「十三夜」を知っていますか?十五夜は知っていても、十三夜は「聞いたことがある」くらいの方も多いかもしれません。そこでこの記事では、「十三夜」について詳しく紹介します。
十三夜とは何?どんな日?
「十三夜」とは、旧暦で毎月13日の夜のことで、特に旧暦9月13日の夜を指しています。
旧暦は、15日間で満ち欠けを繰り返す月の動きをもとにした太陰暦。ほぼ満月になる毎月15日の夜=十五夜の月に次いで、ほんの少し満月に満たない十三夜の月も美しいとされ、昔から十三夜にお月見をする風習があります。
十三夜の月がめっちゃ綺麗なのでぜひ夜空を見上げていただきたいです。 pic.twitter.com/uYOJ52dWZG
— 荒木健太郎 (@arakencloud) October 18, 2021
十五夜と十三夜の関係性
一般的に「十五夜」は、一年の中でも特に旧暦8月15日の夜を指し、この夜の美しい月は「中秋の名月」とも呼ばれています。「十三夜」は十五夜から約1か月後にやってくる日の夜です。そのため「後(のち)の月見」という別名もあります。
満月になる直前の十三夜は、少し欠けているものに美しさを感じる日本人の美意識にかなっているのでしょう。かの清少納言も「月は満月よりも、幾分欠けているほうが風情がある」という言葉を残したのだとか。
車折神社三船祭の清少納言。間近でお目にかかれました! #まいまい京都 pic.twitter.com/qiiNp59goM
— ぷぅ課長 (@neopoohyan) May 21, 2017
十五夜の旧暦8月15日は、現在の新暦に換算すると9月中旬~下旬ごろ。まだ台風が来るシーズンで、「中秋の名月、十年に九年は見えず」という言葉もあります。
一方で10月後半にあたる十三夜の頃は、秋晴れが多く美しい月が見られることから、「十三夜に曇りなし」といわれています。
「二夜の月」どちらも見ないと縁起が悪い?
十五夜と十三夜は、合わせて「二夜(ふたよ)の月」と呼ばれます。どちらかしか見ないのは「片見月(かたみつき)」や「片月見(かたつきみ)」といわれ、縁起が悪いとされてきました。
しかしこれは、江戸時代に遊女がお客を何度も呼ぶ口実として作り、広まった俗説という見方もあるようです。
旧暦9月13日の今宵は #十三夜 🌔
中秋の名月(十五夜)と後の名月(十三夜)をあわせて「二夜の月」といい、同じ場所で見ない、またどちらか一方しか見ないことは「片見月」といって縁起が悪いともされたそうです。画像は月明かりの夜に影踏み遊びをする少年を描いた、竹久夢二「かげやとうろくじん」 pic.twitter.com/Atvjgge2Dz
— 弥生美術館・竹久夢二美術館 (@yayoi_yumeji) October 18, 2021
「三名月」のひとつ「十日夜」とは?
二夜の月に「十日夜(とおかんや)」を加えて「三名月」と呼ぶことがあります。十日夜とは、旧暦10月10日のことで、こちらも月が美しいとされている日です。
ただ、十日夜にはお月見をする地域もありますが、それよりも多く行われてきたのは、この日に山へ帰る田の神様に収穫を感謝し、翌年の五穀豊穣を祈る行事や風習です。田んぼのかかしを家に持ち帰って飾り立てお供えをしたり、来年も良い米がたくさん取れるよう、土の中のネズミやモグラを追い出すためにワラ束や大きな石で地面を叩いたりします。
こういった行事は西日本では「亥の子(いのこ)」と呼ばれ、旧暦10月の最初の「亥」の日に行われていました。今ではこの行事もすっかり廃れてしまいましたが、猪を模した行事食である「亥の子餅」が和菓子店に並ぶ光景に、その名残をとどめています。
源氏物語にも登場
亥の子餅#マツコの知らない世界 pic.twitter.com/DjARQFk8fx— ガッテム竹内(元ハガキ職人) (@gtt214214) October 24, 2023
十三夜はいつ、どうやって始まった?
