ふくしまの奇祭
奇祭ファンの皆さん、お待たせいたしました!福島県から奇祭の紹介です。戦国武将、伊達政宗のご先祖様。つまり伊達家発祥の地として知られる伊達市の中心部「保原町」で、毎年3月第一日曜日に行われる奇祭があります。その名も「つつこ引き祭り」です!
“つつこ”とはなんぞやと思った方もおられると思いますが、その正体は俵です。そしてこのつつこ引き祭りで登場する”つつこ”は直径1.5m、800kgもあるとてつもない大俵。この”つつこ”を激しく引っ張り合うふくしまの奇祭として、「つつこ引き祭り」は知られています。
お祭りの会場、厳島神社へ
時間は11時30分。つつこ引き祭りの会場となる厳島神社へ行ってみました。
勇壮な旗が掲げられていますね。
境内では、地元のお母さんたちによる甘酒の振舞がされていました。麹で作った甘酒で、ほのかな甘みがおいしい。祭りについて聞いてみると、12時に花火が上がりお祭りが始まると、まずは子ども綱引き、そして13時からつつこ引きがはじまるとのこと。時間になると、お清めを終えた男衆が参道の向こうから走ってくるそうで、これは見たほうがいいよーとのこと。13時を迎えるのが楽しみです!
12時が近づき、会場に人が集まってきています。するとお祭りの開始を知らせる花火が上がりました。つつこ引き祭りのはじまりです!
開会宣言が発せられた後、まずは今年で23回目となる子ども綱引きが行われます。
地元のスポーツ少年団やリトルリーグが対戦しています。みんな真剣でいい勝負。
境内へ移ってみます。すると、地元の子による舞の奉納が行われていました。独特な衣装で舞っています!舞の後には、社殿に鎮座している”つつこ”へと祈りを捧げていました。
時間は13時に近づき、神社への参道には人がびっしりと張り付き、つつこ引きのはじまりを今か今かと待っています。と、その前に、各町による祭り太鼓の披露が行われます。重低音で響く太鼓の音は、祭りに向けて気持ちを高ぶらせてくれますね!
福島は伊達市保原町で先週行われた「つつこ引き祭り」。800kgのつつこ(大俵)を引き合う奇祭として知られていますが、つつこ登場前に披露された太鼓も素敵でした!#福島 #伊達 #奇祭 #祭り #裸祭り #綱引き #太鼓 #つつこを引き合うとお餅ができる pic.twitter.com/tIDH6zli6X
— 高橋佑馬@観光×食 (@yuma_walking) March 9, 2019
ふんどし姿の男衆が登場!
13時になり、再び花火が上がりました。参道の先に祭り衣装を着た男衆が現れました!
先頭は清めの塩を撒きながら進んできます。
ふんどしを締めたこちらの男衆が、”つつこ”の引っ張り手です。赤い印をつけたお祭り委員長を筆頭に神社へと進んでいきます。
ふんどし一丁、神社へと向かう姿が勇壮ですね!
神社に近づき、鳥居が見えてきました。すると突然、男衆が一斉につつこ目指して走りだします!
神社の中から”つつこ”を引っ張り出してきました!
つつこを担ぎ、これから町へと繰り出します。引っ張り手をよく見てもらうと、赤・黄・青のハチマキをしています。これは上方部、中方部、下方部の3つの町に分かれて、後ほどつつこを引っ張り合うためです。
つつこの上に委員長の姿が!まずは3町を練り歩き、つつこの到来を知らせていきます。
3町をつなぐ結節点が、祭りの中心的な場所になる4丁目交差点です。つつこが交差点を通るたびに餅撒きが行われ、沿道の観客も盛り上がります!ちなみにこちらのお餅は富くじになっていて、お祭りの終盤に抽選会が行われます。私も運よく1つお餅を手に入れました!
福男目指して走る走る!
四丁目交差点へと、つつこが帰ってきました。交差点の中央へつつこを置き、なにやらはじまるようです。
なんとここで、厳島神社からつつこのある4丁目交差点まで約100mを男衆が走る、福男を決める競争が行われるようです!地面がコンクリートでは危険なので、マットがつつこの周りに用意されました。
神社からすごい勢いで男衆が駆け寄ってきます!あっという間につつこへ到着し、後から来た男衆がつぎつぎにつつこへダイブしていきます!
