毎年10月の第3日曜日とその前日に、埼玉県川越市で「川越まつり」が開催されます。
小江戸と呼ばれた往時の歴史的風景を今に残すまちとして知られる川越。情緒あふれる街並みを舞台に、絢爛豪華な山車が練り歩きます。
この記事では、2019年の現地レポートとともに、2023年の開催情報をお届けします!
・蔵の街並みに紅白幕が張られ、まつり気分が漂う小江戸川越
埼玉県の川越市の中心には江戸時代の町家形式の重厚な建物が軒を連ね、「蔵造りの町並み」を築き上げています。歴史感が漂う「小江戸」には、年間を通して多くの観光客が訪れていますが、毎年10月の第3日曜日とその前日には「川越まつり」が行われ、街中が数え切れない人で埋め尽くされます。2019年は10月19日、20日に開催されます。この2日間には、「蔵造りの町並み」の両側に紅白幕が張り巡らされ、まつり囃子の笛、太鼓、鉦の音が響き渡ります。
・370年を超える歴史と伝統を守る「川越まつり」
「川越まつり」は慶安年間の1648年、当時の川越藩の藩主であった松平信綱が、川越氷川神社に神輿、獅子頭、太鼓などを寄進して祭礼を奨励したことに始まると伝えられています。3年後の1651年には神輿が街中を巡行するようになりました。その後、江戸の「天下祭」の様式をかたくなに守りつつ、370年の年月を超え都市型祭礼として進化を続けています。
・絢爛豪華に装飾された山車は動く文化財
「川越まつり」は初日の13:00に行われる「神幸祭」で始まります。川越氷川神社の神様が神輿に乗って町を巡行することによって、人々の幸福や町の繁栄を祈請するのです。神輿が川越市役所前に到着する14:00前後には、山車が勢揃いし庁舎を取り囲みます。
「川越まつり」で主役を担う山車は江戸系川越型で、2層のあんどん(鉾)を組んだ上に人形がとりつけられる構造となっています。青空に向かって立つ人形には、徳川家康、太田道灌などの歴史上の人物や、日本武尊など古事記や日本書紀に描かれる神々など様々です。現在では29台の山車が保存され、その中には江戸時代に製作されたものもあり、数多くの山車が県や市の有形民俗文化財、登録歴史文化伝承山車に指定されています。
鉾の前には、唐破風や欄間が施された舞台が設けられ、まつり囃子が奏でられます。笛や太鼓の音色に合わせて、天狐、オカメ、ヒョットコなどが伝統の舞を演じます。
山車の骨組みは黒や赤の漆で彩られ、金箔が施されるものあります。2層の鉾は、鮮やかに彩られた刺繍仕上げの幕が張られます。同じように見える刺繍も、山車ごとにユニークな個性が発揮されています。
装いを整えた山車は、先触れ役、露払いの先導によって市内を巡行します。山車の前で長い行列を作る手古舞の色艶やかな姿も、まつり気分に華を添えます。
まつりの当日には、仲町、札の辻、連雀町、本川越駅前、松江町、通町など市内の各所で山車の曳きまわしが行われています。山車の巡行が行われる通りの左右には、ぎっしりと屋台が並びます。
・クライマックスは山車の「曳っかわせ」
「川越まつり」の最大のみどころは、2台の山車がすれ違う「曳っかわせ」です。2つの山車が向かい合うと、山車の曳き手たちは手にしていた提灯を高々と掲げ、互いのまつり囃子のボリュームは最高レベルとなります。2台の山車がすれすれの位置で、すれ違うときには最高潮の盛り上がりとなります。
「川越まつり」は、江戸の「天下祭」の様式を伝える貴重な都市型祭礼です。2005年には、「川越氷川祭の山車行事」として 国の重要無形民俗文化財に指定されました。さらに、2016年には「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの世界無形文化遺産に登録され、世界に向かって日本の伝統文化を発信しています。蔵造りの街並の一画に建つ「川越まつり会館」に行けば、いつでも山車やお囃子を見聞きすることができるので、一年を通して「川越まつり」の雰囲気を味わうことができます。
2023年の開催情報!
日時:2023年10月14日(土)、15日(日)
場所:川越市内
主なスケジュール:
10月14日
宵山 18:00〜19:00ごろ
鳶のはしご乗り 18:20〜18:40ごろ
曳っかわせ
10月15日
神幸祭 10:15 川越氷川神社出御〜 11:45 還御
市役所前の山車巡行 13:30〜15:30ごろ
曳っかわせ
アクセス:
大宮から JR川越線で約20分 川越駅下車
池袋から 東武東上線急行で約30分 川越駅下車
新宿から JR埼京線(新宿駅)快速で約50分 川越駅下車
新宿から 西武新宿線(西武新宿駅)特急で約44分 本川越駅下車
横浜から 東急東横線、東京メトロ副都心線で約78分 川越駅下車