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桜舞い散る田んぼに映える早乙女たちの姿。春を祝福する「香取神宮の御田植祭」

2023/4/4
2023/4/3
桜舞い散る田んぼに映える早乙女たちの姿。春を祝福する「香取神宮の御田植祭」

令和5年4月1日(土)・4月2日(日)に「香取神宮の御田植祭」(千葉県香取市)が開催されました。コロナ禍では縮小開催となっていましたが、今年は4年ぶりの通常開催となりました。

この記事では、4月2日(日)に執り行われた田植式の様子をお届けします。

お祭りの前も参道でグルメ・ショッピングなど楽しみ盛りだくさん

香取神宮に到着すると、空模様はあいにくの薄曇りですが、参道は多くの観光客で賑わっていました。香取神宮に来たのはこれが初めてでしたが、東京駅から高速バスが出ていますし、アクセスは良好です。

循環バスで同じ香取市内の「佐原の大祭」でおなじみの佐原の町にも行けるので、まとめて観光してもいいかもしれません。

参道には、飲食店や土産屋が立ち並びますが、特にお団子屋を多く見かけました。「厄落しだんご」が名物のようです。

そんな私は、お団子を尻目に、天ぷらそばをいただきました。旅先で、なぜかそばを食べたくなるのは私だけでしょうか。腹ごしらえをして、お祭りに備えます。

桜がとてもキレイです。香取神宮のホームページによると、境内にはソメイヨシノ、オオシマザクラ、山桜、八重桜など、さまざまな種類の桜があるのだとか。桜とともに祭りを楽しめるのも、「香取神宮の御田植祭」の魅力かもしれません。

参道の階段を登って、立派な楼門をくぐると、これまた立派な拝殿と本殿が出迎えてくれます。お参りの列も大行列。お祭りに関係なく、参拝に訪れている人も多そうです。車椅子のお客さんも多かったので、車椅子用のスロープも整備されているのかもしれません(詳しくは神社にお問い合わせを)。

写真は帰宅後に撮影したもの

お祭りまで時間があったので、御朱印(初穂料500円)をいただきました。有料の宝物殿もあるので、そこで時間をつぶしてもいいでしょう。

御田植祭を美しく彩る、華やかな祭礼の行列

13時になると、お祭りが始まりました。古式の装いをした一団が参道の途中にある神徳館の敷地から列をなして出てきて、拝殿を目指します。

その華やかさに目を奪われます。コロナ禍でこのような祭りの華やかさに飢えていた身としては、「祭りが返ってきたなー」と心に染み入る光景です。

拝殿の前庭に一同が集まり、さまざまな行事が行われます。個人的には、特に少女たちによる田楽の舞いに興味が惹かれました。

田楽舞については詳しくはないのですが、踊りの所作を見ていると、飛び跳ねるような軽快な動きや、輪になって踊る場面があり、普段から盆踊りに親しんでいる自分には、その関連性について考えずにはいられませんでした。

拝殿前での式が終わると、再び行列となって、一団は斎田に向けて参道を下ります。

唄に合わせて、昔ながらの方法で田植え

斎田に到着すると、田んぼの中に設置されたテントの中で祝詞奏上などの神事が行われます。

続いて、美しく着飾った早乙女たちが田んぼの中に入っていきます。足が田のぬかるみにはまって、かなり歩きにくそうにしている様子は、早乙女たちには悪いですが、少し滑稽な感じもあり、自然とこの場の雰囲気を明るく和ませているようです。

配置についたところで、田植が始まりました。田植唄に合わせて、一列ずつ苗を植えながら後退していきます。

田植えの調子を取るのは、田植唄を口ずさむ二人の早乙女と、その後方に立って、手にした鳴り物を叩く人です。この人たちがリズムを作ることで、田植え作業を能率的に進めることができるのです。

この田植の音頭取りたちの存在は重要で、民謡研究家・竹内勉の調査によると、東京の多摩川沿いでは、田植唄を商売にしていた人がいて、空樽を腰にかけて田植の現場に駆けつけ、唄っていたそうです。音頭取りは、早乙女たちの三倍も給金をもらっていたのだとか。

また、唄をうまく唄うと、田の神様から喜んでもらえて、その年は豊作になる、という効果もありました。(『民謡地図5 東京の農民と筏師』)

田植が終わると、御田植祭は終了です。再び、神社の本殿へと戻っていって、解散します。祭りが終わり、みなさんリラックスした表情を浮かべています。4年ぶりの通常開催ということで、関係者の皆さんも充実した二日間を過ごされたのではないでしょうか。

桜の季節とも重なり、なんとも心地いい時間を過ごすことができた「香取神宮の御田植祭」。春が訪れ、祭りが復活した、こんなに気持ちのいいことは他にはないでしょう。植えられた苗は、これからすくすくと成長し、やがて生命がきらめく夏がやってくる。そんな楽しい予感に満ちたお祭りでした。

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