感染の終息どころか、また拡大に転じてしまった新型コロナウイルス感染症。神社やお寺に行った時は、「早く元の生活に戻れますように」とお願いする人も多いのではないでしょうか。
八百万の神様や妖怪がいるといわれる日本では、疫病の流行を予言したり、病魔除けの力を持つという存在が古来から言い伝えられてきました。
その中の一つが、コロナ禍で大ブームとなった妖怪「アマビエ」です。
アマビエは、SNS上の「#アマビエチャレンジ」や「#みんなのアマビエ」などのハッシュタグがついた投稿でその存在が知られると同時に、瞬く間に拡散され、全国各地の神社でも御朱印に描かれるようになりました。
しかし、疫病退散にご利益があるといわのはアマビエだけではありません。今回は、それらが描かれた御朱印を3つご紹介します。
※例年の内容を参考にご紹介しています。最新の状況については御朱印を頒布する寺社からの情報をご確認ください。
アマビエだけじゃない「疫病退散」の御朱印3選
予言と病魔除け!2つの頭を持つ「ヨゲンノトリ」
ヨゲンノトリ(予言の鳥)とは、片方が白、もう片方が黒色の二つの頭を持つカラスのような鳥のことです。
江戸時代末期にコレラ流行を予言し、「我らの姿を朝夕に仰ぎ、信心するものは難を逃れることができる」と語ったとされています。
ヨゲンノトリは市川村(現在の山梨市)の村役人によって日記に描かれていたことから、縁の地である山梨市の差出磯大嶽山神社で、御朱印を頒布しています。他には東京都日野市の若宮神社でも頒布しており、両社ともオンライン授与も行っています。
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6つの角と9つの眼を持つ魔除けの神獣「白澤」
白澤(はくたく)は、中国に古来から伝わる吉兆を表す神獣です。6本の角と9つの眼、人語を理解する力をもち、自然災害や病気を避ける方法を伝えていたといわれています。
日本でも麒麟や鳳凰と同様に、徳のある政治者の治世に現れやって来て、病魔を防ぐと信じられていました。そのため、コレラが流行した時にも白澤の絵が売られ、人々はその絵を身につけたといいます。
白澤の御朱印を授与している寺社に、福岡県久留米市にある高良大社があります。高良大社は、本殿や幣殿、拝殿のいずれも重要文化財に指定された、標高312mに鎮座する神社です。
高台から久留米を一望できる眺めは美しく、Instagramでは「#高良大社からの眺め」というハッシュタグでその絶景を見ることができます。
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元三大師が鬼の姿になって疫病から守る「角大師」
頭に2本の角、大きな目、胸にはあばら骨が浮き出た黒1色の異様な姿。全国各地の寺院で頒布されている「角大師(つのだいし)」の護符は、実は平安時代に実在した僧・元三大師(がんざんだいし)良源を描いたものです。
元三大師は強大な法力で比叡山延暦寺を発展させ、延暦寺中興の祖と呼ばれる人物。疫病に苦しむ人々を救うため一心に祈祷し、鏡に映った骨と皮だけの鬼になった姿を描き写してお札にして配ると、これを貼った家は疫病はおろか一切の災厄にかからなくなったのだとか。
ちなみに元三大師は相当なイケメンで、宮中にあがる際は鬼の仮面を被って女官の目から逃れていたそう。当時の人々からのカリスマ的人気はすさまじく、他にも「豆(魔滅)大師」や「降魔(鬼)大師」など数々の伝承にちなんだ通称を持っています。
御朱印より護符の方が有名ですが、比叡山横川地区にある居住地跡の元三大師堂(四季講堂)や、主に天台宗の寺院で角大師や豆大師の御朱印をいただくことができます。
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まとめ
今回は、疫病退散にご利益があるといわれる存在と御朱印についてご紹介しました。
まだまだ不安が尽きない昨今ですが、御朱印のパワーもいただき、感染予防を万全にして健康的に乗り切っていきたいものですね。