2019年、令和初の年末がやってきます。
私はここ数年、いつのまにか新年を迎えて仕事がスタートしている(言い訳)ので、お正月きた気がしないなーなんて思っていました。が。今回調べてみて、気が付いたのが一連のストーリー。もしかするとお正月は準備もせずに待っているだけでは来てくれないのかも…。
今回はお正月準備の意味や行事の由来などを、体験できる場所とあわせてご紹介します!
(この記事は2018年に公開されたものを再編集しています。 2019年12月2日 編集部更新)
目次
年越しそばの由来はそば粉で掃除をしたから?
仕事納めの日に職場を気持ちだけでも掃除、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。遡ること江戸時代、金細工師さんたちが大晦日の日に掃除をする時に使っていたのがそば粉を作って練った団子だったとか。
あちこちに飛び散った金や銀の粉をそば団子で取ったことから、蕎麦は金を集める、転じて金運に恵まれると大晦日の縁起物となったという説もあるそうです。
また、蕎麦は細く長くのびることから延命長寿のご利益を授かると言われ「寿命そば」と呼ばれているものもあるそうです。忘れちゃいけないのが薬味のネギ。神社の神官である禰宜(ねぎ)にかけ、厄を払うといわれているそうです。ねぎらうという意味の「労ぐ(ねぐ)」ともかけているとか。
さらに、蕎麦は切れやすいので旧年の苦労や災厄を断ち切ると願うとされる…など諸説ありますが、2重3重の意味が一つの言葉に祈りとしてこめられているのかもしれません。
除夜の鐘は煩悩の数か、それとも…
年越し蕎麦も食べ終わり、紅白歌合戦も見終わった頃に聞こえてくるのが除夜の鐘。
なぜ除夜の鐘を108回つくのかというと、過去・現在・未来にわたって人間が持つ煩悩の数が108なので、その煩悩を一つずつ打ち消していくから、という説はよく耳にしますね。
その他にも季節の分け方である「節気」や「候」を合わせて108という説も。
「桜始開(さくらはじめてひらく)」や「天地始粛(てんちはじめてさむし)」という呼称をご存じですか?これは「72候(しちじゅうにこう)」と言って、一年を72等分したもの。
春分から始まり、大寒で終わる一年を24等分した「24節気」をさらに3つの季節に分けており、先ほどの「桜始開」であれば3月25日頃を、「天地始粛」は8月28日頃をというように、移り行く季節の変化がつぶさに表現されています。
12か月に24節気、そして72候を足すと、あら不思議108ですね。
そんな除夜の鐘、浅草寺のように地元信徒の方でないと鐘をつけないところもありますが、池上本門寺などは一般の参拝者も鐘をつくことができます。
2019年12月31日(火)23時から鐘楼堂前にて先着600名整理券配布。(池上本門寺公式HP)
こちらの記事ではその他にも都内で除夜の鐘がつける場所をご紹介していますよ!
https://omatsurijapan.com/blog/joyanokane-2018/
つくのは鐘だけじゃない!栃木県「悪口(あくたい)まつり」
大晦日から元旦にかけて悪口(あくたい)をついて練り歩けば一年のウップンもすっきり!と、ユニークなのが栃木県足利市の「悪口(あくたい)まつり」。
修験者のほら貝に先導されながら、大声をかけながら山頂の本堂を目指すもので、江戸時代から行われているそうです。
こちら、NGワードが「ぼう」のつく言葉(びんぼう、どろぼう)なのでご注意を!
先日、茨城県の笠間市でも悪態祭りが開催されたばかり。気になるレポートはこちら!