上・中・下で”つつこ”を引き合う
福男決めの後は、いよいよつつこの引き合いがはじまります。そもそもつつこをなぜ引き合うのかと言うと、実はこのつつこの中にはふかしたお米が収められているのです。上・中・下の3町が交代でつつこを引き、つつこの中に納められたふかしたお米を、お餅に変えていきます。このお祭りの発祥には、江戸時代にこの地方を襲った飢饉が関係しているとのこと。飢饉に悩み食べる用のお米だけでなく翌年の稲作のために残しておいた種もみまで食べつくしてしまった領民に対し、時の保原の領主だった松平出雲守が種もみを分け与えたところ、翌年は大豊作となったところから感謝の意を込めてはじまったお祭りだそうです。
またつつこが動き始め、3町を回る間に激しくつつこの引き合いが行われています。先ほどまで静かに回っていたのとは打って変わり、引っ張ったり、上下に揺らしたり、800kgあるつつこが凄まじく動く様子は迫力があります!
引き合いの見せ場
再び4丁目交差点につつこが戻ってきました。交差点の真中につつこが置かれ、いよいよつつこ引き祭りの最大の見せ場が登場します!
まずは真中に置いたつつこを引き合い、もみ合います。だんだんと激しくなってきました!
福島の奇祭、伊達市保原町の「つつこ引き祭」へ来ています!つつこと呼ばれる重さ800kgの大俵を引き合う姿は圧巻の迫力。つつこの中にはふかしたお米が入っていて、引き合うことでお餅になるそうです。終わった後どんな姿のお餅が出てくるのか!#奇祭 #祭り #福島 #伊達 #裸祭り #ふんどし pic.twitter.com/VCI3RVrxK0
— 高橋佑馬@観光×食 (@yuma_walking) March 3, 2019
もみ合っているうちに、練り歩いていた時にはつつこの上に置かれていた縄が垂れ、上・中・下の3方向に出てきました。この綱を引きあい上・内・下の3町で競い合うことが「つつこ引き祭り」と言われている所以で、お祭りの最大の見せ場でもあります!下の写真の中央部にあるのが綱です。
いよいよクライマックス!上・内・下の3組に分かれて、自陣の決勝点目掛けてつつこを引き合う様子。この間にも、お米はお餅に変化し続けているのだろうか?この戦いの後、最後に神主さんがつつこを切り、中身が登場するそうです!#奇祭 #祭り #つつこ引き祭 #伊達 #裸祭り #お餅 #ふんどし pic.twitter.com/T0kW0A19vt
— 高橋佑馬@観光×食 (@yuma_walking) 2019年3月3日
どの町も真剣につつこに対峙しています。3方向へ引っ張るので、一筋縄では決着がつかないのも見ものです!
綱が手に取れるまで出てきました!
赤いハチマキの中方部が優勢になりました。どんどん引っ張っていきます!引っ張るだけでなく、後ろから押す戦法もはじめました。勢いが付いたつつこは、中方部の決勝点へと押し進んでいます。
決着がつきました。今年は中方部の勝利で終わりました!引っ張り合われたつつこは、厳島神社の境内へと帰っていきます。
境内で最後の引っ張り合いを行います。各町力をあわせて、つつこを引っ張り合いました。
いよいよお持ちのお披露目、と言うことで包丁を持った神主さんが登場!つつこの中のお米は、はたしてお餅になっているのか!?
つつこの中からお餅が現れました!無事お餅ができていたようです。
最後境内では、先ほど撒かれたお餅を使った「富くじ」、つつこでつくられたお餅の振舞が行われ、お祭りは終了となりました。
福島の奇祭「つつこ引き祭り」いかがでしたでしょうか?二百九十余年の歴史を持つ「つつこ引き祭り」。他地域からの参加も受け付けているとのことなので、ぜひ来年参加する方をお待ちしています!