「吹田えびす祭」が開催される泉殿宮
日本の政治の中心は江戸時代に東京に移りましたが、天下の台所は変わることなく大阪が経済をリードし続けています。無数の商人が商売を競う関西地方では各地で、年始に商売繁盛を願う行事が行われています。1月9日から3日間行われる「十日戎」では、軽やかなお囃子に合わせて、「商売繁盛で笹持って来い」と歌われるのです。大阪府吹田市の阪急吹田駅の北に接する泉殿宮では、「吹田えびす祭」が開催されています。
東洋初のビール醸造工場を生み出した泉殿宮の「泉殿霊泉」
泉殿宮の創建は明らかになっていませんが、干ばつに見舞われた869年、建速須佐之男大神(たけはや すさのお の おおかみ)の神輿が滞在していたときに、雨ごいの祈りをしたところ驟雨がもたらされたという伝説が残っています。その後、鳥居が築かれ「泉殿霊泉」と称えられるようになりました。
本殿の南の「泉殿霊泉」から湧き出す水は1889年に、ビール醸造に適しているとの認証をミュンヘン市から受け、神社に隣接するところに東洋初のビール工場が建設され、現在のアサヒビール吹田工場に引き継がれています。
富くじの当選番号を決める「新春奉納初射神事」
泉殿宮で1月9~11日に開催される「吹田えびす祭」で、最大の呼び物は本戎の10日の14:00に抽選が行われる富くじです。無料で配られる富くじ券を手に幸運を願います。
富くじでは、金賞から銅賞まで3種類の景品が準備されていますが、特徴的なのは当選番号の決め方です。「新春奉納初射神事」のセレモニーが行われます。宮司をはじめ数人の神職が数字の記された的に向かって矢を放つのです。
「新春奉納初射神事」の前には、宮司による祝詞奏上やお祓い、巫女による奉納舞などの神事も行われます。
バラエティー豊富な縁起物
「新春奉納初射神事」が行われているときには、参拝者は誰もが日本の伝統武芸に釘付けとなりますが、神事の前後には縁起物の授与所が賑わいます。福笹をはじめ、サラエ(熊手)、福箕、宝船、福俵、板面などに恵比寿様、お多福、大判小判、鯛などがデザインされます。サラエを使えば福をかき込むことができるでしょう。福箕では福をすくいとることができるでしょう。縁起物を頂くときには福娘が軽やかな鈴の音を響かせながら商売繫盛、家内安全を祈ってくれます。
大阪府吹田市の泉殿宮では、例年1月9~11日に「吹田えびす祭」が開催され、本戎の10日には富くじの抽選が行われています。当選番号を決めるのは「新春奉納初射神事」で、宮司をはじめ数人の神職が次々に矢を放ちます。日本の伝統武芸を楽しみながら福を掴み取ることができるかもしれません。