https://omatsurijapan.com/blog/akutaimatsuri-report/
【2019年開催予定】
日程:2019年12月31日※毎年同日開催
スケジュール:午後10時~ 悪口大声コンクール
午後11時~ 悪口祭り
開催場所:大岩毘沙門天(最勝寺)大岩町264
アクセス:JR両毛線足利駅・東武伊勢崎線足利駅より車で20分
東北自動車道佐野藤岡ICより50分
北関東自動車道太田桐生ICより20分
公式HP:https://www.ashikaga-kankou.jp/event/akutai_matsuri
門松やしめなわは神様の目印
門松やしめ縄は、神様が家を間違わないための目印と言われています。
この神様とは「歳神(としがみ)さま」のこと。お正月にお迎えする神様で、地方によって様々ですが、一般的にご先祖さまのことだそうです。
門松の「松」は古くから神様が宿る木とされていて平安時代頃からすでに飾られていたとか。「竹」はまっすぐに伸びることから長寿を招くと添えられるようになりました。
しめ縄は神社の鳥居や、ご神木などで目にすることがありますね。しめ縄をはるとその内側が清らかな場所となり神様が安心して降りてきてくれると言われているそうです。
お正月のしめ飾りも同じで、自分の家が歳神様をお迎えするのにふさわしい清らかな場所であることを示すためのもの。ついている飾りも形も様々ですが、例えば橙「だいだい」というミカンに似た果物は「代々(だいだい)」と同じ発音なので子孫代々続きますようにと繁栄を願っていたり、エビは腰の曲がった老人に見えることから長寿への願いがこめられていたりとそれぞれの飾りに意味がこめられています。
今やコンビニなどでも手に入るしめ飾り。たまには露店であれこれ眺めるのも楽しそう!毎年人形町で開催される「人形町の歳の市」は12月25日から31日までの予定です。
気を付けたいのが飾る時期。一般的には12月28日ごろに飾るのがよく、29日は「苦立て(くたて)」といい、31日ぎりぎりは「一夜飾り」と言われるので避けたいところです。
【2019年開催予定】
日程:2019年12月25日(水)〜12月31日(火)
開催場所:人形町通り
アクセス:東京メトロ日比谷線、都営浅草線人形町駅/東京メトロ半蔵門線水天宮前駅から徒歩
公式HP:https://www.centraltokyo-tourism.com/spot/detail/801000055
おせち料理は歳神様へのお供え
そしてなんと言ってもこれを食べなきゃ始まらないというのが、おせち。
季節の変わり目である節に食べるという「御節供(おせちく)」が略されて今のおせちと言われるようになったそうです。「桃の節句」や「端午の節句」などと言われるように、節日はお正月だけではなく、3月3日や5月5日のことも指しますが、その中でも最も重要視されたお正月の料理がおせちとして残っているようです。
それぞれの食材も昆布は「よろこぶ」、黒豆は「まめ」に働くなどの意味が込められているのも、おめでたいおせちならではですね。
家族一緒にお正月準備を楽しみたいという方には、小田原にある鈴廣のかまぼこの里にて「おせち大市」というイベントなども開催されます。オリジナル蒲鉾が作れるなど、思い入れのあるおせちの準備ができそうです!
鈴廣かまぼこの里「おせち大市」2019年12月26日(木)~12月31日(火)
歳神様は鏡餅に座る?
お正月の食べ物と言えば、おせちだけではありませんね。
今でもお正月に鏡餅を飾る習慣がありますが、こちらは歳神様の居場所になっているとか。鏡餅のことを「おすわり」という地域もあるそうです。
そして、魂の宿ったお餅を食べて年神様のパワーを頂くというのが、一般的に1月11日に行われる鏡開き。お供えしたお餅を家長から子どもたちへ「歳魂(としだま)」として食べさせたことがもとで、今の「お年玉」になったとも言われています。
鏡餅と言えば、10㎝~20㎝ぐらいが一般的ですが、愛知県の「国府宮はだか祭」では大きさ2メートル超!重さにして、4トンもの巨大な鏡餅が奉納されるそうです。
極寒の中熱い闘いが繰り広げられるはだか祭りはこれから!迫力の鏡餅も必見。
【2020年開催予定】
日程:2020年2月6日(木)
スケジュール:午後3時~ 儺追神事(はだか祭)
開催場所:尾張大國霊神社(国府宮)
公式HP: http://www.konomiya.or.jp/main/hadakamatsuri
アクセス:名鉄本線「国府宮駅」下車 北口より徒歩3分
JR東海道本線「稲沢駅」下車 徒歩15分
とんど焼きで歳神様をお見送り
お迎えした歳神様にお帰り頂くのが1月15日に行われるとんど焼き。
お正月飾りや書初めなどを持ち寄って焼く行事で、歳神様がその煙に乗って天上に帰っていくと言われているそうです。都内では、鳥越神社などにてその様子が見られます。
鳥越神社での開催日は1月8日と早めですが、ホームページに理由が掲載されていました。
“ 地方に依り異なって、15日の小正月がすんでからおこなわれるところもありますが、当鳥越神社では、江戸の風習に順って、この七草あけの8日に〆飾り、古いお札等を焼く、とんど焼の走りをするわけです。“(鳥越神社ホームページより)
【2020年開催予定】
日程:2020年1月8日(水)13時~
開催場所:鳥越神社
公式HP:http://www004.upp.so-net.ne.jp/kab_ra/
アクセス:都営浅草線「蔵前」駅より5分 JR「浅草橋」駅より8分
こうしてみると清め、歳神様を迎え、お送りするという一連の流れがあるお正月行事。
その流れを汲むことで、清々しいお正月が迎えられるのかもしれません。
最近では形骸化しているものもありますが、由来や込められた意味を少し意識してみるだけで日常がもっと豊かに、活き活きとしてくるような気がします。
今回はできる範囲で!気持ちをこめて準備をしてみようと思った師走の今日。
皆様にとって新しい一年がよりよい一年になりますように!