みんな大好き打上花火、今回は濃い話です。先日、愛知県蒲郡市にある加藤煙火(株)の工場見学に行ったときにいろいろと面白いもの・面白い話に触れてきたので、もう私は誰かに言わずにはいられない体になってしまいました。どうでもいいですがこういう話を花火(煙火)にちなんで「煙分濃いめ」「煙分のとりすぎ」と言うそうです。
丸くない花火
ご存じの通り花火は丸いですね。何が丸いかというと花火玉が丸いですし、その中に入っている星(光るひと粒の火薬)も丸いのです。という話はよく聞きますが本当でしょうか?例えばこれ。単発で見る事はあまりないけど、スターマインの演出ではチョイチョイ見かけます。丸くありません。ぶわっさーーーと火の粉をまき散らしたような花火です。
ふわ~っとした浮遊感が気持ちいいんです。これは、花火の中でも葉落という種類です。小さく切った紙や細い紐みたいなものに火薬が塗ってありそれが燃えています。私も近くで見たことはなかったのですが先日加藤煙火さんの工場を訪問したときに見せてもらいました。いくつか種類があるのですが、そのひとつがこちら。細い紐というか棒状のもので、輸入品なんだとか。
間近で燃焼テストする様子を見ると、ほぼ家庭用の手持ち花火でした。しかしあれだけの物量を夜空にばら撒くと綺麗なものですね。なお、上の方の写真にある赤い葉落とこちらの棒状の葉落は別のものです。
職人が手作業するとは限らない
花火は日本の伝統工芸ですべて手作業で作られていますという解説もさんざん聞きますが、そうはいっても機械化が進んでいます。例えば花火玉の殻の部分はプレス加工で作られていますし、火薬をまんべんなく星に塗り重ねるには自動で回転するドラム(釜)を使っています。
そして今回の商品はこちらです!なんと花火玉にクラフト紙を自動的にグルグルと巻き付ける機械らしいです!私があんなに苦労した(「尺玉作ってみた」記事を参照)ムラなく均等に貼る作業がミリ単位の正確さであっという間に終わるらしいです!糊付けするというよりもテープを巻きつけるイメージなので乾かす手間もなくなり、短納期の案件にも対応できるらしいです!
急に言っていることが伝聞調であやふやになっていますが、訪問時に工場がお休みだったので仕方がありません。ただし加藤さんいわく「事情があって」まだ実戦投入はしてないんだとか。そういう意味では現状まだこの工程は100%手作業ですね。仮にこのマシーンが稼働しても玉の大きさ重さに合わせた調整が必要らしいので、これ1台で何でも解決ではなさそうです。
音楽スターマインの作り方
今どきの大規模花火大会では音楽にシンクロさせて花火を打ち上げるミュージックスターマインがあるのが一般的です。シンクロさせるなどと簡単に言いますが実際にどうやっているのか見せてもらいました。
花火工場の事務所にはIT企業かなと思うようなPCとモニターが並んでいます。もちろん、事務作業全般に使われるのでしょうが、ミュージックスターマインの製作にもこれが大活躍。まず音声編集ソフトで曲のリズムに合わせたキューポイントを書き出していきます。この時すでに頭の中にはどういう風景を描くのかイメージはできているというわけです。
これでベースになるタイミングが分かりました。次はそれに合うように打ち上げる花火とタイミングを詳細化します。ここからは業務用の打ち上げ専用ソフトの出番。といってもやってることはエクセルにデータを打ち込んでいく作業に似ています。素人目にはその並びだけ見ても何がどうなっているのかよく分かりません。間違っていても気が付かないくらいには想像がつきません。
これで、いつどこで何を打ち上げるか決定します。ここまでも大変な作業ですが、残りは別の意味で大変な作業が待っています。そう、実際に花火玉を「その位置」にセットする作業。これは人間が現実世界でやります。
プリントアウトした指示書どおりに筒に花火玉を装填していきます。が、今回はそのフリだけしていただきました。例えばこれを夏の炎天下で、数十発・数百発・数千発を間違えないように装填すると考えたらそれだけで頭がクラクラしてきますね。相手は火薬ですから雑に扱うこともできません。
