時から11時までなので、自家用車でない場合、帰りのバスがなくなりますので、タクシーを呼べる準備をしておいてください。2023年は、午後10時過ぎくらいに終わりました。
「藤守の田遊び」の舞手は、氏子のなかの未婚の男性とのことで、中学生から大学生くらいの方が多数でした。
時に激しく跳ねたり、勇ましく足踏みしたり、繰り返す所作にもとても迫力がありました!舞台に上がる前には、一人一人「頑張れ!」と大人の方から声掛けがあったり、「声出せ~」と激励が飛ぶ神事は、地元に残るコミュニティとして最高の場だと感じました。