京都ゑびす神社は、西宮・大阪今宮神社と並ぶ日本三大ゑびすの一つです。
その起源は古く、十日戎を象徴する縁起物の福笹は、京都ゑびす神社から始まったとされています。
今回は歴史と伝統ある京都ゑびす神社で、2022年1月8日に行われた十日ゑびす大祭の招福祭の様子を紹介します。
目次
映画スターに会える!?太秦映画村から福招き
1月7日と8日には、宝恵かご社参というお祭りが開催されます。宝恵かご社参は、太秦の映画村から東映の女優が松竹梅と紅白に飾られたかご「宝恵かご」に乗って、京都ゑびす神社に参拝するお祭りです。ここで縁起物の福笹や吉兆を受け取り、デパートや金融機関などに福笹を配って巡ります。
髷(まげ)を結ったカゴを運ぶ男性たちが「商売繁昌でささもってこい」という威勢の良いゑびすばやしのかけ声と共に、鳥居をくぐって境内に入ってきた瞬間、あたりは江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気に。そして着物姿の美しい女優さんの優美な立ち振る舞いは、祇園の風情を彷彿とさせます。思わずうっとり見惚れてしまうほどです。
夢のような時間に包まれる中、ゆったりしたペースで神事がスタートします。着物姿の女優を筆頭に、俳優陣全員が神前での参拝を終えると、祝詞の奏上。そして商売繁盛を願った三本締めが行われます。
映画スターが作り出す非日常の空間で、商売繁盛という現世利益を願う宝恵かご社参は、ぜひご覧いただきたい興味深いお祭りです。
2022年1月8日は、宝恵かご社参は10時からの予定でした。ただこの日は、宝恵かごが9時40分に到着しています。その後すぐにお祭りが始まったため、10時を少し回った頃には境内を出て、次の目的地を目指して出発しています。
宝恵かご社参に参加される際は、時間にゆとりをもって神社に出向くと、余裕を持ってお祭りを楽しめるでしょう。
圧巻!バラエティ豊富な縁起物
京都ゑびす神社の十日ゑびす大祭では、本殿を取り囲むように左右にずらっと縁起物の授与所が並びます。
その種類も豊富です。十日ゑびすを象徴する縁起物である福笹の他、熊手の形をした縁起物も並びます。福笹に飾る吉兆もバラエティ豊かで、福笹よりも大きな笠を象った吉兆もあり、あれもこれも欲しくなってしまいそうです。
この日もほとんどの参拝者のみなさんが福笹を求めており、それぞれの思いを込めた吉兆を飾り付けておられた様子が印象的です。
終日行われる神楽の奉納
京都ゑびす神社では十日ゑびす大祭期間中、終日に渡って神楽の奉納が行われます。縁起物である福笹の授与所は、神楽を奉納する神楽殿の隣です。清められた福笹は、途切れることなく訪れる参拝者に授与されます。
神楽の音楽、神楽歌が流れる中で蝶のように優雅に舞う巫女によって清められた福笹なら、より一層のご利益が期待できそうです。
アトラクション級の迫力!湯立神事
1月8日に催される湯立て神事では、グツグツと湯が沸く大きな鍋を前に、巫女がお祓いの儀式を執り行います。
湯立て神事ではお清めの最後に、遊園地のウォーターアトラクションを彷彿とさせる迫力の儀式が待っています。なんと神社の神事でよく用いられる緑の葉、榊を熱湯に浸し、境内全体に向けて鍋の中の湯を撒くのです。
最前列に居ると、服を着たままシャワーを浴びたのかと見紛うほどびしょ濡れに。しかし清められた湯のせいか、スッキリ爽快な気分になるから不思議です。
都七福神めぐりで御朱印を集めて一層の招福を
京都ゑびす神社は、都七福神めぐりの社寺の一つでもあります。専用の大きな色紙に、7社の御朱印をいただくものです。都七福神めぐりの御朱印は通年いただけますが、年の初めに参拝するとより一層のご利益が期待できると言われています。
十日ゑびす大祭期間中も都七福神めぐりの御朱印を手書きでいただけるので、十日ゑびす大祭のタイミングで都七福神めぐりも併せて楽しむのもおすすめです。
十日ゑびす大祭は5日にわたって開催
京都ゑびす神社の十日ゑびす大祭は1月8日の招福祭から12日の撤福祭まで、合計5日の日程です。9日に行われる宵ゑびす祭では神社までの道に出店も多く出るようで、着々と準備が進められていました。
ただ京都ゑびす神社はこぢんまりした神社で、駐車場がありません。参拝の際は、電車利用が便利です。
京都の歴史と風格を感じさせつつも、穏やかで和やかな空気に満ちた京都ゑびす神社の十日ゑびす大祭を、ぜひお楽しみください。