こうして、1発も間違えずにすべてがかみ合うとシンクロ率100%のミュージックスターマインが完成します。しかしながらそれは至難の業。もしプログラムに間違いがあったら?もし装填する玉が入れ違いになっていたら?もし筒を置く向きを間違えたら?どれが起こってもパーフェクトを逃してしまいます。
注意していると、全国各地の花火大会でこの手の「ドンマイ!」を結構目にします。上の図のように向きが逆というのは誰の目にも目立ちますが、それ以外にも玉の種類が1つだけ揃わなかったり、序盤で上がるブロックが終盤になったり。毎年やっている花火大会であっても、1回ごとに設営した筒は全部撤収します。翌年には違う曲で違うプログラムになるのが当たり前。よって「うまくいったところはそのままに、ミスだけを修正」が通用しません。うまくいったところも0からやり直しなのです。
だから皆さん、ミュージックスターマインがバッチリ決まったら、盛大な拍手を!ちゃんと花火師の皆さんには聞こえているそうですよ。
花火師にとってのすごい花火
花火の進歩や新製品開発について伺っていたときのこと。「例えばコンテストで上位に入って有名になれば営業面でも有利になるのでしょうか?」という私の問いに対しての加藤さんの答えが興味深いものでした。
「新しい製品というのは話題として目立つ部分はあります。しかし、いつもの花火をいつでもハイレベルに提供しなければ信用が得られないし、そうしていきたい。既にそれができている会社さんはすごいと思います。」
ですってよ奥さん聞きました?ブームに乗っかるだけのチャラチャラしたやり方ではダメみたいです。何がそんなに難しいのでしょうか。例えば花火の原料のひとつである木炭ですが、同じように仕入れていても中身が全然違うそうです。ある袋はふわふわパンパン、ある袋はぺしょーんと締まっており、特性に合わせた調整をかけないと品質が安定した花火玉にならないんだとか。もはやそれ自体が研究開発。永遠に終わりのない試行錯誤は確かに新製品を作るより難しいことなのかもしれません。
言われて思い出したのですが、そういえば毎年ずっと真ん丸な花火を上げている会社って確かにあります。また、稀有な存在ですが驚異的に間違えないミュージックスターマインをいつも上げている会社もあります。あれはどうなっているんでしょうね?
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そんな加藤煙火さんの花火がたっぷり見られる花火大会といえば、蒲郡まつり納涼花火大会。ついに開催の全貌が明らかになりパンフレットも一般公開されました。いつも見どころが多い楽しい花火大会ですが、2022年のトピックをいくつかネタバレします。
★輸入物とは全然違う加藤煙火特製「点滅葉落」マジ綺麗。今回、工場内燃焼テスト映像をスクープ公開しようとしたら企業秘密NGになりました。現地で見てください。
★君は何色まで数える事ができるか?新作花火「マルチカラースパンコール」登場。マジレスすると熱帯魚の群れに飛び込んだみたいになります。飛び込んだことありませんが。
★クラウドファンディング感謝、渾身の「点滅2.0」ワイドスターマイン。今年の目玉プログラム!(と、みんなで横田さんにプレッシャーをかけましょう。)
★今年もやります3尺玉が計3発、ここは正確に言えば他社製造ですが、まあ細かいことは気にするな。
★先日の「尺玉作ってみた」レポートでお世話になった伴さんがヒーヒー言いながら作ったと思われる尺玉が100発以上!あの手間暇かけた努力の結晶が数秒で燃え尽きるところを見届けましょう。
★(おまけ)先日のレポートで私が作った尺玉、世界に唯一のデザイン「パステル散芯パステル点滅2.0」がどこかに紛れて打ち上がります。当ててください。
いわゆるチケット購入にあたる「応援賛助」は令和4年6月24日(金)午前10時から全国のセブンイレブンのマルチコピー機で販売されます。全国どこからでも、OKです。
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実はこの記事のサムネイルは、有料エリアの後方で加藤煙火Tシャツを着て花火を見上げる私なんですよ。絶景じゃないですか?では、現地の有料エリアで会いましょう!(気が早い)