かつての交通の要衝で開催される「蛇の鼻もみじ祭り」
現在の日本の国土には網の目のように道路が走っていますが、福島県本宮市は江戸時代には会津街道、相馬街道、三春街道の交わる交通の要衝として栄えました。明治時代の1887年には鉄道が敷かれ、1896年には医学者を目指す野口英世が故郷の猪苗代町から馬車で本宮まで来た後、列車に乗り上京したと伝わります。
阿武隈川流域の肥沃な土地を利用して、盛んに農業が行われ豪農も誕生し、伊藤弥(いとうわたる)は1899年に蛇ノ鼻百果園を開きました。現在は花と歴史の郷「蛇の鼻」として公開されています。公園は一年を通して四季の彩りに包まれますが、例年10月下旬から11月中旬には紅葉に包まれます。2021年は10月24日~11月23日の期間で「蛇の鼻もみじ祭り」が開催されています。
擂鉢池の西岸を彩る樹齢100年を超えるカエデ
花と歴史の郷「蛇の鼻」には約500本のカエデが育てられています。大半は蛇ノ鼻百果園の開園の時期に植えられ、樹齢は100年を超えます。幹回り2メートル近くに成長した大樹も数多く見られるのです。特に擂鉢池の西岸の遊歩道は紅葉コースとなり、頭上は真赤な紅葉で覆われます。
夜間に行われる紅葉のライトアップ
「蛇の鼻もみじ祭り」の開催期間中には、夜間のライトアップも行われます。2021年は11月1日~14日の夜、紅葉が和かな光で照らし出されました。中には時間とともにゆっくりと色彩を変えるライトもあり、変化に富んだ紅葉の彩りを楽しむことができます。
同じ時期に開催される菊花展
「蛇の鼻もみじ祭り」の演出はライトアップに留まりません。擂鉢池の北に接する蛇の鼻茶屋の正面に設けられたレストハウスの2階で菊花展が行われるのです。会場いっぱいに大輪の菊の花が溢れる中、「一文字」や「管物」と呼ばれる菊も展示され、様々な種類の菊を楽しむことができます。
阿武隈川の恵みに満ちる福島県本宮市の花と歴史の郷「蛇の鼻」は、一年を通して季節の彩りが満ち溢れます。例年10月下旬から11月中旬には、公園中央の擂鉢池の西岸の遊歩道は紅葉コースとなり、「蛇の鼻もみじ祭り」が開催されています。同じ時期に菊花展も行われ趣きの異なる秋を感じることができます。