2023年7月15日、三重県伊勢市にて、「伊勢神宮奉納全国花火大会」が開催されました!「日本三大花火競技大会」にも数えられるこの花火競技大会。競技内容と会場の様子、アクセスなどもあわせて、4年ぶりの復活をレポートします!
伊勢神宮奉納全国花火大会では花火を「放揚」する!
「日本三大花火大会」といえば、「長岡花火(長岡まつり大花火大会)」「大曲の花火(全国花火競技大会)」「土浦の花火(土浦全国花火競技大会)」の3つ。
ですがこれとは別に、「日本三大花火競技大会」があるのをご存じですか?「大曲の花火」「土浦の花火」の2つは同じなのですが、ここに「伊勢神宮奉納全国花火大会」が加わります。
「伊勢神宮奉納全国花火大会」は、1953年(昭和28年)に、第二次世界大戦後初の式年遷宮(伊勢神宮において、20年に一度、社殿を建て替え神様にお遷り願うこと)の奉祝に開催されたのが始まりです。名前の通り、その花火は伊勢神宮に奉納されます。なので、花火を「打ち上げる」とは言わず、「奉揚」転じて「放揚(ほうよう)する」と言うのだそうです。
参加される花火師さんは、大会前に神宮に参拝されるそうですよ。
40社の珠玉の作品を堪能!
猛暑が続いた2023年の7月でしたが、日が落ちると少し暑さが緩んできました。そして19:15、いよいよ4年ぶりの「伊勢神宮奉納全国花火大会」開始!
まだ空に青みが残る中、前回の第67回大会「スターマインの部」で優勝した、伊那火工堀内煙火店(長野)によるオープニングスターマインで幕を開けました。
空が明るい中でも見えやすいカラフルな花火が夕焼け空に踊りました。
そして、前回「打上花火の部」優勝の北日本花火興業(秋田)による標準花火(採点の基準となる玉)が上がり、いよいよ競技開始!
競技部門は「打上花火の部」と「スターマインの部」の2つがあります。
「打上花火の部」は5号玉3発と10号玉1発で審査。2023年は39社が参加しました。
スターマインとは「速射連発花火」で、たくさんの花火を連続して上げる方式。伊勢では音楽に合わせたスターマインが放揚されます。
「スターマインの部」には10社が参加。10社中9社は打上花火の部にも出品しているので、合計40社の作品が上がりました。
明るいうちに上げる煙火店は不利にならないかな?と少し心配になるほど空が明るかったですが、「スターマインの部」で優勝したのは、スターマインの1番手だったマルゴー(山梨)でした。
マルゴーらしい、空の明るさをものともしないカラフルさと輝き、音によくハマった躍動感ある打ち上げで貫禄の優勝でした。
「大曲の花火」「土浦の花火」では、純粋に見て楽しむためのスターマインが競技の間に披露されますが、「伊勢神宮奉納全国花火大会」では競技以外の花火はオープニングとフィナーレのみです。
その間、粛々と作品が放揚されます。そこがまた、御神事らしさが感じられて、他の花火大会や競技大会と少し違う印象でした。
競技花火は、各社の高い技術を体感でき、新しい作品を見ることもできるのが魅力ですが、花火を見慣れていない人からすると、淡々と同じタイプの花火が上がるので飽きてしまうこともあると思います。
伊勢の場合は、「打上花火の部」3~4社ごとに「スターマインの部」1社の作品が入り、音楽つきの花火ということもあって、余興花火的なアクセントにもなっていました。
2023年の「打上花火の部」優勝は、野村花火工業(茨城)。繊細な光の粒が余韻を残す「月の雫」(5号玉)と、いつどこで上がっても驚異的な完成度と安定感を誇る「昇曲導付五重芯変化菊」(10号玉)で、優勝を果たしました。
準優勝は、スターマインの部で優勝したマルゴー(山梨)がここでも力を発揮。5号玉・10号玉のいずれも「青龍の鱗」と題したイルミネーション花火(光が移動したり点滅したりする花火)。写真ではわかりにくいのですが、5号玉は芯と外側で別々の方向に光が動き、10号玉は八方咲に芯があり、その芯がイルミネーションになっているという、凝った花火です。
準優勝はもう1社、山﨑煙火製造所(茨城)が受賞。5号玉「海月、漂う」では色鮮やかな海月が藍色の空を泳ぎました。10号玉「昇曲付五重芯銀点滅」も各競技大会で優勝を争っている素晴らしい五重芯で、個人的には優勝かも?と思いました。
その他にも個性的で美しい花火がたくさん上がりました。残念ながらすべては掲載できませんが、個人的に好きだったものをいくつかご紹介します。
全40社となると時間がかかりそうに思えますが、3年の空白を感じさないテンポの良い進行で、ほぼ予定通り21時頃に全競技を終了しました。
フィナーレは、神宮式年遷宮のイメージソング、藤井フミヤさんの「鎮守の森」に合わせた、丸玉屋小勝煙火店(東京)によるワイドスターマイン。
スターマインには珍しい、ゆったりした曲調での打ち上げ。
この日の競技の想いでを1つ1つ刻んでいくようにように、丁寧にゆっくりと上がります。
最後は宮川を金色に染めて、4年ぶりの「伊勢神宮奉納全国花火大会」は無事に終了しました。
観覧会場の様子やアクセスなど
観覧エリアについて
観覧会場は宮川の両側に設けられていましたが、右岸側(宮川の東側)の方が観覧場所が広く、メイン会場となっていました。
私は右岸側で観賞したので、そちら側の観覧席の様子をご紹介します。
私は堤防の階段を利用した「ペア席」にて観賞させていただきました。階段2段分が割り当てられていて足もと広々、前の段を人が歩いても余裕があります。ただし写真を撮るには少々花火に近く、難しかったです。
ちなみにさらにこの先(上の写真の上部)には、スターマインが目の前で上がる「スターマイン協賛席」がありました。
下の写真は右岸の個人自由席付近。ペア席より北側、度会(わたらい)橋に近いエリアです。斜面手前の三脚が立っているエリアはカメラ席です。
こちらはより度会橋に近い、フリーエリア。露店もたくさん並んでいました。かなり混雑していて、会場内で何度も注意を促すアナウンスがありました。
アクセスや当日の状況など
会場までは、JR・近鉄伊勢市駅から徒歩約30分でしたが、伊勢市駅からすぐの「ホテル三交イン 伊勢市駅前」からシャトルバス(所要約10分)が出ていました。
私は往復とも徒歩を選びましたが、歩く人も多いので迷うこともなく、ほとんどが大きな歩道で歩きやすいのでそれほど苦ではなかったです。
なお、私は当日13時頃に伊勢市に到着しましたが、外宮・内宮参拝してから花火会場に向かっても時間に余裕がありましたよ。(神宮には何度も参拝しているので慣れているということもありますが)
宿は早くから満室になっていましたが、現地の(花火会場以外の)様子は、花火があるから特別に混んでいるということもなく、通常通りの混雑具合のように見受けられました。内宮・外宮の外にある摂社・末社は混雑していないので、落ち着いて伊勢らしさを味わうこともできました。時間があればおかげ横丁も楽しめるので、少し早めに伊勢入りするのがおすすめです。
次回以降の観賞を考える方は、ぜひ神宮参拝や伊勢観光とも合わせて楽しむプランを立ててください!