十五夜は中国から伝わった行事が元になっていますが、十三夜は日本で生まれたオリジナルの風習です。その歴史は平安時代に遡ります。
十三夜の始まりについては、2つの説が有力です。
醍醐天皇の宴説
平安時代後期に編纂された「躬恒集(みつねしゅう)」には、醍醐天皇が月見の宴を催し詩歌を楽しんだという記述があり、これを起源とする説です。
10/8(旧暦9月13日)は #十三夜
十五夜は中国伝来の暦に基づく風習ですが、十三夜は日本独自の習わしです。
『躬恒集』では醍醐天皇が、『中右記』では宇多天皇が、月の美しさを和歌に詠んだことから始まります。
「豆名月」「栗名月」とも呼ばれる十三夜、ぜひ枝豆や栗をお供に月を眺めてみてください。 pic.twitter.com/Q8gLEEZnT7— Moa (@moamoamiia) October 8, 2022
宇多天皇の説
平安時代後期の書物「中右記(ちゅううき)」に、宇多天皇が明月の宴を催し、「今夜明月無雙(こんやめいげつむそう)」(今夜の名月は並ぶものがないほど優れている)と詩を詠んだと書かれており、これを起源とする説です。
十三夜には何をする?何を食べる?
その時期に収穫できる作物になぞらえ、十五夜は「芋名月」といわれますが、十三夜は「栗名月」「豆名月」などと呼ばれます。
【綱島家年中行事】
西ゾーン綱島家では10/29(日)まで「十三夜飾り」を展示しています。#十三夜 は十五夜に次ぐ名月で、別名を #栗名月 ともいい、収穫期を迎える栗や柿などを供えて秋の実りを祝います。
今年の十三夜は10/27(金)、きれいな月が見られるといいですね。#たてもの園 pic.twitter.com/w0ueaiEUnd— 江戸東京たてもの園 (@tatemono1) October 24, 2023
他にも長野県北安曇郡では「小麦の月見」と呼ばれ、この日の天気が良いと小麦が豊作になるとされています。福岡県では「女明月」と呼び、この日には女性を中心に祭りが行われ、女性が幅を効かせる日とされているようです。
十三夜には何をお供えする?
十三夜には、十五夜と同様にススキやお団子などをお供えして神様に収穫を感謝する行事です。
静岡県には、米の粉団子を平たく丸め、その中央をへこませた「ヘソモチ」を供える風習があります。また、三重県では、竿の先に里芋を吊るす場合もあるようです。
お月見に供えるへそもち
『聞き書 静岡の食事』中山間(岡部)の食よりhttps://t.co/IBdWV5nXjK pic.twitter.com/rgC5ihsjio
— 日本の食生活全集 (@imgnbkpro) September 26, 2023
お供えの団子は、十三夜には13個または3個お供えし、13個の場合の供え方は1段目に9個(3×3)、2段目に4個(2×2)を並べます。
十三夜のお月見イベントへ行こう!
十五夜には、全国の寺社やテーマパーク、お城などでお月見イベントが多く開催されます。同様に、十三夜でも各種イベントが開催される予定です。
例えば、今年の十三夜となる10月27日を中心とした10月25日(水)~29日(日)の5日間、東京都中央区にある浜離宮恩賜庭園で十三夜のイベントが開催されます。
【2023年10月25日(水)~29日(日)開催!】
お月見イベント「浜離宮でお月見散歩~将軍の御庭で栗名月を愛でる~」の最新情報は▼からご確認いただけます。https://t.co/w5aE2cTTD1#浜離宮恩賜庭園 #散歩 #散策 #お月見 #月見 #お月見散歩 #十三夜 #栗名月 #秋 #ライトアップ pic.twitter.com/kgQHyGiuPa— 浜離宮恩賜庭園 (@HamarikyuGarden) October 24, 2023
期間中は、開園時間が延長され園内がライトアップされる予定です。また、かつて将軍が楽しんだ「船上雅楽」も再現されます。「お月見特別ツアー」の開催やイベント限定の提灯などが販売され、向島百花園「月見の会」とコラボしたスタンプラリーも開催されます。
詳細や最新情報は、東京都公園協会の案内ページにてご確認ください。
おわりに
今回は、「十三夜」について紹介しました。
日本人は、古くから月を身近な存在として親しんできたことがわかります。今年の十三夜の晩には、お月見や観月のイベントに出かけてみてはいかがでしょうか。