埼玉・浦和の歳の市
埼玉県の県庁所在地、さいたま市。埼玉県庁がある浦和区は、古くから関東の拠点の一つとして発展し、その中心地となっていたのが今回のお祭りの舞台「調神社(つき じんじゃ)」です。この調神社で毎年12月12日に開催されるお祭り「十二日まち」をご紹介していきます!
十二日まちは明治時代から続くお祭りで、師走のお祭りらしく「大歳の市」とも呼ばれています。他地域で言う酉の市のように境内は熊手等を売るお店で埋め尽くされ、物凄い賑わいを見せることで知られるお祭りです。舞台の調神社の創建はおよそ2100年前ともいわれ、関東一円の貢物(調)を伊勢神宮へ納めるための拠点だったと伝わっています。そのため荷物の運搬がしやすいようにか神社には珍しく、鳥居が無いと言う点も特徴的です。
境内へ入ろうとすると、入口からこの賑わい。今年の十二日まちは神社境内とお隣の調公園以外への露店の出店は無しと言う縮小開催となっていますが、盛り上がっていますね!(通常は神社の前を通る中山道へも露店の出店があります。例年は全体で約1000店舗のところ、今年は約200店舗の出店となっています。)
露店を見るその前に境内の入口で目に入ってくるのが、狛犬ならぬ狛兎。これもとても珍しいものですが、その由来は神社の名前に由来します。調が〝つき〟と読むことから月の動物である兎が象られるようになったそうです。なにやら神秘的ですね。なお調神社は「つきのみや」とも地元で称され親しまれています。
参道を進み社殿へとやってきました。まずはお参りを行いましょう!こちらの社殿は江戸時代後期の1859(安政6)年に建築されたもので、正面の彫物にはうさぎの姿も見え注目ポイントです。
露店が境内を埋め尽くす
社殿への挨拶を済ませたら境内中に広がる露店を見に行きましょう!お祭りグルメから遊べる所まで、さまざまな種類の露店が出ています。
露店街がどこまでも連なり、物凄い賑わい!お目当ての露店を見つけられるでしょうか。
お祭りと言ったら定番の、焼きそばがありました!お好み焼きやたこ焼きなどももちろん売られていますよ。
いか焼きを提供するお店も複数出ています。香ばしい香りに食欲をそそられますね!
鮎の塩焼きまであります。こちらも焼き上がる匂いに足を止めざるを得ません。
埼玉県のお隣、群馬県名物の焼きまんじゅうもありました!
寒い師走のお祭りに、あったまる玉こんにゃくもたまらないですね。
子どももたくさん来ている十二日まち。お面に惹かれてしまうかもしれません。
射的や的当てに挑戦する地元の子どもたちの姿も!
こちらは十二日まち名物の一つでもある、お化け屋敷。ろくろ首のイラストは迫力があります!
入口から動くお化けがたくさん出迎えていました。中からはキャーっと言う悲鳴が次から次へと上がり、これは気になっちゃいますね!
お化け屋敷まである十二日まち!悲鳴が次から次へと上がり、これは気になる!#浦和 #埼玉 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/B3H7FbvTp2
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) December 12, 2022
煌びやかに並ぶ熊手
大歳の市と言うことで、熊手を売る露店もたくさん並びます。闇世の中灯りに照らされる熊手は煌びやかですね!
通路の左右にはたくさんの熊手が迫り出して掲げられています。
七福神や米俵、酒樽に鯛など、さまざまな縁起物が乗せられる熊手です。
さあどこのお店の熊手にしようか。これは迷ってしまいそうですね。
しめ縄で象られた熊手も。かっこいいです!
「この熊手で!」、「わかりました!」と言う声も飛び交っていました。熊手の購入が決まると、三本締めが行われ威勢の良い声が響き渡ります!
浦和の調神社で十二日まち開催中です!毎年12月12日に行われるので、こう呼ばれている師走のお祭り。境内には熊手やグルメを売る露店がこれでもかと並び、ものすごい活気となっています!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/3aDpozZnXp
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) December 12, 2022
縁起物がたくさん付けられる熊手ですが、特徴的なのはこちらのおかめ。埼玉県内の酉の市の中には「おかめ市」という名で行われている地域もあり、県南東部の川口市周辺が特に有名です。この地域ではおかめの面を付けて売る熊手が多かったことから、おかめ市と呼ばれるようになったそうです。
また埼玉県の酉の市は、11月の酉の日に開催される都内のものとは違い、12月に各地で日をずらしリレー形式で行われているのもユニークです。12月3日の秩父の妙見さまの大祭である秩父夜祭を起点に山から野に降り、3日の川越、4日の鴻巣、5日の深谷、6日の行田、8日の熊谷、10日の大宮、12日の浦和、14日の春日部、15日の川口、17日の蕨、23日の鳩ヶ谷と言った順番で12月に酉の市が続いていきます。各地の酉の市をはしごしてみるのもおもしろいかもしれません!(熊谷、大宮、浦和では〝市〟と書いて〝まち〟と呼ぶ。川口、蕨、鳩ヶ谷はおかめ市)
調神社に関係する、また来年の干支であると言うことからうさぎが乗った熊手も目立ちます!白いうさぎがかわいらしいですね。
金色に輝くうさぎの姿も!
こちらはおかめにお神輿に鯛や米俵までがうさぎを囲み、かなり豪華!
だるまが乗っていると言うのも、歳の市ならではでしょうか。
ぜひお店を巡り、お気に入りの熊手を見つけてみてください!
中山道の宿場町の名物
調神社の前には日本橋から京都へと続く中山道が通っており、3番目の宿場町「浦和宿」として発展してきた歴史があります。
この浦和宿の名物として知られるのが、鰻!浦和周辺は元々沼地の多い地域だったため、鰻がよく獲れていたんだとか。そして滋養のある鰻は体力の必要な中山道を行き交う旅人に重宝され、〝浦和のうなぎ〟として人気を博していたようです。一説には、上方へ行ってしまうと中々鰻が食べられないことから、鰻の食い納めを浦和でと言う風にも言われていたそうですよ。名店がいくつもありますので、ぜひお試しください!
アクセス
■浦和駅まで
・上野駅からJR高崎線、宇都宮線で約18分
・池袋駅からJR湘南新宿ラインで約18分
■浦和駅から調神社まで
・徒歩で約10分
毎年12月12日に開催される調神社の十二日まち。ぜひ年の瀬のお祭りを楽しみに来てみてください!